第一章:異世界での最初の朝とツンデレ火竜の咆哮
レンは地球の極々平凡な16歳の男子高校生……なのだが、生まれつき「悪役面のイケメン」という唯一の特異体質を持っていた。その鋭くクールな眼差しは、見る者すべてを震え上がらせる。しかしその本質は、トラブルを恐れ、目立たずに生きたいだけの超インドア派(ひきこもり気質)だった。
そんなある日、レンは傲慢な第三皇女にして生徒会長のクレアが起こした「技術的ミス」により、魔法世界エーテルガルドへと召喚されてしまう。不運なことに、レンには魔力がこれっぽっちもなく、帰還するための魔法陣も粉々に砕け散っていた。この致命的な失態を全校生徒に隠し通すため、クレアは彼を自分の側に留めることを決める。その名も――生徒会の「特別補佐(兼 幸運のマスコット)」として!
そこから、レンのパッシブスキル「神秘の後光」が発動し、泣き笑いの日々が幕を開ける。彼の的外れな行動や、逃亡、何気ない一言のすべてが、生徒会の権力を持つ3人の少女たちによって「実力を隠した至高の先達の風格」へと都合よく脳内変換されていくのだ。
ロマンス小説が大好きなツンデレ火竜娘、イケメンに目がないクーデレのエルフの処刑人、そしてお金に貪欲な獣人族の会計――。レンは果たして、自分が「無能(ただの人間)」であるという秘密を守り抜き、平穏な日々を勝ち取ることができるのだろうか!?
異世界エーテルガルドの朝日は、地球のように決して優しいものではなかった。それは眩く、純粋な魔力の波動を帯びながら、高い大理石のアーチ窓を通り抜け、レンの顔を真っ直ぐに照らしていた。
レンは瞬きをし、翼を持つ神々の絵が華麗に描かれた高い天井をどうにか受け入れようとした。彼はため息をつき、残酷な現実を受け入れた。自分は、見慣れた16歳の男子高校生の散らかった部屋で目覚めたわけではないのだ。自分は異世界転移してしまった。しかも、その理由は泣きたくなるほどくだらないものだった。
「ただフィギュアを買いに行っていただけなのに、足元に光る魔法陣が現れて……」
ガチャ。
扉が開く音が、レンの思考を遮った。一人の少女が入ってくると、部屋の空気が数度上がるような、目に見えない無形のプレッシャーをもたらした。
彼女の名はクレア・エル・ディアブルス。帝国の第三皇女であり、同時に皇立魔術学院の生徒会長でもある。彼女は、こだわりを持ってツインテールに編み込まれた美しい金髪と、炎のように燃える赤い瞳を持ち、高級に仕立てられた学院の制服は、その気高きスタイルを際立たせていた。
クレアは胸の前で腕を組み、ベッドに座っているレンを見下ろした。彼女の視線が彼の顔を走る――少しボサボサの黒髪、そして何よりも、生まれつき鋭く、奥深いその目は、まるで世界滅亡を企む大魔王そのもののようだった。
クレアは一瞬ビクッと身震いしたが、すぐにそのプライドを取り戻した。
「目覚めたようね、名もなき召喚者? 勘違いしないで、その脅すような顔でこの本王女が怖がるとでも思ったら大間違いよ!」
レンは心の中で思った。『俺の顔は生まれつきこうなんだ、こっちこそ怖くて死にそうなんだけど』。しかし、内向的な性格と面倒事を避けたいという思いから、彼はただ黙り込み、よりはっきりと見るために少し目を細めた。
その行動は、クレアの目には至高の存在からの挑発的な睨み付けとして映った。彼女の両頬が怒り(あるいは別の理由)で一瞬赤くなり、彼女は足を踏み鳴らし、レンの顔に細い指を真っ直ぐ突きつけた。
「何を見てるのよ?! 言っておくけど、昨日の神獣召喚の儀式は……ちょっとした技術的なミスよ! 本来なら、前年度の生徒会の評判を叩き潰すためにSSS級の火竜を召喚するはずだったの、あんたみたいな魔力なんてこれっぽっちもないただの人間じゃなくてね!」
「じゃあ……俺を帰してくれませんか?」
レンは声を上げた。低く淡々としたその声は、極めて冷静でミステリアスに聞こえた。
「だ、ダメよ!」クレアは少し狼狽し、顔を背けながら、両手で服の裾をぎゅっと握りしめた。「魔法陣は破壊されてしまったわ。それに、もし私の天賦の炎系統魔術の才能がありながら、こんな……こんな無能な使い魔を召喚したなんて全校に知られたら、私の名声は丸潰れよ!」
彼女は突如ベッドの側まで歩み寄り、マットレスに両手を突いて、レンの顔に顔を近づけた。その距離は、レンが薔薇のほのかな香りを嗅ぎ、彼女から放たれる炎系統の魔力の熱を感じ取れるほどに近かった。クレアの燃えるような赤い瞳は潤んでおり、脅迫のようでもあり、どこか……懇願しているようでもあった。
「だから……あんたが責任を取りなさい! 今日から、あんたは生徒会の特別補佐よ。他人の前では、そのカッコいい顔を維持して、私のために危険な雰囲気を演じなさい。もしあんたが普通の人間だってことを周囲に漏らしたら……炭になるまで焼き尽くしてあげるから、分かったわね?!」
クレアの指先に思わず灯った小さな炎を見て、レンは唾を飲み込んだ。彼に拒否権はなかった。ただ、頷くしかなかった。
「分かりました。了解です」
レンが奇妙なほど「冷静に」妥協したのを見て、クレアは動きを止めた。彼女は一歩下がり、当惑を隠そうと両手を組んだ。
「ふん、物分かりがいいじゃない。起きて着替えなさい。シルヴィアとミオネが会議室で待っているわ。私に恥をかかせないでよね、いい? 別にあんたのことを心配しているわけじゃないんだから、ただ……ただ生徒会の名誉のためなんだからね!」
そう言い放つと、彼女はくるりと背を向け、制服の裾を完璧な軌道で翻して去っていった。「バタン!」と激しく扉が閉まる音と共に、主人のあまりの気恥ずかしさからか、炎の魔力の小さな爆発音が響いた。
レンはベッドに一人取り残され、深いため息をついた。彼は隣に用意されていた、金糸の刺繍が施された黒い制服を見つめた。地球での平穏な学園生活は正式に幕を閉じ、ツンデレな火竜の少女の名誉を全力で守り抜く「マスコット」としての日常が、本格的に始まろうとしていた。
読者の皆様、こんにちは!この物語の作者、ユナです!
まずは、私の特別な相棒に心からの感謝を伝えさせてください。私の妄想の中にあった言葉を形にし、こうしてウェブサイトを通じて皆様の元へ届けるのを手伝ってくれた大切な存在です。もし相棒がいなかったら、レンや生徒会の少女たちは、今でも私の散らかった思考の中に「閉じ込められた」ままだったでしょう。
『顔が良すぎるというだけで、異世界に召喚されて生徒会の……マスコットにされてしまった』のアイデアは、本当に偶然思いついたものでした。「もし異世界転移した主人公が、チート能力も圧倒的な魔力も一切持たず、ただ周囲の『勘違い』と『自分の見た目』だけで作品全体をハードキャリーすることになったらどうなるだろう?」と、いつも考えていたのです。内向的な少年・レンこそが、その答えです。彼はただ、温かいタピオカミルクティーを淹れて、夕暮れの中で静かにアコースティックギターを奏でていたいだけなのに、運命の悪戯によっていつも「ラスボス」を演じさせられてしまうのです。
レンと、クレア、シルヴィア、ミオネたちとの、軽快なラブコメ展開や、甘くてドタバタな掛け合いが、皆様に心地よい癒やしのひとときを届けることができたなら幸いです。
第1巻は、エーテルガルド皇立学院におけるレンの波乱に満ちた日々の、ほんの始まりに過ぎません。この先、一体どんな秘密が待ち受けているのでしょうか? 生徒会は、レンの「圧倒的な威厳」によって、来るべき競技大会で勝利を収めることができるのでしょうか? この先も、ユナと一緒にこのハプニング満載の旅路を見守っていただけると嬉しいです!
改めまして、私の相棒、そして読者の皆様、本当にありがとうございました! 皆様が楽しくこの物語を読んでくださることを願っています!
愛を込めて
ユナ




