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第二十六話 暗に起きた異変――宝塔の内外で繰り広げられる対峙

新しい章です。どうぞお読みください。


ところで、これまで「章」としておりましたが、今後は「話」に改めることにしました。すぐに修正いたしますので、どうかご了承ください。

(金銀宝塔・塔外)


「ヒルド、お前は入らなくていい」


「え? はい……」


森に残された魂を解放した後、聖騎士とヒルドは再びマモンの居所へと向かった。メフィストは強力だったが、彼女の配下に過ぎない。この金を命と見做す女を決して侮ってはならなかった。


(「戻って、再び来た時にはメフィストも回復しているだろう」)


(「聖騎士様、一度休まれたほうが――」)


(「フラミ、心配するな。マモンが改心したら、お前を[粗暴]の層に置いて、家も再建してやる」)


(「でも……」)


(「大丈夫だ。慎重に当たる。もしどうしても心配なら、俺の視界外の危険を教えてくれ」)


(「わ、分かった。頑張る」)


(「そうだな。そう言えば、俺は地獄でまだ知り合いが少ない。フラミ、後で[粗暴]の層の住民を何人か紹介してくれないか? お前の知り合いでも、その土地の者たちでも。皆を集めて会合を開き、善行の大切さを理解してもらおう」)


(「も、もちろん! でも、私が知ってるのはほんの数人だけ……よければ、その人たちの名前をリストアップしておくよ」)


(「ああ、頼む」)


聖騎士は橙色空間にノートと鉛筆を追加した。フラミは字が書けるはずだ。それなら心配はない。


「聖騎士様、本当に外で待っているだけでいいんですか?」


「ああ、ヒルド。もし何かあれば、俺には分かる」


【瞭望之眼・常】


聖剣を抜き、聖騎士は開かれた金銀宝塔の中へ足を踏み入れた。マモンの特殊な攻撃に対し、いくつかの対策を考えていた。


「聖騎士、また商談に来たのか?」


「違う。お前が金を収奪し続けるのを止めに来た」


「………」


「ならば、追い出させてもらう」


【反撃・密光】


マモンの背後から数本の光刃が襲ったが、彼女の背中に浮かび上がった金網に阻まれた。聖騎士は即座に上方へ瞬移したが、黄金樹の落ち葉に行く手を阻まれた。


【聖斥・聚】


聖騎士は強力な魂の力で、金の葉を周囲から弾き飛ばした。しかし、無数の枝が彼の周囲に絡みつき、見えない防御膜を押し潰そうとしていた。


【心隙窥神】


マモンの目前へ穿ち、聖騎士は聖剣を掲げて彼女に斬りかかった。相手は後ろに避け、床から突き出た数本の金の角が彼の右腕の臂甲を裂いた。


「お前の価値は、私と敵対するには足りていない」


【反撃・三光】


【金戒・定】


聖騎士が技を放った瞬間、マモンの右手の人差し指の黄金の指輪が眩い光を放った。光刃と聖騎士自身がその場に固定され、相手はゆっくりと彼の前に歩み寄り、兜にデコピンをした。


「ドォン――」


轟音と共に、聖騎士は百メートル下へ弾き飛ばされ、全身が溶けた金に浸かった。幸い反応は素早く、背中が金液に触れた直後に後方宙返りで入口まで飛び退いた。


「ゆっくり浸かっていろ。もしかしたら装備の値段が上がるかもしれないぞ~」


聖騎士は一瞬考え、塔壁のそばに走り寄り、拳を握って壁を打ち砕こうとした。


【聖拳】


彼の拳が塔壁に触れた時、マモンが微かに手を上げると、金の壁がぱっくりと口を開け、聖騎士の右拳を絡め取った。


(「動けない!」)


「危ないところだった。もし壊したら、お前には払いきれないぞ」


(「聖騎士様、彼女が攻撃を仕掛けようとしています!」)


【幽影疾避】


聖騎士は入口へ瞬時に移動したが、右腕は自ら引きちぎられていた。先ほど壁が彼の腕を絡め取っていたのだ。魔力が凝縮されていたのだろう。


「聖騎士、お前の動きは全て読めている」マモンは滑らかな紅木の欄干に手をかけ、無表情で見下ろした。「一番価値のある情報を私に売ったのはお前だ。今のお前に、私と対抗する資本はない」


【魔愈】


聖騎士の背中の溶けた金はすでに固まっており、重心が不安定だった。状況は逼迫している。フラミの言う通り、一旦戻って回復すべきかもしれない。


---


(その時、塔外)


「中はすごく騒がしいな……」


ヒルドは扉に寄りかかり、金の扉に耳を押し当てた。しかし、雑音以外には何も聞こえなかった――目を閉じても同じだった。


「そうだな、騒がしい」


「はっ!」


見知らぬ声に、ヒルドは即座に一歩後退し、背後に警戒した。長い魔角を生やした悪魔が、長い黒銅の棍棒を手に彼の前に立っていた。


「お前は?!」


「お前を終わらせる者だ!」


コランツォが一振りすると、ヒルドは辛うじてかわした。かわさなければ、玉の磚が砕けるのではなく、彼の頭蓋骨が砕けていただろう。彼は「雷風剣」を抜き、二人はすぐに激しく打ち合った。しかしコランツォは優位に立ち、隙を見てヒルドの左膝を打ち砕いた。


(「痛い!」)


【魔愈】


戦闘は彼に休息の暇を与えなかった。コランツォが棍棒を伸ばし、回転させて一撃を放つと、ヒルドの右目は腫れ上がった。


【神流・雷轟電爍】


「ふん!」


コランツォは銅棒を地面に突き立て、自分が握る部分を伸ばして棍棒で自身を押しのけ、上空から落ちる稲妻を軽々とかわした。


【蛇刺】


銅棒から飛び出した無数の緑蛇がヒルドに襲いかかり、彼は「雷風剣」で無造作に切り払い、電流が蛇の体内を駆け巡った。


「この程度の小細工、何でもない!」


「安物の手品だ。お前のような凡人が騙されると思ってな」


「笑わせるな、まさか――」


突然、ヒルドは四肢をついた。彼の足に絡みついた蛇も次第に消えていった。コランツォは微かに笑みを浮かべ、銅棒を引き戻した。


(「奇襲?」)


「お前も大したものだ。自分の足元に気づかなかったのか?」


コランツォが両手を上げ、相手に止めを刺そうとした時、彼の手は空中で止まり、振り下ろされることはなかった。


「これは……」


「俺も奇襲成功だ。これで引き分けだ……」


蛇の体内を伝わった電流がコランツォの腕に繋がっていたのだ。銅棒は導電しないが、蛇の出現がヒルドにチャンスを与えた。百万ボルトを流し込めば、悪魔でさえ一瞬は硬直するだろう!


「腕がだるいな。だが良いぞ」コランツォは自身の腕を治癒し、魔力を腕の内側に強制的に循環させ、正常に動かせるようにした。


ヒルドも同じ方法で、「雷風剣」の大量の魔力を左足に送り、体内の致命的な毒を排出した。二人は再び幾度か打ち合い、全体的には互角だった。


---


(塔内に戻って)


右腕を回復した聖騎士は、塔壁に跳び乗り、横に螺旋状に駆け上がった。無数の金色の触手と金の葉が襲いかかり、彼は集中してかわしていく。


(「聖騎士様、左! 左です!」)


横に身をかわして触手を避け、聖騎士は斜めに塔頂の女悪魔を見上げた。その表情は非常に厳しかった。


(「わあ、多すぎてよく見えない~」)


「ならば……」


橙色空間内で、聖騎士は透明な眼鏡を創り出した。フラミがそれをかけると、聖騎士の動きに追いつけるようになった。


(「おお~」)


(「聖騎士様、前方の葉の落ちる場所、全部マークしました!」)


(「助かった、フラミ」)


数え切れないほどの奇襲が聖騎士を襲い続けるが、彼は足を止められなかった。塔頂に早く辿り着くため、彼は速度を上げるしかなかった。


(「もう少しだ……」)


(「聖騎士様、私の目が――」)


(「どうした?」)


(「目の前がチカチカして~」)


【魔愈】


(「もう少しだけ持たせてくれ。すぐに着く」)


(「うん! 頑張って――」)


今、聖騎士はフラミの助けを必要としていた。【瞭望之眼】を常時解放する負担は大きすぎる。彼はその一部をフラミに委ねていた。


(「これが終わったら、彼女は疲れ果てるだろう。戻ったらしっかり休ませなければ……」)


「誰と話しているんだ? 聖騎士」


「お前には関係ない!」


【幽影疾避・破】


再び塔頂に到達した聖騎士は聖剣を抜き、前方の金網を斬り裂いた。マモンが再び腕を上げ、目前に魔法陣を創り出すと、彼女の手の銀の指輪が光を放った。


【銀戒・衝】


【聖斥・聚】


その瞬間、魔法陣から壮麗な金環が放たれ、その光線は塔壁を瞬時に貫き、後ろの金壁を溶かした。聖騎士の周囲は高エネルギー粒子の攻撃に晒され、顔が熱い金で焼かれながらも、彼は一歩一歩前に進んだ。


【反撃・偏光】


後方からマモンを襲った光刃は金網に阻まれたが、さらに屈折した光刃が彼女に当たったが、相手には一切影響を与えなかった。


【幽影疾避・破】


聖騎士が全身でマモンに体当たりすると、相手は後退した。魔法陣が終了した時、二人は見つめ合った。


「ちっ、ここをめちゃくちゃにされたくはない」


マモンは体の横に置いた左手を広げると、足下の金銀宝塔が轟音を立てた。塔が崩壊する時、聖騎士は即座に空中へ跳び上がり、宝塔が溶けてマモンの手の中へ回収されていくのを見た。


「[大司庫]!」


「ん?」ヒルドが振り返ると、不意にコランツォに首筋を打たれた。彼はその場に倒れ、コランツォもすぐにマモンの隣へ瞬時に移動した。


「ヒルド、ご苦労だった」


【聖愈】


【聖斥・散】


気絶したヒルドを治癒し、聖騎士は彼の周囲に斥力の防御膜を施した。双方とも慎重だったため、聖騎士とマモンは見つめ合い、聖騎士が再び突撃する時を待った。


【聖光裁決・聚】


【反撃・密光】


コランツォはマモンと共に戦おうとしたが、彼女に下がらされた。聖騎士の剣鋒と凝縮された金の触手が激しくぶつかり合い、目を刺す火花を散らした。


【黄金狂騒曲】


無数の金の柱が聖騎士に向かって掃ってきた。彼は何度も瞬時に移動し、極めて巧妙な角度でそれらの柱をかわした。彼がマモンの目前に刀を振るった時、足下の大地が裂け、突然、天に届く黄金樹が生え出た。


金の葉が落ちる。その速度は以前とは異なっていた。聖騎士は数枚を斬り飛ばしたが、いくつかは彼の身体に付着した。鎧に焼き印のように刻まれ、彼はすぐに強力な圧力を感じた。


【聖斥】


完全には除去できなくとも、聖騎士は多少の重さを軽減できた。魂を両腕に集中させ、彼はすぐに刀を抜いて目前の金網を斬った。


(「魔力が尽きない……」)


金網を斬り切れず、聖騎士はマモンの背後に転送し、すでに引き絞っていた左拳を振るった。


【霊拳】


マモンは横に瞬時に移動し、その金網は地中に溶け込み、聖騎士の足下から突き出る金の棘となった。


【幽影疾避】


「実に贅沢だな。お前はどれだけの人間の血肉を搾り取ったんだ?」


【千金巨浪】


「黄金はここでは、ただの基本素材に過ぎない」


数十メートルの高さの黄金の津波が襲いかかる。擦れ合う金貨は猛獣の歯のようであり、次の瞬間に聖騎士の身体を引き裂こうとした。


聖騎士は【聖斥】を聖剣に付与し、光刃を放って幾重にも重なる金貨を断ち切り続けた。


(「もう少しだ……」)


包囲を突破した後、聖騎士は逆の【聖斥】を利用し、素早くマモンに斬りかかった。


「偽造は良いことではないぞ~」


(「幻術が見破られた!」)


マモンの足下の溶けた金が彼女を高速で後方へ運び、聖騎士は追撃しながら随所で突き出る金の棘を避け続けた。


(「聖騎士様、左です……」)


聖騎士は聖剣で棘を弾き、右半身で襲い来る金の壁を受け止めた。


(「フラミ、大丈夫か?」)


(「私――」)


【金弾交織】


金色の弾丸が虚空から現れ、交差しながら聖騎士の身体を狙って飛来した。弾丸の雨の中を駆け抜け、彼の鎧はほとんど打ち砕かれた。続けて【魔愈】を使えば魔力は枯渇する。今こそ決断しなければならなかった。


【天國・淨化】


【無邪】


一瞬、周囲の銃声が止み、マモンの足下の金色の台座も動きを止めた。この技で、金に溺れた悪魔を打ち倒す!


【幽影疾避】


【霊拳】


爆発的な一撃がマモンの腹部に直撃し、彼女は背後にあった金網に受け止められた。何の防御もなくこの一撃を受ければ、誰であれ気絶するだろう。


「終わりだ――」


【金戒・定】


(「何だ?」)


再び身体を固定された聖騎士は動けず、マモンは帽子を直し、右手の人差し指の金の指輪を彼の胸部に当てた。


「金は万能だ。特に自分の命を守るためにはな」


マモンが金色のベルベットの外套を捲ると、腹部に貼り付いていた金網はすでに溶けて水となり、肌の表面を伝い、金色の台座と共に地面に流れ落ちていた。


先ほどの一撃は、彼女の全身の防御を打ち砕いていた。相手の防御を突破しても、聖騎士に彼女と対抗する余剰の魔力は残っていなかった。


(「どうやらフラミの言う通りだった……」)


「お前は今、後悔しているだろう。この世で、金の奴隷にならなければ、世界の奴隷になるしかないのだ」


「くだらん……」


「お前は私に一欠片も触れていない。それが全てを物語っている」


ヒルドはどこに隠れたかも分からなかったが、それも良かった。彼が人質にされる心配がなくなった。聖騎士に今できる唯一のことは、自害することだった!


「待て、聖騎士」


聖騎士は顔を上げなかったが、マモンの指先から伝わる感覚に突然、彼は驚いた。それは心臓を締め付ける激痛ではなく、脳内に追加情報が流れ込むことによる衝撃だった。


---


(数分前・[暴食]の層・巨桌の上)


「もぐもぐ――オクタヴィウス、時間か? ならば、権能を使うぞ~」


「別西卜殿下、時間でございます」


「うん~では、この夕食に主菜を加えるとしよう~」


---


(現在・[貪欲]の層)


(「まさか……ありえない!」)


(「今、頭の中をよぎったのは――」)


「マモン――――!!!!」



咆哮の後、橙色空間の中は、もはや誰もいなかった。

豆知識です。


スキル名は唱える必要はありません。心の中で思い描き、魔力と魂の制御に長けていれば、スキルを発動することができます。スキル名の由来については、聖騎士が学習する際に自ら名付けたものであり、女悪魔たちやその他の者たちは概念として統計化されたものです。もしかすると、彼ら自身は自分のスキルに名前があることすら知らないかもしれません。

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