第4話 『怪しい者たち』
真っ暗な空間。
その空間に点々と何かの明かりが目に留まる。
その場所に向かって歩く者が1人、その場所で待っていた者が1人居た。
―――――コツ…コツ…コツ…
???「おやおや。あまり接触はしない約束のはずですよ~。」
???「あぁ。これからについて話そうかと…。」
その暗闇に聞こえる二人の会話。
一方は、このゲームのマスターの声…クイーンのものだった。
クイーン「私は話すことなんてないよ~。」
???「これはこちらの無事のためでもある。」
クイーン「大丈夫大丈夫。まさか君が『内通』してるなんて思わんでしょ?」
???「…。」
クイーン「私は約束を破るような女じゃないよ。」
???「わかった。」
クイーン「あぁ、それと。私のことは絶対にあの方に報告するな。したら…わかるよね?」
威圧。
その殺気がもう一人の『内通』しているという人間に向けられた。
???「はい…。もちろん何も言いません。」
クイーン「おっけ。いっていいよ。長居は無用だ。」
そう言われると、もう一人の人間は歩き暗闇へと消えていった。
クイーン「私は私のやり方で…。楽しむから…。フフ…。最後にどうなるか楽しみね。」
目を輝かせるかのように、楽し気な感じでそう呟いていた。
―――――タッ…。
体育館ステージ前。
あのクイーンというマスターのいた場所。
最初に説明を受けた場所。
そこに、快兎と洸は立っていた。
快兎「正直ダメもとだが…。」
洸「まあ、手掛かりがあればラッキー程度だ。」
快兎「だな。」
二ヤツきながら二人はステージへと上がった。
その普通のステージには何もない。
何の変哲もないステージだった。
洸「何かある感じはしないな…。」
快兎「表向きは…だがな。」
洸「なんかあったのか?」
洸が快兎のほうへと顔を向けた。
快兎「いや、洸が言ってた『秘密の入り口』みたいなのはない。が。」
二人はこの場所で姿を消したクイーンには、
ここから姿を消せるような細工があると睨んでいた。
秘密の隠し部屋とか通路や入口がないかを。
そんなものは案の定なさそうだった。
だが、快兎は何かを見つけた。
洸「それって…。」
快兎「さあ。誰のものなのかは、知らないけど。俺たちと同じ考えの奴がいたのか…。」
洸「…。」
洸は、息を吞む。
快兎「何か別の目的でここにきていたのか…。調べないとな。」
快兎の手には、制服のボタンが握られていた。
袖についているようなボタンが握られていた。
焦吉「蒼。どうする。」
一方で、焦吉の部屋では椅子に座って考え込む蒼と、
ベットに足を延ばして座る焦吉が話していた。
蒼「そうだな。正直、俺だけじゃダメだ。」
焦吉「俺もいるぞ!!忘れんなよ?!」
蒼「怪我人は休んでろよ…。」
やれやれと言わんばかりに、呆れた顔した。
焦吉「たくっ…。」
そんな顔をされ少し悲しい声が漏れた。
焦吉「まあいい、その同じ反応した奴…俺たちと似たような思考回路で、あの言葉を怪しんでるのは誰なんだ?」
蒼たちは、少し前に行われた説明の時の『とある人』の発言に違和感を覚えていた。
ただ、自分たち以外にも聞いていた人間がいなかったか、その人を探し聞きまわっていた。
蒼「あぁ。佐々木白。あの女だ。」
佐々木白。
学年トップスラスの学力を持ち合わせる女子。
いつもは、姫野茜と行動している。
頭がよく、信頼もある、そして人気もある少女。
焦吉「あぁ。アイツ頭いいしな…。さっけないけど…。」
蒼「彼女を協力者にしたい。」
焦吉「けどよ、もし白が奴隷または殺される側だったら…。」
蒼「そうだな。これは俺の意見になるが彼女は少なくても奴隷ではないと思う。」
焦吉「言い切れるのか?!」
蒼「あぁ。もしそうなら大した演者さ。怖いくらいだ。曇った眼をしてない。これから人殺しをしなければならない人とは思えなかったよ。」
そう確証を得たかのように、
笑顔で焦吉に言って見せた。
蒼は目がいい、そして洞察力もあった。
そんな優れた才能で、人の気持ちはある程度読めていた。
焦吉「殺される側なら…。」
蒼「あぁ。そこなんだ。いくら怖くても表情には出さないだろうよ。俺が奴隷の場合彼女が危なくなるかもしれないからな。だからこその協力。」
焦吉「ほほー?」
蒼「彼女が殺される側なら守る。そして、どちらにしろ『内通者』を突き止める仲間として迎え入れる。」
情熱的な眼差しで焦吉に誓った。
そんな表情をされ断る理由も見当たらない焦吉は承諾。
佐々木白をこちらの仲間に引き入れることにした。
修太「フフ…。」
一方で、ただ一人薄暗い部屋で笑う者がいた。
修太「いいねぇ。この緊張感…。感じるよ。」
なにかぶつぶつとつぶやいている。
聞き取れるかわからないかぐらいの声で何か呟き続ける。
修太「おれが、支配者になる…。使えるものは使い…ぜってぇ生き残ってやるよ…。」
そう、なにかに囚われているかのように…。
彼は、生きることに執着のある人間の姿へとなっていた。
そして、そんなことをそれぞれで、色んなことを考えている同じころ。
謎の部屋。薄暗いその部屋。
クイーンのいる監視ルームでも一つの計画が進もうとしていた。
クイーン「へー。頭の回転が速くてめんどくさいのが多いねぇ~。」
画面を見ながらつぶやいている。
クイーン「最初はただのガキどもかと思えばこれかぁ…。まったく…この先めんどくさいねぁ~。けど、面白い遊びも思いつくよこれぇ…。へへ…。」
その手に持つ写真付きの名簿に何かを書き始めた。
一人ずつチェックを入れ始める。
クイーン「この場は、私がマスターなんだ…。」
チェックをし続ける。
クイーン「私のやり方で進める…。」
まだ続ける。
クイーン「私が決めたルールだ…。」
まだ書き続ける。
クイーン「私も楽しむために…。」
まだ、その手は止まらない。
クイーン「既定の人数は減らす…。」
まだ動き続けるそのペンのインクは切れそうになる。
クイーン「今後邪魔になるものは始末するだけ…。」
手が止まった。
書き終えたクイーンは、目の前の機械に手をかけ操作を始めた。
クイーン「フフ…。さあ、これからがまた…面白くなってきますよ~…。」
第4話 『怪しい者たち』 (完)




