五十話 入学編その終(エピローグ)
あれから数日。
問題はほぼ片付いたと言える。ラファエロとの顛末は生徒会、ICFそれぞれに説明したが、特に何か言い渡されることもなかった。それがわざとにしろ、そうでないにしろ、ICFの方はまだゴタゴタしていたと言うのもあるのだろうが。
青年に関する問題も、やはりグレースさんが引き受けてくれることで片が付いた。未だに目を覚まさないが、そのうち回復するとの診断は出ている。心配はいらないだろう。ただ思うのは、青年には悪いことをした、と言うことだ。主にグレースさんに引き渡して。
これが会長、麗華さんならばまだ良かったのだが。多くは語らないが、グレースさんの性癖を考えるに、気の毒なことをした。
さて、ラファエロ事件の顛末はざっくりとしたものにしておくとして、片付かなかった問題についても触れよう。これも間接的にラファエロ事件に関わるものだ。
それはルビーの件だ。ルビーとはあのキスをした際に契約を果たしたわけだが。
「ルビー」
「これだろう?」
食卓で、欲しい物を取ってほしいと口にする前にルビーが手渡してくれる。この場合は醤油だったが、それはどうでもいい。
他にもある。必要な時、必要な物を渡してくるのは当然、何を考えているのかすら察してくる。本人は表面上の気持ちやら何やらしか分からないと言っていたが、信じるべきか迷う。その迷いすら読まれてしまっていると気付いた時には、早まったことをしたと後悔したものだ。
要するに、ルビーとの間にラインが出来てしまったのだ。魔力ラインだけではなく、精神の一部において。それも繋がりを遮断することも難しいと言うオマケ付きで、だ。もっとも、この難しいと言うのは俺の力不足から来ているのだが。
それはともかく、この問題が片付かないことには、次々に問題が続出していくことになる。と言うのも、ルビーと俺だけの問題ではなくなってきてしまっているからだ。曰わく、ズルい、と。誰とは名指し出来ない状況が辛い。
だが、不可抗力をズルいと言われても困る。こちらにはどうにも出来ない。少なくとも今は。ただ、不満が何らかの手段に形を変える前に、何とかしなければならないのも事実。
全く難儀なものだ、と言わざるを得ない。まさか、この一つの問題だけでここまで影響が出てくるとは。もう一度言おう。難儀なものだ、と。
「兄貴、何のんびりしてんだよ」
「そうですよ? これから皆でクロの回復祝いをしに行くのでしょう?」
「早く行こうよー」
「……催促……」
「クロ、行こう」
だが、それでも賑やかな日常には変わりない。いつもと同じ、うるさいくらいの日常。何だかんだ言いつつも、日常となってしまったこの光景だけは守っていきたい。それだけは言える。
「今行く」
ルビーが差し伸べてくる手を取り、俺は玄関を出た。
ざっくりとしたエピローグになりました。まぁ、エピローグですし、短めに作ったっていうのもあるんですが。
さて、これで第一部本編は終了です。このあとは数話の幕間を載せるだけです。つきましては、仮完結とさせて頂きます。
実は少し悩んでいまして。このまま第二部からも続けて載せていくか、それとも二部は二部で新しく小説を投稿するか。この二つで迷っています。
と言うのも、この小説の構成上、完結まで書くと二百話は余裕で越えていきそうでして。管理するのが難しくなりそうな気がしてなりません。ですので、少し考えてみようかと。この件でのご意見を頂けましたら有り難いです。
第二部はある程度のストックが出来次第、投稿していく予定です。まだ話の大筋を決めただけなので多少お時間を頂きますが、二月中には再開予定と言うことでよろしくお願いします。幕間の進捗状況によってはずれ込むかもしれませんが……。
ここまで読んで頂きまして、誠にありがとうございました。次回、幕間と第二部もよろしくお願いします。
一月二十六日付け。




