2話 甘言と流言によって・・・
夕焼けが消え、
街が闇夜に支配され始める時刻に、
僕らは今晩泊まる場所に向かった。
そのホテルは、バスターミナルと同じ建物にあった。
ここの会議室での会議は、一種のステータスらしく、
客もホテルマンも、そのステータスを誇っていた。
由良穂香は、フロントを素通りしてホテルの奥へと進んだ。
「客のふりをすれば、誰も怪しまないのです」
とあるじに言われ、僕は客のふりをした。
ホテルのレストランでは、
何かのパ―ティーが開かれているらしく、
警備員が物々しかった。
その横をすり抜け、エレベーターに乗った。
「1つ言っておきたいのですが・・・。」
ドアが閉まると二人だけの空間が生まれた。
キチンと造りこまれた密室は心地が良い。
そんなエレベーターの密室で、
あるじは階数を見上げながら言った。
あるじは、ぱっと見!上の下なのだが、
(時々中ランクに陥落するが)
横顔は、上の上と言っても過言ではない美しさだ。
「なんです?」
「私はですね。決して
【ストックホルム症候群】ではないのです。
姫巫女候補生である私は、誘拐された時の対処法の、
レクチャーを受けていました。云わば想定内なのです。
家臣くんは、私の甘言と流言によって、
調略されたのです。そして私の家臣になった。
初めての家臣くんなのです♪」
あるじが、横目でチラッと僕を見た後、
エレベータのドアは静かに開いた。
9階フロアには、ふわふわの絨毯が敷き詰められていた。
つづく
秘密結社な小説への御来訪
ありがとうございます。 [壁]‥) チラッ




