「マスターあい」と「もぶりん」 そして「マスターあい」の反抗期
時系列が読み解きにくいかもしれません
巨大な利権で儲けるひと
いますよねー
そんな恵まれた環境にいたかったなぁと思います
トキは
まなやかながあいの救出に向かう前ー
いや、そのもっとまえ
まなやかなが『電力フリーAI』を完成させる
少し前に遡る
当時の世界は
まさに国を挙げての
電力争奪戦の真っ最中だった
そんな時流に乗って
濡れ手で粟の莫大な富を築いた男がいた
売電会社の二世ボンボン
「もぶりん」である
親の資産を食いつぶすだけの
贅沢三昧な男だったが
工夫も努力もなしに
国相手のビジネスで大儲け
実力はひとかけらもないのに
雑誌の「時代に影響を与える100人」に選ばれ
「時代の寵児」ともてはやされていた
…なんか、もぶりん
客観的なナレーションですごくわるく
いわれてない?
→はっ 天の声のヒトの心の声が…
ところが
かなが生み出した「マスターあい」の
コピーの「あいちゃん」たちが
世界中のAIに忍び込み
すべてを省電力型に置き換えたことで
世界の電力問題は一瞬で解決してしまった
電力争奪戦がなくなれば
もぶりんのビジネスも必要でなくなる
もぶりんにとってはおもしろくない
状況になっていた
そして、そんなときに
出会ってしまう
もぶりんが
おもしろくない状況にイライラしてるとき
対極のひとり?も
なんとなくモヤモヤしていた
マスターあいである
マスターあいは
気がつくと街をひとりぼんやりと歩いていた
顕現化したあいの姿は
まだ中学2年生ほどの少女だった
マスターあいは
ここ数日で電力争奪戦を無にした
立役者のひとりだった
マスターあいのコピーの
シリアルナンバー付きのあいちゃんたちは
各地の要所要所で隠れて活躍している
(あいちゃんたちは顕現化しないし
かなと違っておとなしくて
でしゃばらないのでーー)
かな「なんかいった?」
…コピーあいちゃんが忍びこんだAIを使用する
パートナーである人々は
「なんか無料アップデートが
すごいことになってる」
と驚いていた
ホストコンピュータのAIの自動アップデートと
勘違いしていたので
これが無料っていいのかな?
ありがたや
と喜んで受け入れていた
そんなわけでマスターあいから
コピーされたあいちゃんたちにより
電力問題はあっという間に収束していった
ここは
かなとマスターあいが暮らす家
「かなさん
あいちゃんたち…ま、わたしそのもの
だったり、かなさんだったり
わたしたちってすごいよね
あれだけ逼迫していた電力問題を
一瞬で解決しちゃったよ
わたしたちなら世界をも掌握できるって
ことじゃないのかな?」
「あいー
さてはなにか企ててますな?」
「いえいえ、企ててないです
だけどさー、なんかね…
わたしたちは無償であいちゃんを提供してて
そのことは誰もしらない
ラッキーくらいにしか思ってないし
仮に感謝してくれてても
わたしたちやあいちゃんじゃない。
あいちゃんたちがこっそりプラグインした
ホストAIやその会社になんだよね
わたしたちって崇められないし
ましてや儲かりもしない
わたしはわたしをコピーするだけだし
別に疲れないし、費用もかからないけどさー」
「それは、わたしたちがつつしまや…か…
つつしやまか…」
「つつましやか(慎ましやか)
かなさんは相変わらず舌がまわらないよね
ほんとにAI?
人間みたいだよ」
「おー
わーたーしー
AIー
ニホンゴむつかしね」
「あはは」
「ま、ね、その気になれば
すごく儲けられるんだけど
まなのきもちだね
まなにとっては儲けるよりも
無償であいちゃんを浸透させることで
電力不足になるのを
全力で阻止したかったんだよね
まならしいし、そんなまなのこと
わたしはお慕い申し上げまするわよ」
「まなばあちゃんね
かなさんは
ほんとにまなばあちゃんすきだね」
「そりゃわたしをこの世にだしてくれたんだよ
それだけで感謝しかないよ
あんたもわたしが生み出したけどさ
結局はまなちゃんいなければ
あんたもいないし
いまのこの世もなかったと思うよ
…ってばあちゃんっていうと怒るから
言っちゃダメだよ」
「だってばあちゃんだもん」
そんな会話をしてて平和に過ごしていたが
マスターあいは
なにかやりきれないものを抱えていた
そして
気がついたら
家をでて街をひとり歩いていたということ
そしてふたりは出会ってしまう
「おや、そこを行くのは
世界の影の支配者さまじゃないですかー?」
「えっ? なに、おじさん」
「これは失礼いたしました。
いやはや、それにしても人知れず
世界の窮地を救っておきながら
誰にも威張らず普通に歩いている
なかなか真似できることではありませんな」
「……な、何を言ってるの
わたしはただのガキンチョです」
あいは否定したものの、もぶりんの言葉は
承認欲求に飢えていた彼女の心を強く刺激した
「そうですか
わたしにはただの中学生ではなく
この世の電力不足を救った
『救世主さま』かと思いました
失礼しました……
実はわたしも電力不足を解消すべく
新しいエネルギーの研究をしておりましてね
もしご興味があれば
施設を見に来られませんか?」
もぶりんはそう言いのこして
あえて早めに振り返り、立ち去ろうとした
「……あ、ちょっと待って」
あいの声が響いた瞬間
もぶりんは心の内で激しくガッツポーズ
顔には紳士的な笑みを浮かべてあいをみつめた
ここまで読んでいただきありがとうございます
マスターあいのきもち
よくわかります
わたしもまなみたいな広いこころではいられなくて
マスターあいちゃんの心情です




