バトルロワイヤル11
その拳は壁にめり込んでいた。
いや、めり込んでいたというよりは、さらに奥に空間があると言った感じだ。
手を一度引き、再び壁に手を入れていく。
まるで水面に触れているように波紋が現れる。
マキナはそのまま、壁の中へと入って行った。
中は屋敷を鏡写しにしたように左右が反転していた。
薄暗い。
そして、窓の外は黒い布で覆われたように木漏れ日すらない。
見渡すも、これと言って特質したものは無い。
マキナは顎を撫でながら、一番近くの扉に目を向ける。
この扉の隣は、マキナの部屋にあたる場所。
「ここが音のあった部屋……」
すぐにドアノブに手が出ない。
怖いというわけではない。
────断じて怖いというわけではない!
だが、珍しく体が素直に動かない。
いつもなら、蹴破るくらいのことはどうという事ではない。
何か取り返しがつかなくなるのではないだろうかと不信感があった。
ここからの行動はプレイヤーではなく、企業のデバッカーとしての役割になるからだ。
まともにテストされているわけじゃない。
社員が独断で作ったものであり、ユーザーに対して安全性が一切の保証ができない。
最悪の場合は、この電脳世界から出ることが出来ず、永遠に意識がネットワーク内を彷徨うことも考えられる。
「……ええいっ! どうにでもなれっ!」




