あきらちゃん中学一年生、ジュニアアイドルの水着グラビア撮影当日のあきらの葛藤
日向あきらの影 ~中学一年生・撮影当日~
オレは日向あきら、12歳。今日が、あのジュニアアイドルの「試験撮影」の日だ。
朝、ママに叩き起こされて、いつものボロい部屋で着替えさせられた。
服は事務所から借りたって言ってたピンクのフリル付きワンピース。
スカートが短くて、肩も出てる。
鏡を見たら、知らない子が映ってるみたいだった。
短い髪を無理やりリボンで止められて、口紅まで塗られた。
「可愛くなったわね。喋らなければバレないから、絶対黙ってなさいよ」
ママは上機嫌だけど、オレの心臓はバクバク鳴ってる。
あきら(オレ、こんなの絶対嫌だ……)
電車の中で、オレは何度も逃げ出そうと思った。
ドアが開くたびに、飛び降りてどこか遠くへ走って行きたかった。
でも、財布もない。
家に帰ってもママに殴られるだけ。
腹が減ってる。
昨日からまともに食ってない。
事務所に着くと、スタジオは白くて明るくて、カメラやライトがいっぱい。
スタッフのお姉さんが「可愛いね~」って言ってくるけど、オレは目を合わせられない。
着替え室に通されて、渡されたのは水着。
ビキニだ。
ピンクと白のストライプで、上は紐だけ、下もほとんど布がない。
オレは固まった。
あきら「え……これ、着るの?」
スタッフは笑顔で「そうよ~。ジュニアアイドルのお仕事だもん。恥ずかしい? 最初はみんなそうよ」
ママが横で睨んでくる。
オレは震える手で服を脱いだ。
胸は相変わらずぺったんこ。
痩せてるから腰の骨も浮いてる。
水着着て鏡を見たら、ほんとに自分が汚く見えた。
あきら(オレ、こんな姿で写真撮られるのかよ……みんなに見られるのかよ……)
頭の中で小学校の連中の声が蘇る。
「男だ!」「キモい!」「胸ないじゃん!」
あいつらがこれを見たら、もっと笑うだろうな。
スタジオに出ると、カメラマンのおじさんが「いいね、ボーイッシュで新鮮!」って言った。
でも目が、なんか気持ち悪い。
ライトが眩しくて、オレは目を細くするしかない。
「まずは笑顔でこっち見て~。手は腰に当てて、ちょっと胸を張って!」
胸を張れって……何の冗談だよ。
オレには何もねぇのに。
ポーズを取るたびに、恥ずかしさと怒りが込み上げてくる。涙が出そうになるけど、ぐっと堪えた。
泣いたらママに殺される。
(なんでオレがこんなこと……)
(パパがいたら、絶対止めただろ。パパはオレを「オレの宝物」って抱きしめてくれたのに)
(でもパパはいない。ママはオレを金に変えようとしてる)
(腹減ってるから、仕方ねぇんだ……食うために、オレはこれを耐えるしかねぇ)
フラッシュが何度も光る。カメラの音がカシャカシャ鳴る。
スタッフが「いいよ~、もっとセクシーな目で!」って言うたびに、オレの心が少しずつ削られていく。
(もうすぐ終わる。終わったら、少しでも金もらえるんだろ。それでパン買える。カップ麺買える)
(耐えろ、オレ。負けるな)
撮影が終わって、着替え室に戻った時、オレは初めて鏡に向かって呟いた。
「……オレ、まだ生きてる」
声は震えてたけど、目は死んでなかった。
ママは外でスタッフと話してる。「どうでした? 採用お願いします!」って必死な声。
オレは拳を握りしめた。
いつか、この借りを全部返してやる。
オレは日向あきら。
今日、オレはまた一つ、強くなった。




