日向あきら11歳。男子からも女子からもいじめられて・・・
日向あきらの影 ~小学六年生の頃~
オレは日向あきら、もう11歳だ。小学校最後の年、六年生になった。
クラスはもう完全にオレを「異物」扱いしてる。五年生のケンカのせいで、男子はオレを「女じゃねぇ」って決めつけた。
女子には優しくて、ちょっとからかうくらいで済ますのに、オレに対してだけは本気で暴力を振るってくる。
休み時間、廊下で肩ぶつけられたと思ったら、急に後ろから蹴られた。
「おい、日向。邪魔だぞ」
振り向くと、クラスの男子数人がニヤニヤしてる。オレが睨むと、
男子「なんだよその目。男みたいなヤツが調子乗んなよ」
って、胸ぐらつかまれて壁に押しつけられた。
女子が近くでキャーキャー騒いでるけど、誰も止めない。
むしろ「日向ならいいよね、強いし」って笑ってる。
オレは抵抗した。
肘を入れて振り払ったけど、それでさらに殴られた。
腹に一発、顔に一発。痛ぇけど、
オレは声を上げなかった。泣いたら負けだ。
先生にチクっても、「日向さんも男の子と喧嘩するみたいだから、どっちもどっちね」って言われるだけ。オレが女の子だってこと、誰も本気で守ってくれない。
それだけじゃない。
女子たちの攻撃はもっと陰湿になった。
六年生になると、クラスの女子はみんな胸が膨らみ始めてる。
ブラジャーの話とか、生理の話とか、グループでこそこそ盛り上がってる。
着替えの時、体育館の更衣室で女子たちがキャッキャ言いながら服を脱ぐ中、オレだけぺったんこだ。
成長が遅いのか、栄養が足りてないのか、オレの胸はまるで男の子みたいに平らだ。
それを見つけた女子たちが、大喜びでからかい始めた。
「ねぇ日向、見て見て! 私たちもうブラ着けてるのに、あんた全然ないじゃん!」
「やっぱり男だー! 本物の男の子なんだー!」
更衣室で囲まれて、シャツを無理やりめくられたこともある。
オレが殴りかかろうとしたら、
「暴力的~! ほらやっぱり男の子みたい!」
って大騒ぎ。
先生が来ても、女子たちは泣き顔作って「日向が急に怒って怖かったです~」って言う。
オレはトイレに逃げ込んで、一人で着替えるようになった。
誰もいない時間を見計らって。
鏡を見ると、ほんとに胸がない。痩せてて、肋骨が浮いてる。
髪は短く切ってるし(ママが切ってくれないから自分でハサミでやってる)、顔も日に焼けてゴツい。
あきら「オレ……ほんとに女の子か?」
時々、自分でもわかんなくなる。
でも、違う。
オレは女の子だ。
パパは「オレの可愛い娘」って言ってくれた。
ママだって、昔はスカート着せてくれた。
ただ、今は誰もそれを信じてくれない。
オレ自身も、信じきれなくなってる。
男子からの暴力、女子からの嘲笑。
毎日それの繰り返し。
でも、オレはもう慣れた。
殴られても立ち上がる。
笑われても睨み返す。
卒業まであと少し。
この学校を出たら、もう誰もオレをバカにできない場所に行ってやる。
オレは日向あきら。11歳。胸はぺったんこでも、心は誰より強い。
いつか、みんなが後悔するくらい、でっかくなってやるぜ。




