守りたい物
今俺は王家主催パーティーが終わって数日が経ち、グランハルト領に馬車帰っている所だ。大体あと一日でグランハルト領に帰れると行った所だ。
何故転移で帰らないのかと言うと貴族は面倒な事に理由がない限り馬車の旅の途中で通った街や村で食料や宿などで金を落とさなければいけないらしい。
因みに帰ろうと思えば俺だけでなく家族全員すぐに転移で帰る事は出来る。勿論俺の魔法ではなくティアの魔法だ。
ティアは魔力量こそ俺よりも少ないがユニークスキルで消費魔力を大幅に減らせる為俺を除いた全員を転移させる事が出来るのだ。···俺は剣で行くと決めたが魔法はやはり汎用性が高いのでずるく思える。
しかもティアは全属性の魔法が使えるというチート仕様だ。
やっぱりそう考えると自分に魔法の才能が無いのが憎い。
まぁ、才能が無い事を今更悔やんでも仕方ないのでこの考えをここで中断する。俺には剣があるしな。
考え事を辞めると無意識に周りに注目するとここである事に気づく。俺達の馬車が何者かに囲まれているのだ。
今までも何度か魔物や盗賊に遭ったりしている。
だが今回の盗賊はただの盗賊かと思ったが普通の盗賊にしては人数が多過ぎるし、気配の隠し方が上手い。俺でも考え事をしている時は気づく事が出来ない程だ。
「お兄様?」
俺が怪訝な顔をしている事をしている事に気づいたのか声を掛けてくる。
「父親、どうやら盗賊にか囲まれている様です」
「本当か?俺の気配察知には反応はないが···」
「はい、気配の消し方がとても上手い様です。私でも注意しなければ感知出来ない程でした。それに数も30近く相当と多いです」
「アルクでも感知が難しい位だとレアスキルか?いや、大人数全員を感知出来なかったと言うことはユニークスキルの可能性もあり得る」
「隠密系のユニークスキルですか。厄介ですね」
実際にユニークスキル持ちだとすると辻褄が合う。この人数全員の気配を気づかないとなるとユニークスキルの可能性が高い。仲間の隠密を辞めれば更に隠密の精度が上がる可能性もある。
「よし、戦闘は俺、シェリア、アルクで行う。ティアナは馬車で待機だ」
「嫌です。私も戦います」
「ティア、盗賊と戦うと言うことは相手を殺すと言う事だぞ。しかも今回はユニークスキル持ちがいるかもしれない。この前の様に無力化ではこちらに被害が出る可能性もある」
アルベルトが言う事も最もだ。まだティアに人を殺す事が出来るとは思えない。
「いえ、覚悟なら出来ています。それに敵が多いなら私の範囲攻撃が出来る魔法が有効です」
「···分かった。ただし相手に情けを掛けるくらいなら馬車に引き戻すからな」
「はい!」
どうやら俺の見積もりが甘かったらしい。おそらくこの世界は前の世界とは違って命が軽い為に見誤ったのだろう。それと俺はティアが殺しすることに無意識に抵抗があったと言う理由もあるだろう。
「盗賊が出て来たら戦闘を始めるから準備しろ」
「「「はい!」」」
暫く進むと予想通り待ち構えていた盗賊が出て来た。それと同時に俺達は馬車を出てティアが先手として範囲攻撃を叩き込む。
「『サイクロン』」
サイクロンとは暴風を起こす魔法だがティアがそれを使うと威力が跳ね上がる。ティアが出した暴風によって盗賊達はこちらに言葉を発する間もなく吹き飛ぶ。
「「うわーー!」」
「な、なんだ!」
盗賊達は急な魔法に混乱している。
戦力的にはアルベルトとシェリアは元Aランク冒険者、俺もAランク以上の力を持っていてティアもAランク以上の実力があるので実質Aランク冒険者以上のパーティーとも言える。
ティアの魔法が終わると残りの盗賊達がわらわらと出てくる。やはりまだ相当な数の盗賊がいる。
だが先程の魔法でこちらを警戒している様だ。警戒してくれるのはこちらとしては好都合だ。すると一人の盗賊が他の盗賊に声を掛ける。
「おめえら、何ビビってやがる!さっさと行け!」
「しかしお頭、先程の魔法がまた来るかも知れません」
「馬鹿野郎が、あんな威力の魔法をそう何度も使えるわけないだろうが!」
その盗賊の言葉に盗賊が口々に「なるほど」などと言葉を漏らし武器を構え出す。
「野郎ども、やっちまえ!」
「「「「「「「おおー!」」」」」」」
盗賊がいっせいにこちらに向かってくる。しかしそれは俺が威圧のスキルを使う事で中断される事になる。威圧スキルは強い物が使う程効果が増す。すると、盗賊達は俺の威圧を受けてまた混乱が広がり逃げる物がいる程だ。
しかしそれを逃がす俺ではない。俺は空間魔法で盗賊と俺達を囲む様に壁を作って逃げるのを阻止する。
「なんだ!見えない壁みたいなのがあるぞ!」
「くそ、これじゃ逃げられねー!』
ここで逃がすと俺達以外にも被害が出る可能性があるのでここで始末するのが良いと考えたのだ。つまり俺の魔法を破るか俺を倒さない限り盗賊達は逃げる事は出来ない。盗賊達もそれが分かったのか覚悟を決めたようだ。こうして本格的な戦力が始まった。
盗賊達がこちらに来ると同時に俺はオーラをまとって駆け出し素早く敵に近寄り首を跳ねる。それから近い奴から敵を切り裂いて行く。アルベルトも同じ様な感じだ。どうやら数は多いがそこまで強い訳ではないらしい。俺とアルベルトが敵を切り裂き、シェリアとティアが魔法で盗賊を薙ぎ払って行く。すると盗賊達の数がみるみる減って行き、遂に最後の一人を倒す。ここで思い出す。先程まで盗賊に指揮を出していた盗賊の頭がいない事に。その時だった。盗賊の頭がティアの後ろに突然現る。ティアやはまだ気付いていない。失念していたこの中に隠密系のユニークスキルを持ってる可能性があると言うのは分かっていた事なのに戦闘と集中し過ぎて頭からその事が外れていた。
「ティア!」
そう叫び俺は魔力とオーラ、仙術とあらゆる方法で身体能力を強化する。三つの強化の相乗効果は凄まじく一瞬にしてティアに近づき盗賊の頭に剣を振るう。
「なっ、馬鹿な!」
その驚きの言葉と同時に盗賊の頭の首が飛ぶ。
「お兄様!?」
ティアは突然現れた盗賊の頭と俺に驚愕の顔をして俺の顔をする。
「良かった」
そう言って俺はティアに抱き着く。ティアが突然の事に顔を真っ赤にして慌てているが気にしない。もしさっき俺が間に合わなければティアは人質···いや最悪殺されていた。考えるだけでぞっとする。本当に間に合って良かった。俺はまだ弱い。今回のことでそう思い知らされた。もう少しで大切な物を失う所だった。俺はもっと強くならなければいけない。次にもしこんな事があれば確実に守れる強さがいる。そう思った。
こうしてアルクは新たな決意と共に更に上を目指すのだった。




