第36話 才女、神託者を引き抜く
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「エルをですか?」
流石にアル司祭もエルの引き抜きは予想していなかったのか、非常に驚いているようだ。
私としてはこの教会の人で話したことがあるのが、アル司祭とエルだけだからという実に単純な理由なんだけどね。
創作物である中に動物がいるトランクとか、帽子から剣が出てくるとかそんな感じの所謂、異空間収納とでも言えばいいのかしらね?――あれがあれば、本をいっぱい持ち込めるからいいのだけども、残念ながらそういうものはないみたいだし、神聖魔法について習うなら知ってる人を連れて行くのが一番いい。
勿論、私の暇つぶしになるからなんだけども……
で、そうなると、誰を連れて行くかという選択肢には話したことのあるアル司祭とエルだけになるわけで、アル司祭は司祭である以上ここを離れられないだろうから、必然的にエルを指名することになったというわけね。
まぁ、実は色々と雑務をこなしている割にそそっかしいエルをルカに再教育して貰おうという理由もあったりする。
折角、ポテンシャルを持ってるのにそのままというのは勿体ないものね。
「そ、それはどうなんでしょう?」
しかし、以外にも難色を示したのはエル自身だった。
嫌われてはいないと思うのだけど、遠慮された?
「私と少しの間、外に出るのは嫌?」
「いえ、そういう訳ではないのですが……」
困ったようにアル司祭を見るエル。
アル司祭も事情を知っているらしく、自分で言っていいものかと悩んでいる。
ああ……これ、立ち入っちゃいけないやつかしら?
「別に無理なら無理で問題な――」
「聖女様なら問題ないでしょう。今からお話します」
わざとかしら?
話すなら最初から話してよ。少し、気まずくなっちゃってたじゃない。
というわけで、ざっとエルの話をされる。
曰く、エルは神託者と呼ばれる特殊な能力を秘めているらしい。
異能とも言える力だから洗礼を受けた使徒でも使える人は殆どいないみたい。
あれね。私の精霊視と同じ感じなのかしらね。
「なので、正直外に出すのは心配と言えば心配です」
「襲われる危険性があるということ?」
「そうですね。我々、使徒は神の加護を多少なりとも与えられていますから、神という存在を身近に感じることが出来ますが、邪教徒、異教徒と呼ばれるような方々たちはそうもいきません。
彼らに取って神託者は神を語る詐欺師という扱いなのです。
そのため、首をはねられ晒し者にされたりということもありますし、中には奴隷商があの手この手で手中に収めようと手を出してくることもあります」
カルディアでは早々に撤廃された制度に奴隷制度というものがあり、今なお他国には奴隷制度が残っているらしい。
それに合わせた契約魔法もあるんだとか。
カルディアは奴隷がいないために国交を行う国のお偉いさん方しか馴染みがないらしいのだけど、契約をするための魔法として契約魔法というものはそもそもあるらしい。
本来は魔物を使い魔にするために神から与えられた魔法らしいのだけども、今では奴隷を従えるために使ったり、国同士の契約に使ったりもするんだとか。
「とは言っても、国同士の契約に関しては契約紙と呼ばれる強力な魔法具が必要になるので、ポンポン使われるわけではありませんがね」
契約内容によって儀式方法が違い、奴隷契約は実は簡単に出来てしまうのだとか。
神託者は神の言葉を人に伝える力を持つわけで、神の言葉を独占できれば権力者としては権力争いで優位に立てる。
そのため、権力争いをしている貴族から狙われやすいらしい。
実際に他国の公爵クラスの貴族があの手この手で囲おうとすることはあったんだとか。
「まぁ、神託者は神の加護を聖女様ほどではありませんが多く受けていますので、奴隷契約を成立させようにも魔法が弾かれるというオチがあるにはあります。
なので、奴隷契約はどちらかと言うと、神託者と親しい者に施すことが多いそうです。
奴隷契約した者を人質にしたり、神託者を拷問して無理やり神託を言わせるという非人道的行為も過去に確認されているので、捕まらないことに越したことはありません。
それに、私の心配はエル自身のこともありますが、皆さんのこともあります。
唯でさえ、魔族との戦いをそう遠くない未来に抱えているというのに、他の面倒事に巻き込まれる可能性を減らした方がいいかと思いまして」
「なるほどね……。でもまぁ、問題ないわ。
なるようになるでしょ。何せ、エルに手を出したら私が直々にお礼参りに行くからね」
「ふふ。確かにそれなら安心ですね。
丁度、例のアレも準備できたようですし」
例のアレ?
また、何か嫌な予感がするのは気のせいであって欲しい。
「近々、聖女様とケイコ様のお二人には精霊契約を行ってもらおうという話になっていまして――」
確かに、先生がそんなことを言っていたような気もする。
本当に最上位精霊と契約することになるとは思わなかったけども……
他国へ出ることを考えれば戦力は少しでも多いほうがいいかも知れない。
良からぬ陰謀に巻き込まれるというのは、旅をする上でよくあるテンプレなわけだし、さっきの話を聞く限りではやっぱり現実的にそういうものなのでしょうね。
そういう意味では嫌な予感は外れたということかしら?
「最上位精霊は魔力供給さえあれば不眠無休で動けますから、馬車での夜間移動も任せられますし、腰を落ち着けるときの見張りなんかもお願い出来ます。
魔力や気配にも非常に敏感で、精霊によりますが探知系の精霊であれば魔族の隠蔽魔術すらも看破出来るそうです」
魔法と違い、魔族の魔術は属性という概念がないらしく、いわゆる光学迷彩的な現象を魔術で起こせたりするんだとか。
そういった奇襲で壊滅した傭兵団も多い中、最上位精霊との契約をしていた冒険者グループは見事に返り討ちにしたらしい。
というよりも、冒険者って職業としてこの世界にも存在したのね。
どちらかと言えば自警団に近いそうだけども、各国の支部同士のつながりも強くギルドの所属カードは身分証明になるということで、貧民街育ちの者たちから非常に重宝されているらしい。
冒険者は何でもこなす何でも屋として活動しているため、軍でカバーしきれない依頼をカバーしてくれている点でも、国側からかなりの便宜を冒険者ギルドに対して図っていると言う。
「とはいえ、全員が人格者という訳ではないので、暴力沙汰による牢獄行きは意外といたりします。
問題にしないのは、そういった管理も含めて冒険者ギルドがしっかりと業務をこなしているからなんでしょうね。
流石に、彼ら冒険者ギルドがやっている書類業務まで後輩たちの下に回ってきたら、全員、確実に過労死しますね。今でも危ういのに」
危ういのね……
まぁ、国が大きければ大きいほど仕事が多くなるのは仕方のないことなのかも知れない。
ただ、自分が開放されたからと言って、そんな笑顔で言わなくてもいいんじゃないかしら?
どれだけ辛いのよ……
「それで、エルはどうする?」
そうだった。今日はエルの勧誘を兼ねて来ているのに、肝心の勧誘を忘れていたとアル司祭の声で思い出す。
エルは色々と悩んでいるようだけども……
「では、お供させていただきます」
と言ってくれた。
これで、暇つぶしは問題なくなった。
ちなみに、付いてくることを決めてくれたのは、今まで街の外にすら出たことがないからなんだとか。
可能な限り神託者としての力は隠したほうがいいということで、色々と口裏合わせをする。
催眠的な術もあるらしいから、神託者ということは他の御三方には秘密にしておくことにした。
三人にはエルのことをただのシスターとして紹介しようと思う。
まぁ、シスターであることは間違いないわけだし、言葉足らずなだけで嘘は言ってない。
となると、問題は最上位精霊との契約の方ね。
そっちは……そのうち、王宮から連絡が来るでしょう。
それまで、適当に準備しながら待つしかないわね。
何も起きないことだけは本当にお願いしたいと思いつつ、私は教会を後にした。
皆さん、こんにちは。初仁です。
気がつけばもう36話。8月に入ってから随分と私にしては頑張って書いてるなぁという印象です。
この物語は去年12月、「RelicCode」執筆中に思いつきで書き始めたものです。
まぁ、その「RelicCode」は終わりとところどころのイベントを決めただけで、何とも書きにくいシナリオになっているため、現在休載中なんですけどもね(汗)
昨日(2018/09/14)は卒業制作の発表も無事に終え、待ち時間はひたすらに新作の方を書いてました。
ローファンタジーもやっぱり書いてて面白いですね。
ついついノリノリで1時間で2600文字も(?)書いてしまいました。
修正しないと酷い文章になってそうですね(汗)
新作に関しては、カクヨムコンテストのこともあるので、こちらを優先にしつつチマチマ書き溜めます。
公開は10月と思ってましたが目標量に到達しないと思うので、11月公開を目指して執筆を続けていこうと考えてます。
一応、カクヨムとなろう同日公開予定。ただし、なろうが先の公開。
続報をお待ち下さい。
小出しに言っておくと、ローファンタジーでありながらまた魔法系です。
やはり、ネギま!ファンとしては、魔法って凄い好きなジャンルなわけで……
では、また次回。
―追伸―
来週は「二度目の人生は平穏に過ごしたい!」も更新再開します。
まだの方は是非、読んでみて下さい。




