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 簡単な算数問題の筈だが、シオンは顔をしかめた。

「ちょっと、お釣りが30円になる組み合わせなんてないわよ?」

「2人分だぞ」

「分かってるわよ。でも合わないんだもん」

「落ち着いて考えろ。2人分買って、どうやったらお釣りが30円になるか。

 つまり、投入金額は幾らかって事だ」

「そうか! じゃあ答えは……3区ね」

「その通り。だけど、それだけじゃまだ奴らが何処へ行ったのか分からない。

 ……くそ、情報が足りない! 他に何かヒントは無いのか⁉」


 突然、シオンがぷいと振り向き、女占い師に質問した。

「あいつら何か言ってなかったの?」

 先程の脅迫ですっかり弱気になっていたアリアドネの占い師は、慌てふためきながら答えた。


「何か言っていたけど、聞き取れなかったのよ。

 確かドテチン、ドテチンて言ってたわ」

「はあ、どてちん? アンタ耳悪いの?」

 お前は口が悪いケドな! レオンはそう思ったが、敢えて口には出さなかった。ふくれっ面の占い師は、流石にムッとしたのか、がなり声をあげた。


「ホントなんだから仕方ないでしょ!」

「なあそれって日本語だったのか?」

 レオンの質問には、いくらか大人しく答える占い師。

「そう言えば、違ったのかも。

 多分1000円札を何度か券売機に通してたみたいなんだけど、読み取ってくれなかったみたいでね。

 その時、言ってたのよ。マンマミーヤって」

「マンマミーヤって、イタリア語でなんてこった〜、みたいな意味でしょ?」

 シオンの陰で腕を組んで考えていたレオンが、占い師に尋ねた。


「もしかしてドテチンじゃなくて、ドディチって言ってなかったかい?」

「そうそう、それよ! 路線図を指差しながら、ドディチって言ってたわ」

「何か分かったの、レオン」

「イタリア語でdodiciは数字の12って意味だ」

「それが路線図とどう関係があるって言うのよ」

「確か初めの暗号にも、色と数字を使った問題があったよな? 色付きで案内している路線図と12という数字にも関係があるのかもしれない。

 たしか……」


 黄色は1

 青色は2

 赤色が3

 紫色は4

 橙色が5

 緑色が6

 7を飛ばして

 黒が8……。

 

 と、そこまで言ったところで、レオンの頭に閃きが奔った。


「そうか、分かったぞ! 答えは名港線、名古屋港だ!」

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