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第三章 樫の葉の舞い散る家

橙色の屋根が連なるあの街に足を踏み入れるより前、私は北国の深い田舎にある小さな孤児院で十八年の歳月を過ごした。版画に描かれるような、黄金色の麦畑と澄んだ氷河の川が広がるのどかな農村ではない。雨が降るたびに粘土質の土が靴底にまとわりつき、聳え立つ松や白樺の林の陰に、赤い木造の家々がひっそりと身を寄せ合う貧しい土地だった。


孤児院は村の最も奥に佇んでいた。傾斜のついた屋根を持つ細長い三間造りの建物で、苔むした灰色の砂岩の壁が歳月を物語っている。前庭には古いブランコがあり、錆びついた鎖は子供が乗り込むたびに、悲しげな囁きのような軋み声を上げた。冬になれば、雪が世界のあらゆる隅々を白く覆い尽くし、窓枠に舞い落ちた雪片は暖炉から漏れ出る温もりに触れてゆっくりと溶けていく。夏には、丘の斜面に黄色い野花が咲き乱れ、ツバメたちが軒下に巣を作りへ帰ってきた——彼らはつかの間の宿り木を作り、風が冷たさを帯びると再び飛び去っていく。私はその姿を眺めながら、自分もまた、決して自分のものとは言えない巣で生まれた一羽のツバメに過ぎないのかもしれない、とよく考えていた。


自分がいつそこへ連れてこられたのか、正確な記憶はない。覚えている幼少期の面影といえば、薄い大麦の粥、使い古された薄手のウール毛布に丸まる夜、そして他の子供たちの泣き声の混ざり合った記憶だけだ。凍える冬の夜、隙間風の唸り声で目を覚ますと、暗闇の向こうから連れてこられたばかりの赤ん坊が母親を恋しがって泣く声が聞こえることがあった。だが私には——自分の母親の顔さえ思い出すことができなかった。最初から知らなかったのかもしれぬ。名もなく、根も持たず、幾度となく洗濯されて色あせたシーツの狭間で、ただ息をしているだけの存在。


孤児院を切り盛りしていたのは、六十代の女性だった。私たちは彼女を「院長先生」と呼んでいた。プラチナの筋が混じる銀白の髪に、雨を孕んだ北欧の空のように哀しみを湛えた灰色の瞳、そして荒れてはいるが温もりの絶えない手を持つ人だった。彼女は近くの町から通う二人の若い女性教師とともに暮らしていた。先生方は私たちに読み書きを教えてくれたが、私が学んだ最も大切な教えはアルファベットなどではなかった——ドアノブに引っかかったマフラーを根気強くほどく手つきや、熱を出した子の枕元に寄り添う姿、そしてクリスマスが来るたび、孤児たちがこの世界にはまだ光が存在するのだと知ることができるよう、窓辺に静かに蝋燭を灯すその佇まいから学んだのだ。


孤児院の周囲には、松の森へと続く大麦畑がどこまでも広がっていた。春になると、小川の氷が解け、せせらぎの水音は遠くで鳴るピアノの旋律のように響いた。夏には太陽が沈みきることがなく、終わりのない白夜の中、私たちは草の上に座り、流れる雲をただゆっくりと追いかけた。秋には、オークと白樺の葉が黄金の絨毯のように敷き詰められ、私を含む年上の子供たちは、トーストしたパンにビルベリーのジャムを塗った一片と引き換えに落ち葉をかき集めた。そして冬、積み上がった雪のせいで重い木製ドアを開けるたびに悲鳴を上げるとき、私たちは大きな暖炉の周りに身を寄せ合い、院長先生が語る森の妖精やバイキングの船、そしてずっと南にある街——オレンジ色の屋根が連なり、波の歌声が絶えることのない入江の街の物語に耳を傾けたのだ。


その物語の中で、私は初めてその名を目にした——ミナ・ドリームズ・スタッド(Mina drömmars stad)。


私はただ、待ち続けながら大きくなった。けれど奇跡を待っていたわけではない——私のような子供のもとに奇跡など訪れないことを、私は疾くに知っていた。私が待っていたのは、ここを去ることができる年齢になるその日だった。里親を探しに来る家族は、決まって最も幼い子供を選んだ。小さければ小さいほどいい。その方が自分たちの色に染めやすく、愛しやすく、まだ癒えぬ傷跡を抱えていないからだ。私はその光景を何度も見送ってきた。新しいウールの服を着た幼い弟や妹たちが、鉄製の門の手をとられて出て行き——門が静かに閉ざされるのを。そのたび、私の胸には複雑な感情が渦巻いた。彼らに対する喜びと、自分自身に対する静かな哀悼が。


私が孤児院を後にした日の午後は、秋の深まりを感じさせる日だった。石畳の小道に黄金色のオークの葉が舞い落ち、背後の森からは朽ちた木々の香りが漂っていた。院長先生はバス停までずっと一緒に歩いてくれた。村の名が刻まれた、古びた木製の看板が佇む慎ましいバス停だ。彼女は長年貯めていた僅かなお金が入った薄い封筒を私に手渡した。だが、彼女がくれた最大の贈り物はお金ではなかった。その夏、彼女が手編みで作ってくれたクローバーのブレスレットだった。


「お前は、物事を理解しすぎる子だからね」と、彼女は温かい掌で私の手を包み込みながら言った。「胸が痛くなるほど、色々なことを分かりすぎてしまう。それは美徳でもあるけれど、時に重荷にもなる。分かりすぎる子は、自分が受け取るべきものをねだることが滅多にできないから。……お前が、それをねだれるようになるといいのだが」


私は声を出せば泣いてしまうと思い、ただ深く頷いた。そして彼女の手をきゅっと握りしめると、古びた黄色いバスに乗り込んだ。車窓越しに見えた彼女は、赤いスカーフを風になびかせながらそこに立っていた。その姿は次第に小さくなり、やがて白樺の木立の向こうへと消えていった。その瞬間、私は別の人生の閾値を跨いだのだと悟った——これからは、自分自身の力で光を灯さなければならない人生へと。


◇


その朝、目覚まし時計は不要だった。灰色の石造りの塔から教会の鐘が響き渡る——朝露に濡れたオレンジ色の屋根を覆うように、低く深みのある鐘の音が六度、街に広がっていった。屋根裏の部屋で目を覚ました瞬間、一秒だけ自分がどこにいるのか分からなくなった。低い天井、白いカーテン、乾燥した松の木の残り香、そして毛布を斜めに切り裂く一筋の薄日。軋む鉄製の二段ベッドも、子供たちの泣き声もない。私は私であり、ここにいるのだ——足を踏み入れたこともなかった街、自分のものとは言えない屋根の下、けれど不思議なほど深い安らぎを与えてくれる場所に。


私はゆっくりと起き上がった。裸足が木の床に触れると、冷たさで小さく身震いした。毛布を畳み、儀式のように白いシーツの皺を伸ばす。孤児院で院長先生は教えてくれた。人は、自分が横たわっていた場所をどのように残すかによって評価されるのだと。その教えを忘れたことは一度もない。誰も見ていなくとも、毛布を四角く几帳面に折りたたみ、枕をその上に置き、シーツをピンと張り直した。


二つの窓を大きく押し開ける。潮の香りと海草の幽かな匂いを孕んだ海風が吹き込んできた。眼下の街が静かに目覚め始めていた。朝日に照らされたオレンジ色の屋根は、まるで薄く蜂蜜を塗られたかのように輝いている。窓枠に留まった一羽のカモメが、好奇心に満ちた恐れを知らぬ黒い瞳で、首を傾げて私を見つめていた。私は微笑み、ガラスを軽く叩いた。驚いたカモメは一瞬で羽を広げて飛び去り——風に乗って漂う、小さな白い羽を一枚だけ残していった。


廊下へ足を踏み出す。両側の二つのドアはまだ閉ざされていた——昨夜、アン夫人が話していた二人の若者の部屋だ。一人は公園の近くの書店で働き、もう一人は広場にある仕立屋で働いているという。私は思った。あるいはこの家には、私と同じように彷徨える魂が他にいるのかもしれない、と。彼らもかつて、くしゃくしゃになった地図と一つの鞄を抱えて、人生の岐路に立たされていたのではないだろうか。そう思うと、もう完全に一人ではないのだと、胸がいくらか軽くなった。


廊下の突き当たりに小さな浴室があった。蛇口をひねると、指先が痺れるほど冷たい水がほとばしったが、私はその鋭利な感覚を好ましく思った。顔を洗い、髪を整え、小さな楕円形の鏡に映る自分を確かな目で見つめる。孤児院から持ってきた中で最も整った服に着替えた——少し色あせているが丁寧にアイロンがけされた白いシャツ、皺ひとつない濃色のズボン、大切な日にしか履かなかったためまだ新しい黒の編み上げ靴。手には何も持っていなくとも、自分に訪れた機会に対して敬意を払う術を知っているのだと、周りに示しておきたかったのだ。


階段を下りていく。木製のステップがギシと小さく、本当に小さく鳴った——誰の邪魔をしてしまうことを恐れていたのか自分でも分からなかったが、なるべく音を立てないように歩いた。階下では、昨夜のシャンデリアが今も淡い黄金色の光を宿している。そして厨房のドアの向こうから、お茶を注ぐ音、コンロにかけられたケトルの音、そしてまるでアン夫人が……自分自身に話しかけているかのような、楽しげな呟きが聞こえてきた。


私は廊下で足を止めた。恐怖ではなかった。ただの戸惑いだ。孤児院では、食事の時間は列に並んだ。欲しいものがあるときは許可を求め、大人の領域に入るときは叩き、待ち、招かれなければじっと佇んでいた。それが私たちの生き抜く術であり、捨てられないための掟だったのだ。


私は手すりを握りしめたまま、階段の麓に立っていた。開かれた厨房のドア越しに、アン夫人がティーポットに熱湯を注ぐ姿が見える。白い湯気が朝の光の中に揺らめきながら立ち上っていた。彼女はダークグレーのセーターを着て、袖を捲り上げ、繊細な指先をポットの上で軽やかに動かしていた。背を向けたままだったが、彼女は私の気配を感じ取ったらしく、振り返ることもなく声をかけてきた。


「起きたのかい? 入っておいで。この家に、お前に閉ざされたドアなんてないのだから」


その言葉——飾りのない、どこまでもシンプルなそのひとことが、私の鼻の奥をツンと痛ませた。私は手すりから手を放し、厨房へと歩みを進めた。


厨房は狭かったが、隅々まで几帳面に整えられていた。銅製の鍋が鉄のラックに吊るされ、磨き上げられて輝いている。テーブルの上には、海青色の縁取りが施されたクリーム色の陶器のティーセットが置かれていた。えんじ色のクロスが敷かれた木製のテーブルには、ふたつのカップ、ふたつの深いボウル、ふたつのスプーンが並べられている。柳の籠の中には、グレー、苔色、マスタードイエローの毛糸玉が身を寄せ合い——まるで蝶になるのを待つ繭のように、柔らかく膨らんでいた。


アン夫人は振り返り、丸い眼鏡の奥で微笑んだ。その瞳は明るく温もりを帯び、余計な質問を投げることもなく私を見つめていた。


「おはよう。よく眠れたかい?」


「はい、とてもよく眠れました」私は声を潜め、礼儀正しく答えた。「お部屋がとても温かくて……静かで。私だけの部屋で眠ったことなんて、一度もありませんでしたから」


「ふむ。私も昔はそうだったよ」と彼女はカップにお茶を注ぎながら言った。「若い頃に初めて家を出たとき、この静寂に慣れるまで一週間もかかったものさ」


椅子を引くべきか、それとも立ったまま待つべきか分からなかった。私の中に刷り込まれた無意識の習性が動いていた——他人の家に入ったときは、主人が勧めてくれるのを待つべきだ、と。私は厨房の窓辺に立ち、小さな裏庭を眺めた——古いリンゴの木、ハーブの鉢植え、蔦に覆われた灰色の石壁。


アン夫人は焦ることなく私を見つめた。彼女はティーポットを置くと、向かい側の椅子を優しく引いた。


「お座り、いい子だから」彼女の声はゆっくりとしていて、私を戸惑わせないよう言葉をひとつひとつ選んでいた。「ここではね、座るのに許可なんていらないのさ。食べるのにも許可はいらない。私が朝食に招待しているのだから、遠慮なく召し上がっておくれ。自分で食い扶持を稼げるようになったら、そうすればいい。けれど今は、私にひとつの食事の面倒を見させておくれ」


私はまるで一枚の紙のように静かに腰を下ろした。目の前には、甘い香りを放つ大麦の粥が置かれていた。黄金色に煮込まれた濃密な粥の上に、薄切りのリンゴと乾燥ビルベリーが散らされている。彼女はハチミツの瓶を私の方へ押しやった。


「もっと甘いのが好きなら、ハチミツを入れなさい」


スプーンを取る手が、わずかに震えた。寒さからではない。大人の向かい側に座り、本当の厨房というプライベートな空間で、何十人もの子供たちと押し合うことも、「早く食べなさい、授業の時間だよ」と指導員に怒鳴られることもなく食事をするなんて、人生で初めてのことだったからだ。私は一口一口、ゆっくりと食べ進め、その味を記憶に刻み込もうとした——大麦の香ばしさ、ビルベリーの酸味、舌の上でゆっくりと溶けていくハチミツの優しい甘やかしを。


アン夫人はそれ以上何も尋ねなかった。時折お茶をすすり、時折窓の外に目をやりながら、私と一緒に食事をした。二人の間に漂う沈黙——かつて私は沈黙とは埋めなければならないものだと思っていた——は、驚くほど心地よいものだった。図書室で二人の人間が座り、それぞれ自分の本を開きながらも、お互いの存在を感じ取っている……そんな時間に似ていた。


しばらくして、彼女が口を開いた。問いかけではなく、柔らかな提案だった。


「お前にぴったりの場所を思いついたよ。トムソンさんの店だ——昨夜お前が立っていた広場のすぐそばにあるカフェさ。手伝いを探していてね。前の人が大都市へ引っ越してしまったばかりなんだ。もしよかったら、今朝会いにいってみるといい」


胸が高鳴った。私はスプーンを置き、声を落ち着かせようと努めた。


「奥様、今すぐ伺ってもよろしいでしょうか?」


「もちろんだとも」彼女は微笑んだ。「けれど行く前に、ひとつ知っておいてほしいことがある。この街の人々はね、お前がどう頭を下げ、どう頭を上げるかをよく見ているよ。お前はとても特別な『沈黙』を纏っている。恐れから来る沈黙ではなく、いつ話すべきかを知るために十分に観察してきた者だけが持つ沈黙だ。それは、魅力と呼ばれるものよりもずっと稀有なのだよ」


胸がぎゅっと締めつけられた。バス停で私の手を握り、胸が痛むほど物事を理解しすぎていると言ってくれた院長先生の姿が蘇る。その称賛をどう受け止めればいいのか、私はずっと分からずにいた。けれどこの厨房で、アン夫人は心配も哀れみも交えず、ただ当然の真実としてそれを語ってくれたのだ。


私は深く頭を下げた。


「ありがとうございます、奥様。……すべてにおいて」


「ふむ。お前なら大丈夫だよ」彼女は立ち上がると、皺の刻まれた手を私の髪に添え、優しく撫でてくれた。「胸を張りなさい。これからの仕事は、今よりもずっと勇敢であることを求められるのだからね」

第3話をお読みいただき、ありがとうございます!


物語が少しずつ動き出し、境界の謎が深まっていきます……。

もし少しでも楽しんでいただけましたら、ブックマークや評価(★)で応援していただけると大変励みになります!


次回もどうぞお楽しみに!

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