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二十五 阿曽沼スマイル♡


 洞窟型のダンジョンと言うだけあって、明確なゴールどころか、全体像の把握すら難しい。

 そんな中を、俺たちは黙って歩く。

 そもそも、試験官である卯西さんは、黙っているのはそうだが、先ほどの大声を出して魔物を呼び寄せるような真似をする奴はいない。

 ただ、それ以上に空気が悪くなったせいで会話もなくなっていた。


 そんな中、不意に俺は口を開いた。


「皆さん、敵です。数は、七」


 気配を感じて、俺は立ち止まった。

 例え、レベルアップをしてと言っても、これくらいは察知系のスキルで分かる程度だし口を出してもいいだろう。

 少なくとも俺はそう判断した。

 そう、俺は。


「あ?なにしゃしゃってんだよ。そんな報告でいちいち全体を止めさせんなよ。評価が下がる」

「…………」


 何を言っても、無理だと半ば諦めた俺は無視をした。

 あれから少し、遠慮がなくなって来た。

 少し昔のことを思い出して、目の前が休みそうになるが、こいつとも今日の試験が終わればそれきりだ。

 そう思って何とか持ちこたえた。


「阿曽沼君。俺は、出会い頭に攻撃されることを考えれば、この選択は間違ってないと思うよ」


 上谷内さんはそうフォロウをいれてくれる。

 他の安宍さんと京念さんも何か言いたそうだけど、口を開かなかった。

 まあ、誰か一人でも言えばいい事だから、追い打ちをかけるように皆で言い立てて逆上されても敵わない。


 阿曽沼と言えば、舌打ちをしただけで特に反応をみせなかった。

 

 だが。


「はあ。誰のせいで評価が下がっているか理解しろよ」


 そんな言葉が、西影さんの口から洩れた。

 ほんの少し、ボソッといった程度の言葉。

 だが、阿曽沼には聞こえてしまったようだ。


「おい!いま、俺のこと言ったか?」


 今にも胸倉をつかもうとする阿曽沼は、西影さんを睨む。

 一方、西影さんは特に目を合わそうとせずに、めんどくさそうに言った。


「いや、阿曽沼君には言ってないよ。俺、一言も君の名前出してないじゃん」


「それとも」と続けたところで、阿曽沼はイライラを隠さずに皆の先を進んでいった。

 そして、忘れていたのか、前方から現れたゴブリンに不意打ちを喰らった。

 だが、彼もギフトを持っている。

 来る間にレベルアップもしているのだ。一方的にやられることはない。


 だが、それでも、数は多かった。

 一体のゴブリンが、武器を阿曽沼の後頭部に当てまいと、振り上げた。


「くそ」


 俺は、それを見て悪態をつくながら、その個体を倒した。

 まあ、ただ、阿曽沼はもっと苛立ちを増していった。

 そして、どんどんとするんで、ボス部屋、らしき場所にたどり着いた。


「では、一旦、休憩にしましょう」


 上谷内さんのその言葉で、一度休憩。

 そして、作戦を練ることになった。

 どんなボスか分からなくても、多少の対策にはなるだろう。


 一向に、阿曽沼は参加しなかったが、俺たちだけでそれとなく共有した。

 評価を気にしている割にこういったのには参加しないんだなと思った。

 

「では、行きましょうか」


 そう言って立ち上がった。

 目の前にある大きな扉に触れると、自動で開いた。

 流石ダンジョンである。


 そんなことを考えながら、中を覗けば大きなゴブリンがいた。

 キングゴブリンと言えばいいか。

 そして、それに付き従うようにそれより少し小さいが今までの者よりも強そうなゴブリンがいた。

 ホブゴブリンで良いだろう。

 適当に呼称して、俺は斧を取り出して構えを取った。


 一斉に俺たちは動き出した。

 ここまでくる過程で多少の連携って奴は出来るようになったと思う。

 阿曽沼は完全に制御できていないが十分だろう。

 俺は、一目散に、一体のホブゴブリンへと突っ込む。

 相手も武器を持っているが、そんなことは関係ない。

 初先頭から、武器をもった魔物が相手だ、流石に慣れている。


 俺は、攻撃を掻い潜り攻撃を当てていく。

 それと同時に、今まで金と銀の斧に頼り過ぎていたようにも感じていた。

 攻撃力が圧倒的に違う。

 勝手に強くなったと思っていたが、それは、武器のおかげだったのかもしれない。


 ただ、身体能力が上がっていることは事実だ。

 そう手こずることもない。

 とどめを刺した俺はあたりを見る。


 すると、キングゴブリン以外は掃討されていた。

 前後衛に分かれているおかげか、最効率で回せたらしい。

 次は、キングだけ。

 再び俺は地面を蹴った。


 キングは棍棒を振りかぶる。

 大振りだ。

 だが、それでも当たれば一たまりもないだろう。


 だが、俺なら難なく避けれる。

 そう思っていた。

 いや、事実そうだったはずだ。


 だが、不意に足に走った痛みに動きを鈍らせる。


「ぐっ!?」


 そのせいで攻撃を躱すことが叶わずに俺は足を引きづりながら吹っ飛ばされた。

 何が、起きた?

 一瞬、理解できなかった。

 だが、簡単に理解できてしまった。


 阿曽沼が嗤っていた。 

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