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「糸」
手首を走る一文字
溢れ落ちる赤
閉じたまぶたの青
足下がふいに消える
生きていくのは
そんなに辛いですか
愛されることは
重いだけですか
この空の下
あなたを
つなぎ止めるものは
何一つありませんか
愛しいと声が枯れるまで
眠るあなたに呟いても
細い肩を暖めるように
抱きしめても
届かないなら
この腕にもこの声にも
意味はない
掴まえた手をすり抜けて
いつか雪のように消えてしまう
そんな予感を胸に
歯をくいしばる
いつかふいに告げられる
さよならに怯えながら
それでも
明日へ続く
この細い糸を
私はけして
離さない




