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23話_サキュバスと姉妹添い寝ラプソディ

リーガロウ襲来の一件で、ミュウに助けてもらったお礼としてなぜか一緒に寝ることになってしまった僕。これはその日の夜に起こったお話。




「───というわけでして……」


リーガロウからの襲撃を逃れ、

家に帰り、ソフィアに事情を説明する。


「……」


「…………」


訪れる沈黙。


ミュウの接触自体をソフィアが好まなく思っていることは前に聞いている。

ソフィアの浮かない顔から察するに、複雑な気持ちになる。


とは言え、どうすれば正解だったのだろうか。


黙ってミュウと一緒に寝る、それは後が恐い。

そもそもお礼をしない、それはそれで今後助けてもらえなくなりそうだ。

最初のキスにしておけば、でも初めてのキスは出来ればソフィアとしたい…。


長い沈黙の後、ソフィアが口を開いた。


「わかりました。ひとまず、シオリが無事に帰って来れたことに感謝です。ミュウにも後でお礼を言わないと」


ソフィアの落ち着いた口調。

だが、手が震えている。平静を保とうとしているのが、丸わかりだった。


「ソフィア、言いたいことは言った方がいい」


沈黙の中、シェイドが喋り出す。

こいつ、肝が据わっているというか、こういう時に真っ先に切り出せるのは尊敬する。


「シオリと寝たいならはっきりと言うべきだ」


「シェイドー!?」


話の進め方なんてものは関係なく、直球を投げ込むその姿勢については一度話し合わなければいけない。


シェイドの言葉で顔を真っ赤にさせてうつむくソフィア。そりゃ、こんなにストレートな物言いされれば真っ赤にもなる。


「シオリもシオリだ。何故ソフィアと寝たいと言わないのだ」


「言うわけないだろ!!」


「何故だ。言葉で伝えないと伝わらないと言ったはずだ」


「…シオリは、私も一緒に寝たいと言ったら軽蔑しますか?」


黙っていたソフィアが恐る恐る口を開いた。


「えっ、いや全然しないよ!!それじゃ、ソフィアも一緒に寝よう!!それなら安心だ!!」


思いもしないソフィアからの提案。この機を逃してはいけないと直感が告げていた。


「じゃ、じゃあ今日はミュウとソフィア、3人で寝るということで…」


「は、はい、お願いします……」



◆◆◆◆◆



「それで、姉さまも一緒になったのね」


「うん、そうなんだ」


ミュウは荷物片手に僕の家にやって来た。玄関前で事情を説明する。


「別に構わないわよ」


ミュウは特に気にするそぶりもなく、靴を脱ぐと階段を上っていく。


「もう部屋に行くのか?」


「パジャマに着替えてくるわ。見たければ別についてきてもいいけれど?」


「見ないよ、じゃあ僕はリビングの方にいるからさ」


「まったく張り合いがないわね。少しは喜んだらどうなのかしら」


「そう言われたってなぁ……」


ミュウはパタパタと階段から降りてくると僕を上目遣いに見つめてきた。


「私って…魅力ないかしら」


少し切なそうな表情をするミュウ。不覚にもドキッとしてしまった。

僕が顔を赤くするのを見ていじわるそうに笑う。


「なによ、ちゃんと反応できるんじゃない。そういう顔、もっと私に見せなさいよね」


ミュウはそう言うと階段を上っていった。


「ミュウ、来ましたか?」


「う、うん、部屋で着替えてくるって」


「わかりました。デザートをつくってみたのでミュウの分も用意しておきますね」


「じゃあ、そのこと伝えてくるよ」


階段を上がり自分の部屋をノックする。自分の部屋なのにノックするっていうのもなんか変だな。


「どうぞ」


ミュウの声が聞こえたのでドアを開けて中に入る。


パジャマをこれから着ようとしているミュウの姿が目に映った。


濃い紫色の肌が透けて見えるパンティとブラジャー、ガータベルトという色気たっぷりの組み合わせ。パジャマ自体は薄紫色の可愛いワンピースだった。これから着るところみたいで

肌と下着がばっちり見えている。


「どうぞって!!?着替え終わってないじゃん!!」


「別にいいじゃない。見たかったから来たんでしょ?」


「違うよ!!ソフィアがデザート用意してくれたからって、伝えにきたんだよ!」


「あら、そうなの。姉さまにはありがとうって伝えておいて。着替えが終わったら下に行くわ」


ミュウは平然と着替えを続ける。


頭に帽子まで載せていて、それだけ見れば可愛らしい女の子なのだが、さっきめちゃめちゃドスケベな下着を見てしまったので心がドギマギしている。


「わ、わかった。次から着替え中の時はそう言ってくれよ」


「考えとくわ」


ふふっとミュウは笑うと長い黒髪を束ね始めた。僕は心臓を落ち着かせながら階段を下りていく。


「ミュウ、どうでした?」


「着替えが終わったらリビングに来るってさ」


「そうですか。何かシオリに変な事しませんでした?」


“されては”いないので、何もないと答えておく。


「それならよかったです…。あの子がここまで異性に興味を示すって、天界にいた時は見たことないので不思議な気持ちです」


「え、そうなんだ」


「ミュウは私のそばにずっといましたので。異性に対する印象もあまり良くなかったのではないかと思っています。ですから、ミュウがシオリのことを好きになるのは安心ではあるのですが……なんか落ち着きませんね」


ソフィアは困ったようにふふっと笑う。


「心配するな、シオリにはソフィアだけだ」


「お前、そこは黙っておいてくれよ」


今日はセリフをシェイドにとられてばっかりだ。シェイドの空気の読まなさっぷりに、さすがにあきれて僕とソフィア2人で苦笑いした。



◆◆◆◆◆



「姉さま、さすがね。このデザート美味しいわ」


ソファに座りながらソフィアのつくったプリンを食べるミュウ。

足をパタパタさせている。


「うん、美味しいよソフィア」


「ありがとう。試しにつくってみたのですが、上手くいって良かったです」


カラメルの苦みと甘さがほどよい感じで美味しかった。これならいくつでも食べられそうだ。


「はい、あーん」


ミュウが僕にスプーンを差し出してくる。


「いや、僕も食べてるし」


「いいから、はい」


困ってソフィアの方を見ると、ソフィアの目が細くなっている。最近わかったことだが

ソフィアの機嫌が悪くなった時の目があんな感じになる。


「ミュウ、楽しんでるだろ」


「なんのことかしら?」


「……まったく」


ここで食べないのも後々面倒になりそうなので差し出されたプリンを食べることにする。


スッ。


反対の方向からスプーンが出てくる。

ソフィアが無言でこちらにプリンが載ったスプーンを差し出している。

顔はちょっとだけむくれ気味だ。


「ス、ソフィア…」


スッ スッ


無言の圧。

空気に耐えかねて、ソフィアのスプーンのプリンも食べる。


「美味しい」


ソフィアの目を見て答える。

コクッと黙って嬉しそうにうなずくソフィア。


「姉さまがそこまでムキになるなんて…」


ソフィアの行動に驚くミュウ。


「さて、デザートも食べたしお風呂に入ってくるかな」


「じゃあ私も」


「ちょっと待て」


するっと後をついてくるミュウを引き留める。


「それはさすがにマズイ」


「どうして?私は気にしないわよ」


「僕が気にするんだよ!!ソフィア、ミュウのことを見ててもらっていいかい」


「はい。ミュウ、今日は私と一緒に入りましょう」


「…わかったわ。姉さまと入るなんていつぶりかしらね」


ミュウをソフィアに引き渡し、風呂に入ることにする。

湯船に浸かり、大きく息を吐く。


今日も色々あって疲れた。


最近は近くにシェイドがいるし、なにかあればトラブルに巻き込まれるしで、1人でゆっくりすること自体がだいぶ久しぶりな気がする。


「悪い子じゃないんだけどなぁ…」


ミュウともだいぶ打ち解けてきたし、妹と思えば別に可愛くないわけではない。

ただ、ソフィアとのことを考えると、やっぱりはっきりさせておいた方がいいだろう。


振り返れば、だいぶ賑やかになったんだなと思う。


ちょっと前までは考えられないことだった。親父はずっと家を空けているのが当たり前だし(今もチャミュが来たっきり会っていない)、1人で暮らすのが普通だと思っていたから今の生活が不思議な感じだ。


最初、チャミュが家を訪れた時はなんだと思ったが、それがなかったら今の生活はないんだもんな……。


「シオリ」


「は、はいっ」


風呂場の入口からソフィアの声が聞こえる。


「もうそろそろ上がれますか?ミュウが一緒に入るって聞かなくて…」


「あぁ!もう上がるから、もうちょっと押さえてて!!」


ソフィアがいるから安心かと思いきや、そんなにゆっくりできるわけでもなかった。

家の風呂場の扉には鍵が付いていないため、強行されれば入られてしまう。

僕は急いで頭と体を洗うと風呂場を出る。


「はい、もう大丈夫だよ」


「すみません、せかす形になってしまって」


「まだ入ってても良かったのに」


「そしたら入って来たんだろ?」


「ええ、もちろん」


「自信満々に答えんでいい」


「ミュウ、私たちも入ってしまいましょう」


「わかったわ。気が向いたらシオリも入ってきていいのよ」


「入るかっ!!」


そんなやりとりをしながら僕はリビングへと戻った。




◆◆◆◆◆




私と姉さま、サキュバス2人で湯船に浸かる。


2人入るので丁度ぴったりくらいの広さでお世辞にも余裕があるとは言えない。


姉さまとお風呂に入るなんてあったかしら。天界の入浴場はこれの何倍も広くて湯気で奥が見えないくらいだったけれど、今より落ち着いて入った記憶なんてなかった。


好きな人がこんなに近くにいる安心感は心地良いわ。姉さまでこうなのだから、シオリが一緒にいればもっと素敵に違いないのに──。


「ミュウ、シオリをあまり困らせてはダメよ」


珍しく、姉さまのいさめるような声。


「私はシオリに好意を示しているだけよ。サキュバスなら普通でしょ?」


「そうね。でも人間にとっては普通ではないの。急なアプローチはシオリも困ってしまうわ。してはいけないとは言わない、けれどシオリの気持ちも考えてあげて。あなたは天使でもあるのだから」


「姉さまはどうして待てるの?不安にならないの?」


私は、純粋に気になった。

サキュバスの力を抑えているとはいえ、半分はサキュバスの本質はあるはずなのに。

ゆっくり待っているなんて考えられない。自分を最大限使って相手を魅了させてこそ

サキュバスとしての喜びがある、そういう風に私は考えていた。事実、シオリが少しでも私に興味を向けてくれると、他の男性が寄ってくるのとは比にならないくらい気持ち良さがこみあげてくる。その快感をもっと味わいたい。シオリにもっと私を見てほしい。


「姉さまはシオリと仲良くなりたくないの?」


私の言葉に、言葉を詰まらせる姉さま。なにかを考えているように視線を泳がせる。


「私も、で、できることならなりたいわ。でも、サキュバスとしてではないの…シオリとは、もっと、ちゃんと、こう……」


ここまでしどろもどろになる姉さまを見たことがなかったので、とても新鮮だった。

姉さまをそこまでにさせるシオリという存在に、もっと興味が湧いてくる。


「……姉さまには姉さまなりの想いがあるのね。わかったわ。でも、私もシオリのことが好き。この気持ちは止められないわ」


「…わかっているわ。その気持ちを止めはしない。ただ約束してほしいの、シオリにはちゃんと幸せになってほしい」


「わかったわ。私は姉さまもシオリも好き。どちらにも幸せになってほしいもの」


シオリも、姉さまもどちらも好き。どちらかを選ぶなんてできない。


「ミュウ…」


「だから、シオリには姉さまと私、どちらも好きになってくれればいいのだけれど」


「シオリは真面目だから、きっと悩んでしまうわ」


姉さまのつらそうな顔。そんな顔は見たくない。


「シオリも姉さまも幸せにする、それは約束するわ」


「ミュウ…信じるわ」


2人でゆっくりと湯船に浸かる。その時、私は1つ油断をしていた。サキュバスが持つ魅了の力は汗としても染み出すことを忘れていたのだった。



◆◆◆◆◆



「良いお湯でした」


「久しぶりに姉さまとゆっくりできたわ」


お風呂からソフィアとミュウが上がってくる。風呂上がりのいい匂いが鼻の奥をくすぐる。優しいシャンプーの香りを嗅ぐだけで心が安らぐようだ。


「それは良かった」


「シオリも入ってくれば良かったのに」


「だからそれは無理だって」


「じゃあ次の機会ということで」


「それもないって」


「本当にそうかしら?」


イタズラっぽく笑みを浮かべるミュウ。


「あんまりからかうなよ」


「あら、私はいつだって本気よ」


「さぁ2人とも、そろそろ寝る準備をしましょうか」


「そうだね、そうしようか」


それぞれ洗面台で歯を磨く。こうして見ていると僕も兄弟の1人になったような気がする。家族のような雰囲気はとても楽しい。


「じゃあ、寝ようか」


寝る準備もでき、自分の部屋へと上がっていく。ミュウとソフィアも後をついてくる。

結局、シェイドにはリビングにいてもらうことにした。寝ている現場に居合わせたらどんな横槍が入ってくるかわからないからだ。


「、で…どうしようか」


どう寝たらよいものか。腕組みをして思案する。


「シオリが真ん中になって。私はこっちにするわ。姉さまは反対側」


ささっとスペースを確保するミュウ。手早い動きに完全に先手をとられる。


「じゃ、じゃあお邪魔します」


自分のベッドなのに。


どちらかを向くこともできず、大の字になる。その左脇にソフィア、右脇にミュウがいる。

それぞれのよい匂いがしてきて頭がクラクラする。


「シオリ、あの、ひとつ謝らないといけないことが…」


「え!?何?」


ソフィアの声が甘ったるくなっていることにドキッとする。


「私たちサキュバスには肌からも魅了の効果がでていて、それは水にも溶けるんです。そのことを忘れていて」


「私と姉さま、2人でそれぞれお風呂に入ってしまったから」


「から?」


「前みたいに発作が起きているような状況なんです…」


「あー、そういう…」


前に、ソフィアが言っていた不定期にくるサキュバスの衝動、それがミュウの魅了と相まって無理矢理引き起こされた感じになっているらしい。


「わかった、僕に手伝えることがあれば手伝うよ」


「助かります…」


「ちなみに、私も同じだから」


ミュウも心なしか目がとろんとしているような気がする。


ミュウは僕の指に自分の指を絡めてくる。小さな手が一生懸命何かを求めているようだ。


ミュウだけだと不公平なので、ソフィアの手を取り、指を絡める。最初は驚いたソフィアだったが、抵抗せずすんなりと受け入れてくれる。


端から見て、美女2人と一緒に寝るこの光景は夢のようなのだろうが、自分にとってとてつもない生殺し状態になっていた。


僕はもう何も考えず、このまま寝ることにする。それが一番安全だ。


「それじゃ、2人ともお休み」


「もう寝ちゃうの?」


ミュウのいたずらっぽい微笑み。絡めた指を動かしてくる。


「ミュウ」


「ちょっとしたスキンシップよ」


ミュウは僕の胸に顔をうずめるとおとなしくなる。ソフィアの方はというと、僕の腕にしがみついてきて衝動を抑えようと丸くなっている。


「シオリの匂いって落ち着くわ」


ミュウは僕の胸に顔を近付けたまま大きく息を吸い込む。余程気に入っているのか、なかなか離れようとしない。


「ねぇシオリ」


「なんだ?」


「サキュバスはね、好きな人と一緒にいられるとそれだけで幸せになるの。好きな人が振り向いてくれるともっと幸せになれる」


「姉さまのこともいいけれど、私の方も見てほしいわ」


ミュウが僕の上に乗っかり、僕を見つめてくる。


「(姉さまを愛して、私も愛しなさい)」


「えっ、ええっ!!?」


ミュウに耳打ちされ、一気に鼓動が荒くなる。


「そうすれば私も何も言わないわ。別に選ばなくていいの。平等に愛してくれれば、それでいいわ。私、姉さまのことも大好きだもの」


ミュウの言葉には迷いがなかった。本当にそう思っているのだろう。


「ミュウの言っていることはサキュバスとしての純愛です…。サキュバスは別に1人だけしかいけないというルールはないんです。でも、シオリは人間です。ですから、私は無理強いはできないと思ってます…」


「姉さまの意志は尊重したいから、私も無理は言わないわ。けれど、私はどちらも愛してさえくれれば、後は何も言わないわ。あなたが嫌なら変に迫るようなこともしない」


サキュバス2人からの求愛に困惑する僕。ここでどちらも、と即答できたらどんなに楽なことか。それでも、その選択をとることは今の僕にはできなかった。


困っている僕の顔を見つめるミュウ。


「あなたがそういう性格なのはわかってきたわ。別に今すぐとは言わない。ただ、私はそうしてもらうつもりでこれからもシオリには接するわ」


「ねぇ、姉さま」


「なに、ミュウ」


「シオリとキスしてくれないかしら」


「!!?」


ミュウの突然の提案にドキッとする僕とソフィア。


「ど、ど、どうしてっ!?」


「そ、そうだよ突然!?」


「姉さまが先にしてくれないと、私ができないじゃない。シオリだって初めては姉さまがいいんでしょ?」


あまりにも直球。


「え、ぁあ、そ、それは」


「はっきりしなさいよね。姉さまもそうなんでしょ?」


「ミュ、ミュウ。あまりはっきり言わないで……」


「いえ、ダメよ。そうしないと私ができないんだから。私は今すぐにでもシオリとしたいの。姉さま、私が先にしちゃってもいいのかしら?」


「そ、それは……」


ミュウのはっきりとした物言いにたじろぐソフィア。


「初めては、私で……」


振り絞るような、小さな声でソフィアが喋る。


「シオリ、姉さまにここまで言わせたのよ?」


ミュウが迫ってくる。


「ミュ、ミュウ。ミュウの気持ちはよくわかったよ。ソフィアの気持ちも。ただ、色んなことがいっぺんにありすぎて…。一旦気持ちを整理させてくれないか」


ミュウ、ソフィアとお互いに顔を見合わせる。


「ソフィアと、その、キス、というか、付き合うのを、ちゃんと、宣言してから、が、いいというか……」


こんがらがった頭で必死に説明をする。


「…わかったわ、じゃあもう今ここで宣言しなさい」


ミュウは起きあがると、僕とソフィアを無理矢理向かい合わせる。


有無をいわさず、見つめ合う形になる僕とソフィア。


早く言いなさいと言わんばかりのミュウの表情。


なんで、今この展開になっているのか…。

もうこうなったらヤケだ。僕はソフィアの手を取ると、ソフィアの目を見つめる。


「ソ、ソフィア…」


「は、はい……」


「こんな形になってしまったけど、、その、これからも、僕と、一緒に、、いてほしい……」


「は、はい……喜んで////」


お互い顔を真っ赤にしてうつむく。


「はい、キスして」


ミュウが間髪入れずキスを促してくる。

人前でキスをする気恥ずかしさ、最早それもサキュバスの魅了のせいなのかわからないが感覚が麻痺してきた。


促されるままに、ソフィアと向かい合う。


「い、いくよ…」


「は、はい……」


ソフィアの肩をとり、優しく引き寄せる。

目をつむり、唇と唇をゆっくり重ね合わせる。


一瞬の至福の時。


その後、恥ずかしすぎてまともに目を合わせることもできず、目をそらしたままお互い背を向ける形でベッドに横になる。


自然とミュウと向かい合う形になる。


「ようやくここまで進んだのね。私に感謝しなさい」


小声で僕に語りかけてくるミュウ。


「だいぶ強引だったけどな…でもまぁ、ありがとう」


「お礼なんて、」


そう言うとミュウは僕の唇に自分の唇を重ね合わせた。


「!?」


口の中いっぱいに広がるバニラの味。サキュバスの唾液はデザートなのだろうか、甘ったるい味と舌の感触が口の中に充満する。


「セカンドキスは私がいただいたわね」


ミュウはペロッと舌を出すとイタズラっぽく笑った。


「姉さまも、私も大事にしてね」


「あ、あぁ……」


気恥ずかしくて、ミュウの顔も見れなくなる。この数分のうちに2とキスすることになろうとは。


いろんな気に当てられて、まともな思考ができていない。僕は2人の顔をまともに見れないまま、目をつむった。


そのまま、疲れもあってかゆっくりと眠りへと落ちていった。







朝から頭がぼーっとしている。


昨日の出来事があまりにも沢山起きすぎてオーバーヒート状態だ。

リーガロウとの出会いなど遠い過去の出来事のように思える。


朝、目覚めた時にはソフィアもミュウも、パジャマを着ておらず下着姿のみというあられもない格好だった。状況が理解出来ず、2人が寝ぼけている間に慌てて部屋を飛び出す。


その後、朝食の準備やらを進めていたが、頭がまったく働かず、出来もいつもよりぼんやりとした朝食が出来上がった。


その後、ソフィアとミュウが起きてくる。


「おはようシオリ」


「シオリ、おはようございます」


2人ともしっかりとパジャマを着ている。あれは見間違いだったのだろうか。


「2人とも、おはよう」


3人でテーブルに座り、朝食を食べ始める。


「シオリ、昨日は進展したのか?」


シェイドが語りかけてくる。状況がわからないだろうか気になるのもわかるのだが、口にするのも恥ずかしい状態で、どう説明したらよいものやら。


「だいぶ進んだわよ。ねえ?」


「ほう、そんなに進展したのか。シオリよ、見せてみてくれ」


「えっ、そういうのじゃないからさ…」


「あら、いいじゃない、シオリ」


「えっ」


そう言うと、横にいたミュウが僕の唇にキスをした。


「なっ!!?////」


照れて思わず唇を手で覆う。昨日のはやはり夢ではなかった。


「シオリ、私が期待していた進展とは違う方向に進んでいるのだが」


「えっ、あっ、そうじゃなくて!!ちゃんと、ソフィアとも、ねっ」


しどろもどろになりながらシェイドに説明するが最早伝わらない。


「ミュウ、そういうことは人がいるところで堂々とするのは禁止ですっ!」


「あら、姉さまもすればいいじゃない」


「駄目ですっ!そういうのは、もっと、ちゃんとしたところでないと……」


「わかったわ、姉さまのいるところではしないから」


それは、いなかったらするという風に受け取れるのだが…。


「とにかく、事態は余計悪化したと見ていいのか?」


「進みはしたんだけど、真っ直ぐ進んだわけじゃないことだけは確かだね…」


シェイドの言葉に、今伝えられる言葉で返す。


「私は満足しているわ」


「ミュウはそうなんだろうけど…」


「ソフィアよ、言いたいことははっきり言った方がいい」


「嬉しいことでは、あるのですが…姉として複雑な気持ちです」


こうして、僕とソフィアの関係がまたひとつ複雑になりながら、怒涛のような1日が過ぎていったのであった。



追伸:後日、僕とソフィアは2人で話し合い、2人だけの時間をつくることで仲を深められるよう約束したのだった。


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