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19.伝説級の鍛治士

よろしくお願いいたします。



「ああいうの、半年に1度は見るよな」


俺が悪さをしていた三人を片づけて、貸出屋からでてきたダグラスを見つめれば、彼は小さく苦笑した。


「お前が貴重な武器や防具を貸し出すからだろ。大金はたいても手に入れられないような代物がゴロゴロ借りられるんだからな。持ち逃げしたくもなる」

「使わないものをたくさん持っててもしょうがないだろ。俺は収集家じゃないからな」

「クロゥがこだわらなさすぎなだけだから。宝剣や神剣レベルをランクEが持つとかありえないから。普通じゃないから」


空間魔法が使える俺は収納をすべて空間に放り込んでいる。ストレージという魔法だ。なのでたくさんあっても困ることはないが、貴重な品なら有効活用したい。

と思って始めた貸出屋だが、当初トラブルが続出した。

商品の持ち逃げ、すり替えだ。

商品が壊れただのと言って戻さない輩も出てきた。


ちなみに貸出期間がくれば強制的に品物が貸出屋に戻ってくるので、貸出期間の滞納はできないシステムになっている。延長申請して追加料金を払えば問題はない。最長2年まで契約できる。

持ち逃げやすり替えをしても結局商品は戻ってくるので問題はないのだが。


さすがに10年もたてば、トラブルを起こす客は半年に1,2度見る程度にまで落ち着いた。


「自己防衛のためにも親父さんを置いてただろ。返却者カウンターに、なんであんな新人の女の子がいたんだ?」


あまりにトラブルが続くため、貸出屋には屈強な男たちを配置した。


鍛治士の暑苦しい中年男たちだ。腕もランクA以上を揃えた猛者でもある。貸出屋の店長フォージ・テンパはその中でも伝説級の腕を誇る鍛治士だ。元ランクSの冒険者であり、貸出屋の思想に共感して協力してくれる頼れる親父だ。


小柄だが筋肉がぎっしりとした筋肉だるまな体形をしている。


「親父さんは別件で外にでてんだとさ。泥棒が入ったらしくて、鍛治士連中引き連れ大暴れしてたらしいぞ。その後警邏隊にしょっぴかれたらしい」

「親父さんたち、血の気が多いからなぁ」


脳筋ばかりの集まりだから、誰も店に残るという考えがなかったのか。

結果として新人の子が一人で受付から返却までをこなすことになったわけだ。


「ギルドの受付連中には連絡したから、すぐに何人か来てくれるそうだ。これで、サラちゃんも安心だな」

「誰だよ、サラって」

「さっきの貸出屋の受付カウンターにいた娘だよ」

「お前、いつの間に!」

「クロゥが楽しくケンカしてる最中に、その他のことを片づけただけだろ」

「誰がナンパしろっていったんだよ」

「業務上名前を知っておくのは必要だろ?」

「お前の肩書はギルド長付き補佐官だろうが!」


なんの業務で必要になるのだろう。


ダグラスの社交性まじ怖い。


お読みいただきありがとうございました。


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