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10.炎の魔女と2人の新しい仲間(一名既出)

書き直したら長くなりました。すんません・・・。

「うし、ここだな。すみませーん」


 休日の昼11時、エジルの家からほど近い店の前で、

 ある人と待ち合わせをしていた。


 ・・・



「何よ用って?」

「何でもないんだけど、元気な顔見たくてな~」

「!っ貴重な学生の時間使ってやらせる事なの!?」


 ある人、と言うかフラムを呼び出したのは、前の会話で少々気になる所が

 有ったからなのだが、ちょっと悪戯したくなった。すまんすまん。


「あー、ごめんなさい。前聞いたクラスメイトについてもちょっと

 話したくてさ。迷惑だったか?」

「別に良いけど・・・けど大事な用って言うのはおかしいでしょ!」

「青春に大事じゃない瞬間が有るとしたら、仲間と思っていた人に

 捨てられた瞬間か、別れ話位だろう(別れ話は別かも)。それ以外は

 とても大事だ。少なくとも、俺はそう思う。分かりづらいかもだけどね」


 とても失礼である。が、それもまた事実なのだ。結局、運に左右される

 彼等の青春において大事なのは、大切な人がちゃんと幸せである事、

 だと克己は断じる。自分だけが幸せな事が、何故かとても

 不満に感じてしまう瞬間があるから(本人談)。


「だから、話を聞かせて欲しい。話せるだけでも良いから」

「・・良いの?」

「勿論、だって、そのために時間を取ってもらったんだから」


 口調から感じる印象と、実際の彼女の性格は、とても乖離していると思う。

 自信がないから知っているキャラクターで補強した性質を流用し、

 不安だから他人を拒絶しようとする。その様子が、昔見た誰かさんと

 重なってしまった。それだけの話、だから、それだけで終わりたくなかった。

 克己にとってはそこが大切だったから。


 ・・・説明中



「はぁ、酷いもんだ」

「でしょう!?」


 聞くに堪えない。と言うには少々誇張しているが、それでも十二分に

 陰湿な内容に、下らないと息を吐く。


「携帯チョーカーと録画は?」

「グループ内の一人がアレ(・・)だから無駄なの」

「あ~・・始末に負えないなあそれだと」


 〈アレ〉と言うのは、20年前に発生し始めた特殊な人間の事を指す。

 この場合は、電子機器を(・・・・・)誤作動させる(・・・・・・)能力の事だろう。

 他にもいろいろ有るが、最も面倒臭いのがコレだ。うちの機器1割方

 この能力で壊されてるからね!時間掛けて対策したけど。


「まだ高いけど、う・・・〈ノア〉の監視装置なら一応アレ対策出来てるから、

 学校側に検討をお願いしてみると良い。ダメなら、一応GPSだけ

 付属してるのが大きい所で一つあるから、それだけでも」


 と言っても、めっちゃくちゃに高いから多分無理なんだよなぁうちの・・。

 商品の最低額7万円越えてるとかなんなんだろ。決めてるのうちじゃない(・・・・・・)けど。


「これ以上はお節介が過ぎるかな、立ち入った話はここまで!

 変に緊張する話をしてしまったね。ご飯でも食べよう!」


 なんだかんだで暗い話をしてしまったお詫びに、食事は俺の奢りにした。

 財布は圧迫された。


 ・・・・雪山



「つっらい!!」


 フリーズ・ウィードの採取について来てもらったが、寒さまで

 再現度高い・・、上着買ったのに凍えそうな寒さだ。


「氷結耐性のリング買えばいいのに・・・」

「そんな金は無い!」


 単品1000T(初期所持金1500T)なんだもの、無駄金を

 使う余裕は流石に無い。救いと言えば、向かう途中で獣モンスター、

 オオカミをテイム出来た事と、寒さに耐性のある鳥類モンスターを

 テイムしていた事か。


「〈ヴィル〉辛ければ戻れ、我慢する必要は無いぞ」

「ガウ(問題無い)」


 うひゃー格好良い。立つ瀬ないじゃんか。上のオウル先生こと、

 〈ヴァイス〉には頑張ってもらわないとだが。上からの索敵って

 とっても便利。


「ん、前方70m、見え辛いが2体、ラビットか?」

「テイムする?」

「今度やるから大丈夫。マキとの待ち合わせ的に早めに終わらせたい。

 急ごう」

「・・了解よ!〈火球(ファイアー・ボール)〉」


 ここで一つ伝えよう。フラム・ヴィクトーレの火力は―――


 ジュウウウウウウウ!!!


「っじか!!」


 現プレイヤー最強である。


「あー、やりすぎちゃった・・だいじょぶそう?」


 炭になったラビットと、蒸発しきった地面から岩肌が覗く。

 フラム・ヴィクトーレの放った魔法は、その次に起こる現象の

 引き金となった。


「・・・いや、これ駄目だ。この子乗せろヴィル、走るぞ」


 響く轟音、はるか遠くから滑り落ちる雪が流れを作り、大きくなりながら

 近付いてくる。


「やっぱり駄目なのね。攻撃魔法だともう5つくらいしか使えるの無くなっちゃった」

「言ってる場合か!」


 遠くとは言ったが、加速しながら迫る雪崩なんぞものの数分で来てしまう。

 岩場が有れば助かるが、少なくとも見渡す限り・・いや、フラムが吹き飛ばした

 地面の延長線、およそ100mの位置に洞窟が見つかる。ナイスだヴァイス!


「あそこに洞窟が有るからそこで雪崩をしのごう。今回は時間切れでも良いからね」

「あの洞窟・・・、あ、大丈夫よ!あそこなら目的の物が有るわ!

 ちょっと強い敵が出るからおすすめからは外れるけど」

「それは助かる、俺が不安要素なのはとても遺憾だけどね・・。

 それにしても、何で俺より遅いの、教えてもらって良い?」


 フラムのレベルは確認した限りで24、ちょっと上げて6の俺とでは釣り合いが

 とれていない。だからこその遅さ。移動速度ならヴィルの方がまだ速い位だ。

 ってか、あり得ない速度で上げてるな、普通にやったら3週間掛かりそうな

 位のレベルを一日で・・。ま、聞く必要は無いか。


「仕方ないじゃない。だって、速度に振ってないんだから」

「最低限振らないといけない数値が有るんじゃないの?」

「それを無くすために最初のジョブにアレを選んだのよ。・・・ちょっと

 ズルしたけど(ボソッ」


 おい、最後小さかったが聞こえたぞ!


「ズルか~、ま、程々にね!」

「聞こえてたか・・・」

「あんまり小さいと、また距離感バグるから忘れずに!!」

「それはあなたがどうにかしてよ!??」


 違いない。と、笑いながら進む先、結晶の風穴の光が彼等を照らした。


 ・・・結晶の風穴



「何でここ明るいの?」

「魔力を含んだ雪石は光るのよ。原理は分かんないけど」

「ほうほう」


 へー、これ雪石って言うんだ。ちょっと持って帰ろ。


「ちなみに、雪石は常温だと1時間で溶けるから、持って帰れないわよ」

「えー」


 何その面倒臭い設定、ズルせず素直にランタン使ってろってか!?

 まあ、その通りなんだが!!


「雪山だと光源になるから使うんだけどね!」

「一欠だけもってこ・・・にしても、草一本生えてないなぁ」

「この先よ。もうちょっと頑張って、オオカミさん」


 鉱石に似た結晶以外は岩と土だけで出来たその場所を

 進み続けると、広い空間に到達した。


「重ければ降りてもらうが、良いか?」

「・・がう(おろした方が良い)」

「ボスね・・・来るわよ・!」


 ドオオオオオオオ!!!


「ッ煩い!!?」


 銅鑼に似た轟音が響き、熊に類似した5mを超す巨体が立ち上がる。

 マジで熊みたいな顔してんなー。


「でか・・!」

「お腹は鉄みたいな硬さだから、其処だけは絶対攻撃しないで!

 衝撃でしびれてるうちに殺されちゃうわよ!!」

「了解、弱点の情報を」

「属性は火、雷、土、打撃 弱点は頭と足!!」


 良いね、じゃあ。


「まだ経験足りてないだろ。引っ込んどけ〈ヴィル〉、〈出て来いノワール〉」

「ぐぐあ(状況を)」

「パターンを見ろ、避けろ、頭か足を殴れ。それ以外は要らない」

「ガ(了解)」


 ダッ!


「えっ、ウソそれだけ!?」

「気を付ける攻撃方法だけ教えて〈炎の刃(ファイアー・カッター)〉」


 遠距離はなさそうだが、こっちは足がない。寄られる前に潰した方が

 間違いはないだろう。と思ったが、ノワールと戦うのってなんか

 慣れてる(・・・・)感じがするんだよなー。思考の共有が

 スムーズだ。


「え、えと・・振り下ろしは構えてから2秒ディレイ、押しつぶしは範囲から

 外れても衝撃波で2m先まで吹っ飛ぶから屈伸したら逃げて!!」

「だとよ。効果無し、これはダメですね。近づいて注意引くから火力任せた。

 あと、効果のある香辛料とかある?」


 こっちにヘイト向けさせたい。獣系なら唐辛子行けそうか?


「刺激系は効果あるけど、目を潰すと暴れまわるから絶対やめて!」

「効果ありって事は使用そのものは大丈夫か?っとと!」


 ドオン!ドオオン!!


「粘膜系は大体怒って暴れまわるからダメ!」


 洞窟内だと埋もれる心配も有りそうか。じゃ、次善手だ。


「片目だけ潰す。足に集中砲火を、後はヘイト取るから任せた」

「分かったわ、けど無茶しないで。レベル7なら即死圏内だから〈感電(ショック・ボルト)〉」


 バチッッ!


「声出さない理由は?」

「すぐに分かるわ〈炎雷(フレイム・サンダー)〉!!」

「キュルルルル・・・〈咆哮〉」


 ガシャアアアアア!!


「HP半分で発生するランダム行動、咆哮、こいつの声はね、

 敵対対象を殺す為の機構としてしか使えない調整がされてるのよ」


 所謂ボスキャラを直撃とは言え二発でコレかよ・・。まあ、

 近付くべきではないんだろうが、狭すぎて間違いなく走られたら

 終わる。・・しょうがない。


「飛べ、援護する」

「・・リキャストは最短30秒」

「が(感謝します)」


 ダッ!


「次、喰らったらダウンするけど「ダウン中の攻撃は要らん!」左回りで

 立ちまわって!!」

「了解」

「〈スラッシュ〉」


 ザグッ!


「〈火球(ファイアー・ボール)〉」

「・・・グ⁉」


 8秒経過


「頭回れ!」

「ぐ・・・ッ!」


 ブンッ!!


「そのまま走れ!」

「ガ!」


 ディレイ無しの振り下ろし、と、頭部からの噛み付き、一人なら

 視界が通らないが、2人いれば片方に対処するだけで良い。

 眼前に捉えた巨体の頭部にその魔法を打ち込む。


「今度は効果あれよ?〈火球ファイアー・ボール〉」


 ジュッッ!!!


「——————ッ!!?」

「今だ引けっ!!」


 ドオオオン!!


 立ち上がりモーションを無視してジャンプすんじゃねえよこのクソボス!!?


「十分よ〈土の大槍(アース・ランス)〉」


 ドチュッ・・・!


「なん・・・っつう・・!」


 巨体が、数トンを優に超える生き物が、魔法一つに動かされ、

 壁に縫い付けられる。意味が分からん・・。本当に同じ

 プレイヤーかよ。


「あとはとどめだけよ」

「攻撃通るのノワールとフラムだけだから任せた~」

「ガグ(では私が仕留めます)」


 ザグッッ!


 体を貫かれ、身動きの取れない中、残った切り札一つすら

 使えず、その生物の命は終わった。


 ・・・



「ノーダメ勝利!」

「テイマーなのに無茶苦茶な戦い方するわねあなた!?」

「だって弱点魔法が効果無いんだもん。囮の方が使えたろ?」

「呆れた・・ならなんであのオオカミさん使わなかったのよ!」

「だって死ぬんだもん、こいつは登録したけど」

「あぁ・・・所有物には思い入れ持つタイプなの?」

「切り捨てるにはちょっともったいないと思う人ですね。

 テイマーがどんな職業か知らないけど」


 はぁ・・。と大きくため息を吐いた後、また大きく吸って

 清廉な顔をする。・・・かわいい。


「あの「かわいいな」・・ッ!何言ってんの!??」


 すまん、俺、ちゃんとしようとしてる女の子とか男の子見ると

 超テンション上がる人なんだ。なんだろ、共感?なのかな。


「ああ、邪魔したか。ごめんなさい。続きどうぞ」

「テイマーは、低レベルのモンスターを沢山展開して、ヘイトを

 分散させながら後ろで魔法撃つ。って言うのが鉄板なの!」


 それは楽なんだろうが、分散した経験値と、何より、

 精神衛生上宜しくない気がする。


「役に立ったでしょ?」

「それは・・そうだけど」

「なら良し!」

「良くないわよ!?」


 ハッハッハ、ちょっと危険なくらいが丁度良いんだ。

 そうじゃなければ、やる意味(・・)が無い。


「あ、ごめん、もう時間無い。早めに採取終わらせよ」

「え・・あ、ほんとだ!」


 と言う事で、今回の探索は終了した。フラムさんマジで

 ありがとうございました!!


 ・・・・



「マキー、着いた~」


 ・・・・・Sideマキリス


「聞こえてますよー、あと5分位で着くので待っててください~」

《分かった、そんじゃあ近くの雑貨屋で待ってるぞ》

「はいー」


 ピッ・・・


「さてさて、それでは早く行きましょうか〈小さな灯の光(リトル・ランプ・ライト)〉」


 ・・・・



「お待たせしましたー」

「おう、メール通り午後からは暇だったから来たぞ。

 メールの内容、忘れてないよな?」


 現在、現実時間で午後3時00分、誰かとやってないなら

 やろうか?と送信したら、ノータイムで行けます!と返って来たので、

 2人(他にも居たら適当に)でやろうと言う事になった。


「えー、フレイム・ロックの採取ですか、鬼の様な人が居るもんですね~」

「〈ニルド鉱山〉に行けば比較的安全って事だしまあ、なんとかなるだろ?」


その声にマキの顔が苦い物へ変わる。何だこの反応は?


「ニルド・・成程、ただあそこは遠いんですよねー 暇な時にしか

 行けませんし、こっちから<リューネス〉に行かなければ入れません」


 〈水の都リューネス〉大陸1長く広い川の湖畔に国があり後ろを湖、

 前を海に囲まれている事も有り、豊富な資源と漁による特産品で

 経済が出来上がっている国でもある。機械も有るが、港の方には

 あまり流通していないそうだ。


「しかも、あそこのエリアボスは面倒なタイプの敵なんですよねー」


 マキによると、エリアボスの名前は〈草原の鮮血・グリーブ〉

 オーク劣化種の様で前にLV7の魔法職が戦った時には、確定1撃死だった

 らしく前衛職のなかでもタンク系統が1人は欲しいと言う話だ。

 しかも、弱ると攻撃力が上がり、その時には下手な防御だと突破されて

 しまう為、推奨レベルは11現在レベル7の俺にはちょっと無理だ。


「南のエリアは解放されてるみたいなんですけどね~安定しすぎて

 こっちは旨味が少なすぎるんですよ」


 南エリアのボスは〈貪欲のギグン〉まあまあHPと、そこそこ高い攻撃力

 以外に特筆事項が無い。と断言されている位に弱い、現在最弱のエリアボスだ。

 そこまではレンでも知っていたが、肝心の南に何があるかは全く知らなかった。


「南ってのはどんな国があるんだ?」

「未知です、皆西に戻りたくなくて頑張ったんですけど、そこを抜けた所為で

 やる気が底を着いていたみたいでですねー。リューネスから西には

 向かったんですけど、南には昆虫系モンスターが多く出まして・・・ね?」


 折れてひたすら北上した訳ですよ。と、言外に語っているのを見て

 どれだけβ版の昆虫達が厄介だったのかを再認識した。

 先発組ほぼ全員心折られてんじゃねえか!


「まあ、時間も有るみたいですし新人さんを助けつつ、軽くレベル上げに

 勤しみましょう!」


 私には必要ないですけどー感が出過ぎて辛いわー。こう言う所で

 もうちょい顔を作るとかしてくれないかなぁ・・・無理だな。諦めよう。


「そうするか、この前みたいな事が横行するとやめる奴も居るだろうからな」


 と言う事で、辻ヒールで経験値を微妙にゲットしつつ、成れていない

 初心者を助けてみる事にした。


 ・・・・



「大丈夫か?〈簡易回復(シンプル・リカバリー)〉」


 かれこれ1時間と少し、死にそうな奴を見つけては辻ヒールしつつ、

 初心者にはちょっとした戦闘指南をしていた。ロプトもこれなら

 怒らないだろうに・・。まあ無理だなマキだし。


「ほれよっと」


 グピ・・グキャ・・


 一発で殺せるのは良いが、やっぱレベル上がらんなぁ。


「あ、ありがとうございます」


 助けた子の一人、何と言えば良いだろう非常に美形なのだが、

 女の様に華奢な体つきをした男の子?の声にマキが反応する。

 落ち着け。


「あのー・・・」

「ああ、ごめん、大丈夫だった?」


 声は変声期後、これは・・趣味じゃ無いなら成長率的に

 少し栄養不足だ。体弄ってるのかね。


「はい、危なかったので助かりました」

「むぅ、まぶしい!」

「・・・なら良かった。一緒にプレイしてる人は居る?」

「い、いえ、ゲーム始めたばっかりで、どうしていいか分からなくて、

 取り敢えず外に出れば何か変わるかもしれないって思ってですね・・・」


 ほほう、事前情報無し組と。親近感。そしてジョブ取得もしてないから

 ロプトには見つからなかったか。どんまい。んー・・どうしようか。

 一旦遊んでロプトの所に行かせるのが多分最適解だが。


「どうせだし一緒にやりましょう!時間が無いなら案内だけでも!!」


 良し、真面目に落ち着けマキ、前のめり過ぎて引いてるから!


「良いんですか?僕LV.1ですけど・・・」


 ギルドにも行ってないので当り前である。そもそもレベル0が

 最低値なので、そこも違うんだが、まあそれは話していけば良いか。


「気にしなくていい。むしろ、知らない人だけど、それでも良いかい?」

「はい、宜しくお願いします!」

「あー、なんか懐かしい。ありがとう。よろしく!」


 ギュッ!


 会ってから一番自然で穏やかな表情で、彼はパーティー入りを承諾した。

 ・・・あー、マキが面倒になりそうな顔してる。子犬か君は!!

 その顔ヤメテ、うちに居る人大抵その顔したら反応するから!!???


「マキリス、パーティーに追加お願い。俺やりかた分からん」

「わっかりましたー!」


 ・・・・



「良し、まさかジョブマスター(師匠)に街へ入って3秒で

 攫われるとは・・・何か、ドンマイ。でも、良い能力一杯らしいから、

 落ち込まずに行こう」

「う”ー・・頭がくらくらしてます・・・」

「強引にもほどがあります!まるで野人ですよもう!!」

「そう怒るな、割と話の通じる野人だったから」


 主に見た目がヤバ過ぎて半分位話が入ってこなかったが、

 最低限社交性は有る方だった。まあ、それはそれ、ミツル君は

 攫ったが(重要)。


「そう言えば、もう知ってるけど、自己紹介がまだだったね。俺は

 レン・コールマンこっちはマキリス、俺からテイマー、そっちは

 魔法使い系(ソーサラー)のジョブを取得してる」


 魔法使い系、と言うのは別に比喩ではなく、ずばりピンポイントで

 魔法使い系のジョブが有るのだ。最初聞いた時何言ってんだこいつ?

 と思ったのは内緒、しかも強いんだかなり。


「えっと、僕の名前はk・・・ミツルです職業は〈森林探索者(レンジャー)〉で、

 相手の気配なんかが分かります」

「ちょ、ちょっと待って下さい。あの原人レンジャーだったんですか!??」


 グイッ!


「落ち着かんかい」


 ビシィ!!


「いったいですねぇ!!?」

「マキ、おすわり」


 ストン


「よし、お手」

「私人間として扱われてませんね?」


 そう思うなら手を出すなこら。


「面白動物枠である事を否定できる要素が一つでもあるなら弁明して良いぞ」

「日本語話してます!」

「呼吸してますって言ってんのと変わらん」

「ハッハッ、カヒュッ───」

「っミツル君!?」


 ・・・・



「私なにかしましたか?」

「お前は一分前の事すら忘れるのか?」

「常に前だけ見ると決めてるので!」

「よし言ったな。じゃあ、昨日取られて半ギレになってた

 チーズケーキの詫びは無しだ!」

「あ、それはズルいです!卑怯です、ノーカウントを望みます!!」

「・・・ふふっ」


 さてさて、反応的には、女性から迫られると呼吸器系に異常が

 出る精神障害の一種と言う所か。日常会話としてはそれ程

 問題は無い。が、最初と2度目の差は・・接触か?


「なんかすみませんでした・・・」


 こんな会話をしているが、特に気にしていない訳では無い。

 省みることも反省する事も普通にできるのだ。けれど、

 ゲームの中と言うフィードバックが狭い中で過呼吸になったのは

 予想外だったのだろう。しおらしく謝る姿から、落ち込み度合いが見える。


「ごめんなさい、知ってる人ならこんなに反応しないんですけど、

 怒った顔の人?に手を引っ張られるとこうなっちゃって」

「怒ってはいなかったんですけど・・」

「真剣な顔とかも含むんだろ。じゃあ、別に女性苦手とかじゃ無いの?」

「いえ、それとは別に、急に動くとビクってなります」


 ババッ!


「・・・(ビクッ!」

「マキ、すてい」

「怖がってる訳じゃ無いんですもんねー」

「はい、なんかボク、動くものに体が反応し易いらしくて、特に嫌とかは

 無いんですけど、こんな風に反応しちゃうから、ご迷惑になったら

 ごめんなさい!」

「・・・サササッ」

「ビクゥ!」

「良い動きです。絶妙に気持ち悪い」


 おい、言って良い事と悪い事有るだろ!?・・・しかし、やっぱり

 ちょっと違う。びっくりしただけなら、あの目は変だ。

 言いたくないみたいだから深く聞くつもりも無いが・・・。


「・・・」

「あの!」

「・・あ、ごめん、マキがサムズアップしてたからやった」


 良くも気持ち悪いとか言ってくれたな、お礼に巻き込んでやる。


「今日ずる過ぎませんか貴方!??」

「嫌われないためなら何でもやる所存」

「私の尊い犠牲はどうなるんですか!?」

「尊くねえ」


 むしろ自分から自滅しに行ってる辺りカモノハシより生き方下手くそだろ。


「ひどいっ!お父さんにも、もうちょっと控えめになれば

 素敵なレディーの仲間入りなのになぁ・・。くらいにしか

 言われた事無いのに!」

「お父さんそこそこひでぇ・・・。うん、スデキナジョセイダネ」

「何で棒読みなんですかあ!?」


 素敵な女性は飲み会で潰れて介抱した先輩のアパートを

 汚さねえから!!そして直近10分前のお前を見返せ!


「い、良いすよ!こんな事で驚いちゃう僕の方も悪いんですし」

「そ、そうです?」

「はい、僕も頑張らないとなので!」

「んー、良い子してんなぁ君」


 クシャッ


「あ、ずるい」

「ん、あ、ごめん。髪くしゃくしゃにしちゃった。今直す」

「・・はい」


 ピッ


「それじゃあ、呼んでたメンバー最後の一人を紹介してくださいな」

「それでは、紹介しましょう!出てきてください!!」

「ああ、で、何処に・・・うお!」


 周囲を見渡していると、ぼやけた景色から、変な人が出てくる。え、

 何そのカモフラージュ機能!エンターテイメントに振り切ってない!?


「ヨロシク~、コークン!」

「おめーアンネじゃねえか」


 知ってる変人でした。


「おやおや?知ってる感じです?」

「いや知らん、こんな人の話聞かない奴何も知らん」


 何で仮面騎士から露店の怪しい商人にグレードダウンしてんだよ!?

 と突っ込みたかったが、アンネだから。と納得したので何も聞くまい。


「なんだヨー、一緒に戦った仲じゃなイ!」

「ほーほー、そんな関係が、一応ミツルさんには紹介しますね!名前は

 アンネ・ローゼウス、一応タンク職なのですけど、素顔のまま

 キャラクターを決定したみたいで、そこらの露店で売ってた

 怪しい人シリーズの服を買って着てるみたいなんですよねー。

 お金もあんまりないから装備が買えないそうです!!」


 ふむ、加工してないのか。めっちゃ恥ずかしい面してるとかなの?

 ってか、その話嘘だよね?絶対嘘だよね??


「あはは、まさかお酒に酔った勢いでキャラクリエイトしているとは

 流石のワタシも予想してなくてネ!」

「お前もまた酒カスか。てか、言いたい事はそれだけか、アンネ?」

「アー、フルプレートは偽装だヨ!実はずっと怪しい商人だったんダ!!

 ほら、商人さんだから、フルプレートメイル(ただの服)みたいなのが

 使えるのサ!三時間しか持たないんだけどネ!!」


 嘘だろお前・・。大きい盾持った変な商人に負けてたの俺?


「運営的には、アイテム使って装飾すればほぼ分からないだろうし、

 そもそもその状態で始めた時点からあなたの裁量ですので、

 キャラクター削除は可能ですが、現在の設定は変更いたしかねます。

 だっテー!ちょっと酷くない!?」


 素が出てるぞ素が。と言うか、実際問題、髪の色を変える程度の

 変更はクリエイト後にも出来るから、それだけでほぼ分からんだろ。


「お前も苦手な方のキャラだろこいつ。何で誘った?」


 酔った勢いのままにキャラクリエイトする不器用を超えた器用さ、

 確実に金ありそうな感じの雰囲気が有りながら顔を変えずに

 やっている現状、かなりの要素(ほぼ全て)が、

 こいつと積極的に関わりたくないと警鐘を鳴らす。ってかアンネだし。


「良いじゃないですか、最初に作ったキャラが少し悪かったからって

 辞めずにプレイし続ける。根性論上等って感じが私好みでした!!」

「言い切ったなこの野郎」


 お前マジで好みだよね全部、部屋の中もそんな感じだったし。

 どうにかしろよもう・・。まあ良いけど・・・良いけど!

 良・・い・・け・・・ど・・。


「まあ、・・・良い。それで、アンネ・・さんのレベルは?」

「アンネで構わないヨー、レベルは9だネ」

「・・・ハァ・・お前もう装備買えるだろ」

「今日一日でレベル上げたんだヨ!」

「行くよー」


 こうして、変な仲間と一緒にレベルを上げながら交流の輪を広げる

 一行だったとか。


次 

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