041●木製人形(つまり人型)との遭遇
日ノ御子神社までもう少しだ。マナ殿の足取りも軽い。
・・・うむ、何であろうか、行く手を阻む影がある。
六尺を超える木製の人形。誰かが置いたのか。いや、動いているぞ。
物の怪か、妖術の類か。
「マナ殿、身どもの陰に。」
小声で囁き、距離を取る。人形の眼が赤く光り始めた。
「こちらに害意はない。道を急ぐところである。お通しくだされ。」
呼びかけても反応はない。両腕を広げて迫ってくる。
距離を詰められる、腕が振り下ろされる。
’星河薫風’の鞘を持ち、刃を下にして抜刀、斬り上げる。
手応えは軽い。右腕が宙を舞う。
だが、人形はふらついただけで、残った左腕を振り上げる。
剣を反転させ、首から臍まで斬り降ろす。
豆腐を斬るような滑らかさ。人形は真っ二つになり、崩れ落ちる。
「マナ殿、ご無事か。」
「はい、新三郎様。」
返事を聞き納刀し、周囲を見渡す。気配がする。
まだ、いる。少なくない数だ。
少人数で多数と戦う・・・囲まれぬこと、各個撃破することが鉄則だ。
だが、今は違う。守るべき人がいる。
「身どもが血路を開く。走り抜けるぞ。」
マナ殿の細い手を引き、山路を駆けのぼる。
道は細い。一度に仕掛けてくる数は限られる。
それでも、右の山側からも左の谷の底からも、続々と姿を現す。
鯉口を切る。
正面を斬り、右を討ち、
左から谷を這い上がり足首を掴もうとする腕を斬り落とす。
我が背にマナ殿が続く。
いかん、数が多すぎる。




