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12/31

春の兆しと危うい吉報

3月も半ば。今月末から来月にかけて、関東でも桜が開花するらしい。

まだ肌寒い日もあるが、時折差し込む陽射しの暖かさに、季節の移ろいを感じる今日このごろだ。



人々が春の芽吹きを今か今かと待ちわびていたある日、桂子が弾んだ声でニュースを持ってきた。


また仕事が決まった、というのだ。ハローワークで見つけた障害者枠の求人に応募し、見事に採用を勝ち取ったらしい。


「本当か? お前、今度こそ大丈夫なんだな? 無理はするなよ」


「大丈夫よ、昭夫さん。勤務時間も短いし、ここなら無理なく続けられそうだわ」



どういうわけか、桂子は仕事を見つけてくる能力にだけは長けている。それなのに、せっかく得た場所をいつも大事にできない。何かあればすぐに投げ出してしまう。


(……まあ、とりあえずは喜んでやるしかないか。機嫌を損ねて、また振り出しに戻るのも御免だ。いつまで続くか分かったもんじゃないが、期待しすぎずに見ておくか)


「本当に大丈夫だから。周りの人たちもみんな親切だし、すごく居心地がいいの。今度こそ、長く続けられそうな気がするわ」

桂子は、自分に言い聞かせるように念を押した。



(たぶん、こいつの頭の中には、これまでの失敗なんて微塵も残っていないんだろうな。つくづくおめでたい奴だ。……まあ、不機嫌でいられるよりはマシか)



「来週からはお弁当を作って持っていくわね」

楽しそうに鼻歌を歌い始める桂子。


「そうだわ。来月の転院の準備もしておかなくちゃ」


(よし。転院の意志も変わっていないな。……頼むぞ、今度こそ。仕事も、転院も、うまく回ってくれよ)



もはや藁にもすがる思いだった。昭夫は、二人の行く末に少しでも長く光が差すよう、心の中で祈るしかなかった。



「ねえ昭夫さん、今日の晩ごはんは何? お祝いのご馳走かしら?」


桂子は、作ってもらって当たり前という顔で、お祝いの膳をねだった。




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