レオ隊長
――タダではやられてやらない。
その思いだけが、レオの体を突き動かしていた。
町、仲間、職務…。そのいずれにも当てはまらない何かが、どうしようもない状況を覆したいという思いを生み出している。
が、レオ自身にそこまで考えるような余裕はなかった。
構えた剣にすべてを託して、一心不乱に向かっていく。
「うおぉぉぉ!!」
数多の仲間を一撃で葬り去った大剣が、目の前に振りかざされる。
間一髪のところで横方向に回避するも、地面にたたきつけられた衝撃で割れて隆起した周囲の地面が、レオの体を突き飛ばした。
「ぐっ」
地面に転がったレオの目に、紫色の眼光が移る。
――あいつの目は、今、俺に向けられている。だとしたら、今が好機か…。
「討伐隊、出ろ!」
レオの号令で、彼の背後の森の影から、軽装をした兵士たちが飛び出した。
「甘いな! 俺は調査・討伐、両隊の隊長だ!」
すかさず、奇襲した弓兵が巨人目掛けて無数の矢を射かける。
すると、紫色の眼光がひときわ輝いたと同時に、その目から鋭い光線が放たれ、飛んできた矢もろとも兵士たちを寸断した。
辺りが閃光のような光に包まれる。
振り返ったレオは愕然とした。奇襲をかけた兵の半数がやられてしまっていたからだ。
「化け物め…」
立ち上がったレオは紫眼の巨人に悪態をついた。
「だが…、ここで一矢報いてこそ、兵士の名誉というもの! 者ども、行くぞ!」
調査隊はろくに連携もとれない部隊だったが、討伐隊は違う。急遽編成された部隊とはいえど、選りすぐりの兵士たちを集め、戦術にも通ずる知識がある、戦闘のプロだ。その場その場で臨機応変な対応をすることも可能なのである。ましてや、調査隊の兵士たちがバタバタと倒れていく局面でも飛び出さずに今か今かと機会を窺っていたのだ。彼らの辛抱強さは、称賛と信頼に値するだろう。
「「「おう!!!」」」
討伐隊の掛け声とともに、戦闘の第二幕の火蓋が切って落とされた。
生き残った弓兵も、矢がきかないとわかるや否や、腰に差した剣を引き抜いて前進を開始する。
彼らの士気は、最高潮にまで昂っていた。




