ハランド編8 女子デート②
突然の告白に、飲みかけの紅茶を吹き出しそうになる。
「キョウさんは、私の好きだった方によく似てるんですよ。
アキさんを取り戻すために必死な姿。仲間を助けるために命を張れる強さ。
それに......」
キョウさんなら、私の本当の姿もきっと許容してくれる。
「私は、キョウさんの為ならこの命をかけます」
キキラの真剣なまなざしをリリスは受け止める。
目の奥に、二人の影を見た気がした。
「キョウのために命をかけるのは、わたしも同じよ。大切な親友だもの。
でも、キキラのそれはわたしとは違う覚悟みたいね」
「リリスさんのお気持ちも充分理解しております。
でも、私の気持ちとはたしかに違います」
リリスは、半分残ったケーキをそのままに腕を組む。
逡巡する。
キョウは幼馴染で親友。
共にアキを助けるという目的で一緒に行動している。
戦闘で、いつもここぞというときに助けてくれる。
わたしは、キョウのことをどう思っているんだろう?
「この話は、キョウさんには内密に。
恋愛関係のいざこざで解散したパーティーも、よくある話なので」
「わかったわ。キキラの気持ち、わたしの胸の中にしまっておく。
それにしても、あのキョウを好きになる人がいるだなんて。
想像もしてなかったわ!」
「傍目から見ても、キョウさんは充分魅力的だと思いますよ。
前世、スキルがない中でがんばる姿。
整った顔立ちに、決意を宿し揺るがない瞳」
「わたしはいつもキョウの近くにいるから、わかんない。
キョウはキョウだもの」
「ふふっ。リリスさんはてっきりキョウさんを好きなのかと思っていましたが、
ライバルにならないようでよかったです」
「わたしは、あの無鉄砲を放っておけないだけ。
もちろん、アキを助けたい気持ちは本当。
理由なんてそれで充分だわ」
リリスは、残りのケーキを一口で食べきった。
追加で紅茶とケーキを注文する。
リリスより年上のキキラが経験してきた人生譚、ハランドの街の話や今日の晩御飯、
二人の話には、花が咲き長く語り合った。
≫
2日後、僕は退院した。
火傷の後も残らず、元気そのものだ。
病院では、ヒールとともに手術を初めて経験した。
麻酔と呼ばれるガスを嗅いで眠くなる感覚は、不思議なものだった。
今後のことをゆっくり考える時間ができたのも有意義だった。
ダンジョンの宝箱。
それにアキを救う望みを託して、一気に攻略をする。
改めて決意を確認する。
「リリス、キキラ、お待たせ」
なぜか二人はほくそ笑んでいる。
なんだろう、何か違和感を感じる。
「さあ、これからまたダンジョン攻略開始ね!
次は40階。どんな敵が待ってるのかしら。
いずれにしてもわたしの剣舞で滅多切りよ!」
「ふふっ。リリスさんはいつも頼もしいですね。
もちろん、キョウさんにも期待していますよ。
私も守ってくださいね」
「もちろんだよ。2人は大切な仲間だからね」
――準備を整えてから僕らはダンジョンへと向かった。




