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舞踊劇酔夢譚 (バレエすいむたん)、僕は白鳥のバレリーナ  作者: 優鶴
チュチュへの挑戦、レッスン風景
10/22

スポーツ用品展示会、告白、励まし

第10話


市の展示場でスポーツ用品の展示会が開かれている。色々なスポーツの用具、補助具、練習器具やユニフォームなどが展示販売されている催しものだ。

大勢の来場者がいるようだ。


僕は学校では体育が得意で、運動部の友達も多い。

「行ってみようぜ」

彼らと一緒に行った。特に買うものが有るわけではないが、補助具や練習器具などを見て自分たちの練習に取り入れたいというのが理由である。

皆が所属する競技のエリアを順番に見て回った。


僕はバレエに何か参考になるものはないかという事で、体操、新体操、ダンスのエリアに入った。

女子レオタードもあり、僕はそれらのデザインや図柄に関心がありゆっくりと眺めていた。

仲間も初めは恥ずかしそうに見て見ぬふりをしていたが、

「ちょっと恥ずかしいな」

「こんなに近くで見るの初めてだ」

などと言いながら僕の周りにきて眺めだした。

「これとこれを一着ずつください」

僕は、キャミソール (肩紐タイプ)の女子レオタードで、濃紺の肩紐ダブルと黒のシングルを各一着ずつ、驚く仲間の前で敢えて買った。

「色、形、サイズはこれで宜しいですか。着てしまうと返品は出来ませんので」

女性店員は淡々と事務的に、レオタードをレジの卓に広げ僕に確認した。

仲間は息をするのも忘れて、口を半開きで目の前に広げられたレオタードを見つめている。下腹部のカット部分に視線が注がれているのが分かる。

「はい」

僕は平静に振舞った。

教室の女の子たちは最近、殆どがキャミソールを着ている。一種の流行りだが、白鳥のチュチュは肩紐でもあり、レオタードもその方が肩や腕の動きが分かりやすいからなどとも言っていた。

僕は半袖のレオタードを着ているが替えが必要になり、買うならば皆と同じキャミソールにした方が良いのかなと思っていたのだ。サポーター、ショーツ、ボディファンデーション等の下着類は複数購入しレッスン毎に交換しているが、気温も上がりレオタードも複数が必要になっていた。

また敢えて仲間の前で買ったのは、発表会で女の子として出る事を仲間に言う機会を伺っていたからだ。



会場の外に出て、ベンチでアイスクリームを食べながら休んでいると、仲間の一人に、

「お前、買ったレオタードどうするんだ。自分で着るのか」

と興味深そうに聞かれた。

「うん。そうだよ。俺が着るよ」

と僕は答え、続けた。

「実は俺、今度の発表会で女の子として出るんだ。本番は女子の衣装で出るし、練習も女子の練習着でしているんだ。」

仲間は一瞬どう反応して良いか分からないようだった。

少しの沈黙時間だったのだろうが、長く感じた・・・。


少し沈黙の後、

「そうか、頑張れよ」

と、僕と一番仲の良い野球部の友達が言って肩を軽くたたいた。

こういう時は最初の発言者で方向が決まる。彼の一言が方向を決めた。

すると「頑張れよ」「応援しているよ」と仲間が次々に励ましを言ってくれ、雰囲気が望んでいた方向になった。

笑ったり、にやけたり、からかったりする者はいなかった。

今まで僕のバレエ発表会を観た者もおり、僕が上手にしなやかに踊ることを知っている。

「俺、発表会を観に行くよ」「俺も行くよ」と言ってくれた者もいた。

「うん。来てくれ」僕は答えた。


仲間たちも、実はどう反応していいか分からず、とりあえず励ますしかなかったのかもしれない。

しかし、今まで心の中にあったモヤモヤが晴れた。

明日からの練習に意欲が湧いてきた。

読んでくださり、ありがとうございます。感想、評価を頂ければ幸いです。

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