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日本の定理・下巻  作者: 泉川復跡
【『算額主義』編】第十八章。都鄙の三角形
6/6

18.3. 雅實ちゃんと純彦君はゲーム実況をどう伝えるか?

「ご入場下さい、皆さん。ゲーム会場へようこそ」、純彦君の招く声が最早この裏庭の雰囲気を煽らせ始めた。

 10月15日の日曜日。週初と違って曇っている昼間だが、日光が明るく差されたまま、この高原にあまり寒くない天気を作ってあげた。私、純彦君と智埼ちゃんは洗濯した白いシャツ、皮のベルトと長いズボンを着直した。というより『花火團』の正規服装に着替えたのじゃ。ゲーム会場は遂に出来上がった。倉庫とした二層目は早朝解体され、中身の道具をゲームの開催に引き出してきた。階段を下を空にして作ったのはその為だ。ゲームの様子を子供達でも爪先立ちせずに視聴する為に、会場はジグソーパズルの絵らしく、釘を打ったり抜いたり板を組み立てる風に建てられたね。本番だった時、会場は50㎝ぐらいしか高くなかった。二層目を解体しながら会場の床をゆっくりと地面に下げるには大きな滑車を要した。この期待の日曜日を始める小さな課題を受けたわ。

 日の出のところ、私がシーブが付いた綱を持って行き、智埼ちゃん、純彦君と澁薙君と両側の杉を登った。澁薙君が綱の先と一個のシーブを投げ、純彦君が捕まえ、二人が木の一番厚い枝を見付け、二個のシーブをそれに固定した。二人の女子が木を降り、二本の篝に綱を外から回した。その前に、もう二個のシーブを通した。私と智埼ちゃんが綱を引っ張り、再びシーブを通し、綱が電球のところに上った時此奴の先に釣り針を差し込んだ。釣り針が会場の一層目の下に付いたと、滑車が完成して私達の頭の上にあった。こうして、純彦君と澁薙君がベルトを外し、両側の杉の間に渡した綱に当て、しっかり掴みながらあそこから飛び降りた。二人の重さと重力は会場の数百キログラムの重さに勝ち、ゆっくりと会場を持ち上げていた。飛び降りる中に、杉の枝と篝を壊すほど摩擦しないよう、綱全体を予め石鹸で塗った訳だ。野生児の魂を持つ澁薙君が平気に飛び降りた一方、高いのが苦手な純彦君が他の枝を必死に掴んで自分の親友に励まされなければ、飛び降りられなかった。登る時に彼も怖かったね。智埼ちゃんにずっと背中を叩かれ続けた、上に届くまで。

 このゲームの初めてのプレーヤーである漕ぎ手さんの子供達が病院の裏庭に来た後は、会場が地面に引き下げられ始めた。この大きな手作りの滑車に興奮したというまでもないでしょう。引き下げるのは引き上げるのと逆様に力を入れるに過ぎないが、木の上の二人に加えて、篝の上のもう二人の力を要した。私と智埼ちゃんが杉を登り、前の飛び降りによって緩まった綱を引き返した。同じ方向で引き返すと同時に、篝を登った二人の大工おじさんが綱を緩めて引き出し、会場を出来る限りゆっくり持ち下げていた。大工で一番強い二人だ。会場がそっと揺れた時、私達がどうか力を出すのが合うようにしたり、二人のおじさんが落ちないように、足を組んだまま、胴を篝にまるで貼り付けるみたいに寄せたまましたり、綱を引いていた。「バタン」と大きく聞こえたね。優しい「ズシン」じゃなくて残念。でも、会場がまだしっかりしといて割れ目を残さずに済んだ。耐久性を試し上げると見做しても良い。

「兄さん姉さん達これまで仕上げたの?」、プレーヤーの一人の男の子が声を掛けた。

「うん。君達のお父さんが任せた富士河口湖の最高の大工おじさんのお陰様だぞ」と返事した純彦君。「ここはもう混んでるので、皆さん両側の杉に人数を配分して遊ぶ空間を広げてお願いします」

 純彦君の指示で観客や、遊ぶ出番を待っているプレーヤーが病院の出口を塞ぐほど混まないように障害物避けゲームと回遊魚ゲーム会場の周囲から五メートルぐらい隔てて横並びした。今は9時25分。ゲームの概要と規則を純彦君がきっちり紹介し、子供達の質問を応答してあげた後に、彼が審判を呼んだ。私と純彦君が司会者だし、降恆ちゃんがまだ笠人君と倉崎さんの具合を視察しているし、智埼ちゃんと澁薙君だけでは足りていないし、横澤さん達に審判をして貰うことを依頼した。横澤さんと野田さんを含めて八名を昨日から選んだ、八人のプレーヤーに応じて。殆どの六日間経って私達と相撲をやったり大工を雇ったり規則を読んだりしてくれたことで、漕ぎ手さんが自分の子供の遊びを支配してくれたら良いなと思った。審判で二名はどっちの組が先に会場に駆け上がるかを懐中時計を以て互いの向こう側に立って確認する。残りの六名はゲームの会場で待機する。

「自分の番号を書いた紙を服に貼り付けたのね。その番号で順番を守って並んで下さい」と私がプレーヤーに注意した、ハードルという第一の段階を始める前に。並ぶ前は左の組では3番、17番、8番、13番、右の組は19番、5番、9番、16番。プレーヤーの名前の代わりに番号を呼んだら便利でゲームらしくなる。

「智埼君、澁薙君、あそこに水を汲んで」と指示した純彦君。第二の段階の為の穴はまだ空いている。智埼ちゃんと澁薙君は水が溢れそうにたっぷりな二個の盥を運び、外に溢れない限り穴に流していた。七つの穴はどちらの組もが飛び越えなければいけない。

「小学生の勝負です。両組の首領である17番の下山(しもやま)君と9番の向田(むこうだ)君は互いに競争の目を交換しました。それでは参りましょう」という最初の実況を私が拡声器で述べた直後に笛を吹いてゲームを開始した。二人の審判は列の冒頭でのメンバーの第一の振る舞いに当たり懐中時計の秒針が動いたら始まりの秒だと確定した。3番と5番の男子は列を導き机と椅子を走り越えた、競技選手みたいに。途中で、向田組の16番はある机を越えようとしたが、物入れに足が嵌り後ろの椅子にぱっと転んじまって捻挫するところだった。下山組はその際に障害物を踏み出そうとしたがまもなく審判にばらされ元の所に戻された。両組はやり直させられ、跳馬など体操の技を使って障害物を飛び越えていた。そのところ、向田組の16番は9番のキャプテンの背中を押し付け、足を開き飛び跳ね、キャプテンの頭や前の机を見事に渡った。足がまだ丈夫だぞって証明してきたね。

『ハードル』段階は向田組の先制で終わった。七つの水溜りは次の障害物に。それぞれの水溜りの間に一人が平気に歩けるぐらい広い隙間がわざと残された。プレーヤーが穴を飛び跳ねずにその鰻のような隙間を通り過ぎてもこの段階を完成させる。その為、向田組はその隙間を利用して最初の三つの穴を見逃し、直ぐに違反しちまった。罰として彼らが審判にその水が一杯な穴に押され、服がびっしょりしたままやり直した。下山組も割とましにならぬ様子を持った。あるリズムにちゃんと飛び跳ねようとしている途中で、末尾の17番のキャプテンは足の伸びが足りず、穴の口にしか届かず、中に滑り落ち、敷く布を引き摺り下ろしたほどだ。仲間に引き上げて貰った後の下山君も、体も濡れた向田君も自分の組の足を穴の広さに比べ、穴が全て円形に掘り上がったと気付いた。それで、各円形の弦を足の伸びに合わせるように飛び直した。最適な弦を上手く飛び越えた下山組は『水溜り』段階を先に完了させて向田組に追い付いたのだ。

『匍匐』段階に入った両組は、豪雨を乗り越えたばかりのような百姓の服の姿だから、地面の摩擦にも邪魔されずに毛虫のように這える。但し、高原の中秋の日和に、びっしょりな格好で予め水を掛けられた地面に這うなんて本当に体を虐めるとは過言じゃない。青木ヶ原の風穴より半分の寒さを持つかもしれない。両組は息を切らしたまま這い続けていた。幾つかのメンバーが背を不意に僅かに上げ、砂と石塗れの紐に触れ審判に5秒で停止させられた。末尾なら仲間に隔てられたり、冒頭なら後ろの仲間を待たせたり、二人以上が触れたら組全体を渋滞させたりする5秒だ。停止はよって5秒じゃなく10秒、30秒、しかも1分に達することもあった。肘と膝を擦って進めていき、17番と19番がトンネルを出た直後に時間を測り上げた。向田組は最初に防御組となったという結果だ。

 15分休憩したのち、両組は戻って会場を上った。タオルで拭ったことでなんと暖かめる気持ちになった。向田組の各メンバーに十個の球を送ってから、彼らも下山組もに『川上に辿った回遊魚』ゲームの規則を教えていた。端に立つ審判は手帳と筆を持って両組の点数を記録する為だった。点数は個人のメンバーに当たり得点と減点で記されるので、彼ら全員の名は書かれといた。匍匐で苦戦した肘と膝に防具を備えて貰った向田組は思案によって穴を選び球を入れた一方、下山組は相手の仕草を見て策略を考えようとしていた。宝を隠すみたいに球を慌ただしく落とす自分の友達を観察して、戦略家みたいに口元に手を当てつつ、互いに詰めて立つこの小学生達を見たとは少し笑っちまったわ。球を入れた穴は『ヘの8シャープ』、『トの6シャープ』、『トの4シャープ』と『チの2シャープ』。全部は列の外れ。

「これから本番です。十回戦はお待ちになります。第一回戦は向田組は下山組を抗うことになります。それでは始め」、純彦君がそう合図を送った。黄麦小学校の仲間達は応援をちっとも緩めていなかった、その八人の少年が机と椅子の前に立って精神的に準備しているところからずっと。彼らはゲームに参加した友達の名を呼び続け、「おめえら負けたら一日逆立ちしちゃえ」とか「勝てば皆に焼き魚奢れよ」とか面白い挑発をも送った。両組が会場で一斉動き始めた時は、応援の声がいつよりも大きくなったのだ。

「下山組は相手を挟み撃ちしようとしてます。両組のキャプテンはお互いの相手にする一方、3番は16番、13番は19番、そして8番は5番のことを蟹の爪の策に制御するつもりです。その策を使えば向田組は前も後ろも防備し、追い詰められないようその爪を活動的にぶっ壊したり、ないしは球を取り上げて新たな穴に入れたりするのです」

「9番の向田キャプテンはその穴の上に横になってます。下山キャプテンは相手の身を引き上げようとしており、向田キャプテンは寝たまま相手の手を抑え出そうとしております。一方、19番は3番の肩を押し、3番は穴に手を届けようとしてるんです」

「おっと、16番は自分の穴を開けられてしまいました。その時、彼が8番を送り倒しし、8番の重さで穴を閉めてる。卵はまだ安全です」

「下山君は向田君をくすぐっており彼の身を脇に置こうとしてます。向田君は何をする気でしょう?彼が自ら穴を開けて卵を引き出してます。恐らく別の穴にしまう気だと思います。であろうとそれは危うい。下山君は彼の直上。下山君は向田君が必死に握ってる球を必死に掠め取ってる。13番も下山君を補助しに参りました。13番は床に寝て向田君の足を掴んでいく」

「向田君が倒れてしまいました。球がばらばらになってしまってる。13番と17番に全部盗られる前に必死に集めてる。もう間に合わない。13番はすっと通りすがって八個取りました。二個しか守らん。下山組に先制の1点」

「下山組の13番はなんと上手いね。駒形(こまがた)君は黄麦小学校の今夏の運動会で長跳びに優勝したからです。さっきの滑りは長所を見せてきました。向田君は悔しいけれど、仲間の球をいくらでも守り抜く覚悟になってます」

「そうっすね。今16番は向田組に期待感を与えてます。(しの)君は絲島さんと相撲対決をし、君を俵の輪から投げた子です。8番のみならず19番を助けて3番をも倒し、二つの穴を守りました。という訳で向田組の点数は−0.5から1点へとで同点です」

「そのところ、13番と17番は盗んだ球を二つの穴に四個で分け合えて入れました。『ニの11』と『ホの10シャープ』。平衡を取るよう、5番は13番が先ほど奪わなかった自分の『トの4シャープ』から球数の半分を取り上げ会場の向こう側に走り『ロの5』に入れてます。攻撃組は新たな穴を見付けて『戦利品』を入れた以上、次の回戦が始まるまで防御組は争奪してはならない、というのが分かってる」

「こうやって有利は攻撃組に寄せるという話ですね。まずいっ。13番の駒形君は単独の5番の小菅(こすげ)君を狙ってます。16番の篠君も危機を気付けさっさと彼の所に駆け上がり、13番の攻めを強圧する努力を。第一回戦はまもなく終了するので、第二回戦向けに攻撃組はなるべく球を手に入れて資源にする様子だからです」

「君がこう言うと、成り行きが会場の片方から両方に及んだも同然です。16番が左側に移動したというのは、右側の方は向田君と19番に託すしかない。人力は均等に分散され、有利を手に入れる為にもう戦術ではなく、体力の争いは決まります」

「8番と3番は自分の相手を交換しました。その交換の調子に合わせない17番と19番は必死に相手の腰を抑えざるを得ません。やばっ。8番の野良着は裾を破られてしまいました。19番の引きは彼の服の右側をぼろぼろに瀕するほど恐ろしい。そのお陰で8番の進みを上手く阻止出来ました」という私の実況がこの勝負の初事故を表した。

「向田君も負けたくない。標準の小学生よりも小さいとは言え、体が倍大きい3番の柴田(しばた)君とまともにぶつかり、自分の固い頭で彼の厚い胸に突っ込みました。3番はくらりとして倒れていく」という純彦君の実況が話されたや早いか、第一回戦が終了した。向田君の『石頭』技は柴田君を襲ったが暴力に評されるほどなかった。かえって柴田君の方がくすぐられたように楽しく笑った。但し、第二回戦が始まるまでに、8番の佐藤(さとう)君に予備の着物を用意しなきゃいかない。

「役交替」と純彦君が発令した。第二回戦に入った両組は別々に1点を得た。向田君は攻撃を、下山君は防御を指導することになったし、佐藤君は夜勤の医師の寝間着に着替えたし、最早物理屋台での蹴球試合の雰囲気を醸し出してきた。ところが、攻撃組は防御組より多く球を持っているという逆説になっちまった。この逆説を晴らせるには、私達は向田組が第一回戦で守った穴を第三回戦まで『行き詰まり』にした。その時、向田組は下山君と駒形君が所有する二つの穴を狙うだけだ。下山組はどうにかして自分の盗んだ球を守るだけでなく、第三回戦が来る前に向田組の穴をも狡猾に狙うことだ。

 二つの穴だけを保護する下山組は案の定有利を持っていた。彼らは四人全員で穴を囲み込み、向田組の必死な襲撃を我慢出来た。腕と腕を繋ぎ蟹みたいに左右して移り行っても、細い体によって隙間が残って向田組に見つかった。下山君達の足をくぐり穴を奪い取ること。それでもあの隙間を見せたのは罠を仕掛けたも同然。細い体持ちの向田君は鼠のように駒形君の足を素早くくぐった。その瞬間、下山組は包囲を縮み、『ホの10シャープ』を目指す向田君を挟もうとした。だがそれも瞬間後、向田組は皆前に駆けてその包囲に突っ込み、アメリカンフットボールの争い合いのように見えた。詰め合いの状態。

 審判のうるさく吹き続ける笛が、その閉塞感だらけの争い合いを緩めた。皆は自分の先ほどの位置に戻り、下山組の包囲を潰したり、自分の球を向田組の穴の隣に移動したり別の方法を探していた。包囲がわざと広がって下山君が中心に退き、向田君に直面した。下山君が大胆なことをやった。自分で穴を開き球を引き、『トの4シャープ』と『ロの5』を狙って投げた。向田君も包囲の中の両穴の球を四個取り、股を通って篠君に渡した。篠君と19番の水上(みずかみ)君は、下山君の球を捕まえた駒形君と佐藤君と駆けっこをし、的に飛び掛かり身が床に擦ってまでだった。すると、駒形君達は篠君達に勝って『ロの6シャープ』を決めた。一方、篠君達は速度で勝たなかったとしても、『イの6シャープ』に球を入れるのが間に合った。下山君の『穴犠牲』があった第二回戦後、彼は仲間と3点を突破し、向田組は相手に危機が高い所を取られちまった故に2点しか得なかった。

 次々の回戦を過ごし、いくらの争い合いがその床を揺らすほど続いてきた。第三回戦で、占有した穴が相手の穴の隣な場面で、両組は架空な土俵を想像しながら虎みたいにうろうろ動いていた。どちらかが先に手を差し出ると、相手に塞がれないかどうか速度次第だ。速度を最高にしたと、攻撃組はただ防御組の穴を全四つ開けた。球を一個も盗まない。こうやって2点を手に入れて十分なのじゃ。第四回戦で、大きい点の差で劣った向田組は再び攻撃を役し、下山組が前回やった『穴開け』という得点法を使用した。それだけでなく、各メンバーも三個の球をお互いに配り、開けた穴に落として点を倍増やそうとした。が、数個の球が床にからんころん落ちたし、最高でも二つの穴にしか落としなかった。向田組は3点を取り戻し、1対5から4対2に変化。

 そろそろゲームの前半が終わりになる。第五回戦で、一技を繰り返して詰まらない気分を齎さない為、両組は前半の90秒を『(から)の時間』にして後半の90秒で争奪を再開すると賛成した。現在、防御組と攻撃組の穴は散り散り過ぎてどちらのものかも審判でさえ集中力を少しだけ失っても位置が分からなくなるはずだ。両組は一番強いメンバー一人を相手の組の後ろに立たせて挟み撃ちを企み、残りを三角形に布陣させた。防御組が攻撃組を挟み撃ちするというのは可笑しいんじゃない気がしたが、攻撃の進みを阻むという規則を守る限り、防御組の『金将』が攻撃組の『駒』を引き戻し、都合になら相手を障害物みたいに倒しても構わない。一方、攻撃組の『金将』は防御組に紛れ込み、布陣を滅茶苦茶にしちまう。その時、『金将』を取り扱うのは両組の二人の『銀将』だ。攻撃組のキャプテンは『王将』、防御組のキャプテンは『玉将』となる。第五回戦の後半の90秒、そして後半全体はこうして行われた。

 将棋の対局の雰囲気が読めたな。向田君も下山君も既にお互いに争い合いたくなかった。代わりに、元帥のように仲間の動きを指導した。二人自身がその指導に沿って仲間の後ろから付いていった。第六回戦の終わりで、防御に三回目戻った下山組は篠君に犀の角のようにきっちり突っ込まれ、『銀将』である佐藤君と柴田君は早速『飛車』と『香車』に『成駒』しないといけなかった。『飛車』の縦横支配や『香車』の振り返らずの二進が向田組の『金将』を阻止出来るようになった。向田組の『銀将』とした小菅君と水上君は駒形君の素晴らしい耐久性に勝とうとしたのだが、『玉将』を一旦と脇に置き『角行』に代替した下山君に鎮圧され、『ニの9』穴を開けるだけましだった。

 第七回戦が始まって突破なことが起こった。その前の結果は向田3.5対下山2.5だが、下山組に有利を寄せた。防御の時も攻撃の時も点を突破しては珍しく行く向田組はこの回戦が大事なのを下山組より理解した訳だ。第五回戦から手に入れた13個は、向田組が会場の端の穴に入れると突破的に意図した。『チの11』と『イの11』は選んだ。すると、両組の三角形の布陣は最大まで絞められ、『金将』と『銀将』の両方が『歩兵』や『香車』に変わらなければ行き詰まりになるしかないことに。例え変わらないか、『桂馬』とか『角行』とかに変わって集合用の部分を通り過ぎてその二つの穴に近付くかとも、向田組は球を渡し合って遠くの穴に入れる時間がある。

 こうして、二つの事故があった。駒形君を援助しに行く佐藤君は道を弓形に曲げて進んでくる中、向田君は四個を出し、走る姿を準備した小菅君に一個ずつ投げた。野球選手のように小菅君が、平均身長より倍高い放物線に飛ぶ四個の球を身を伏せてまで捕まえた。『イの1』に走る中に、彼が佐藤君と駆けっこをし、いよいよ到着したのに、二人共が互いに腕をぶつけて勢いを失って会場から一人の審判と落ちちまった。観客の皆の5秒ぐらい長い「おー」という反応が聞こえた。一方、向田君は駒形君と揉み合いをしていて、『チの11』から彼をなるべく離そうとした。やがて後ろも前も分からず向田君が駒形君を一気に押し出す。柔道の技のように、体を再び寝て駒形君を外に投げた。近くの観客にも駒形君が衝突しちまったよ。いきなり倒された観客では馴染みな姿が見えた。苔色の外套や青い浴衣を着た深本さんだ。

 挿絵(By みてみん)

「体が小さいのに向田君は13番の駒形君を投げてしまいました。駒形君とぶつかった観客には怪我がないのでしょうか」、純彦君が慌てて実況をした。眩暈や互いに引っ掛かった足以外、誰もが重傷を受けていなかった。芝生で倒れて良かったかもね。

 二つの事故によってゲームが停止された、駒形君、小菅君と佐藤君が会場に戻るまで。駒形君が腰が痛いまま会場に戻る前に、向田君がどんな呆れる顔が凄く見えた。生まれて初めてある人をあんな遠く投げた経験が。その万が一の事故から審判達が向田組に1点を減点すると賛成した。小菅君の事故では落ちた審判が手を折られちまい、緊急治療を受けることになり、両組に1点を減点した。第七回戦はこうして継続し、向田組はようやくゲームの様子を自由に乗せるのが出来た。篠君は下山君と柴田君に球の数を半分残した穴を犠牲し、残りの半分を『ホの9』に移動した。結果は向田4.5対下山2.5で、防御組に初有利を齎すという事情だった。

「これから残りの三回戦でゲームが終わります。向田組は下山組から有利を上手く取りました」

「駒形君は今腰と背中がまだだるくなってるらしいけど、勝者を決める時間が迫るんで下山組と不利な状況を抜け出すようにするんです」

「観客の皆が衝突されてもまだ熱満々です。相撲にしか見えないと思われるさっきの投げは、このゲームの象徴になります」

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