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弟よ、姉は異世界で無双します  作者: 春待瑞花


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12. 貴族と社交

 12歳ながら、完璧な淑女としての所作に、令息達は全員軽く目を瞠る。


 シェラード先生が、

「クレア嬢は12歳だが、入試の成績は医師科でトップだ。入試を受けた新入生全員の中でも5位以内だった。

 シモクレン家主治医であるノルド医師からは、クレア嬢の医療の知識はすでに研修医に匹敵すると聞いている。早くに医学を納めたいのならば、クレア嬢とよく意見を交わすといい」

 と令息達に告げた。

 その言葉に令息達は全員大きく目を見開き、魔物を見たかのような驚いた顔でクレアをみた。


 かなり持ち上げられて恥ずかしいが、私は前世で20歳だ。普通の12歳の子供のような無垢な雰囲気を醸していない自覚がある。入試内容の一般教養や時事問題等の学力は元々のスペックのおかげで楽勝だったし、この二年間でこの国の医学をかなり蓄えた。

 普通の12歳の令嬢としてありえないと自覚していたので、まあこんな反応になるのはよくわかる…と曖昧に微笑んでおいた。



 その後は、シェラード先生から医師科での講義内容や講義日程の説明があった。3年間の課程をかなり詳細に教えてくれる。

 一年生では基礎医学を学び、二年生では薬学を学ぶため座学となる。三年生から臨床実習が始まり、座学で学んだ知識をもとに実際の医師から、マナの操作の仕方やマナと外科的処置の併用方法、薬剤の投与方法などを実践形式で学ぶとのこと。

 講師としての医師全員からの合格判定が出れば、医師と名乗ることが許可され、卒業後の進路が決まる。


 三年間といっても、社交シーズン中は学院は休みとなる。医師科の先生達は社交界に出ることを免除されているが、他の科の教師達は貴族として社交をする義務があり、生徒達も普段滅多に会えない祖父母や家族と過ごす大事な時間を得ると共に、貴族として家の発展に寄与するために社交界に顔を出し、その役割を果たす必要がある。

 そのため、一年といっても学ぶ期間は7ヶ月程度だ。


 貴族としての役割や義務とは…

 貴族は王都と領地に邸宅を持つが、王都の邸宅を取り仕切るのは当主夫人であり、当主は基本宮廷に出向いて国政を担っている。

 領地の運営は、当主の指示のもと、先代当主である祖父母や祖父母のサポートにあたる兄妹達、領地を預かる執事などが行なっている。

 高位貴族には主治医がいるため、王族同様に高位貴族の寿命は長く、不測の事態でも起きない限り、急に亡くなってしまうことは殆どない。貴族の結婚は早いため子供も4人〜7人いるのが普通だ。

 この世界は一夫一妻制だが、子沢山なので跡継ぎ問題が生じることはない。圧倒的レディファーストのため、妻の機嫌を損ねないよう愛人や妾を持つ夫もほぼいない。


 まだ生まれ持ったマナの量が小さく、他国との争いが起きていた時代は、高位貴族や王族も子供の数が少なく、寿命も今の平民と変わりなかった。それでも一夫一妻制だったため、王国は公爵家の数が少ないのである。


 貴族家の盛衰や序列には、子供の進路や婚姻が大きく関与する。家の利になる職を得てその役割を果たすことは出来るが、事業提携等で、お互いの家に利益を得るための手っ取り早い方法は、政略結婚だ。そのため、他国の貴族家と婚姻を結ぶこともある。

 政略結婚といえども、合わない同士の結婚は破綻に繋がり、最悪離縁はお互いの瑕疵となる。それを防ぐためには当人同士が婚約を希望するのが望ましい。

 そのため、社交シーズンでは条件がよく気が合いそうな者達と多く交流を持ち、当人と両親が相談しながら婚約を打診する相手を決めていく。

 交流を重ね、成人後の18〜20歳頃に婚約者が決まり、22〜24歳頃に婚姻するのが一般的な流れだ。



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