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世界樹の枝

 私たち3人は今回、世界樹という大木があると言われる森の奥地へと歩みを進めている。

 なんでも、この木1本からこの森ができているそうな。

 依頼はその世界樹から枝を1本採ってきて欲しいというものだった。


「それって何に使うんですか?」

「世界樹には辺りを緑豊かにするという力があるらしくてな。その枝を木の1本も生えないような場所に植えると数年後には大森林が出来上がる」

「そんなになるんなら、この依頼は国からですか?」

「そうだ。なんでも西方面の砂漠地帯に森林を作る予定だと」


 私の仕事場は国からの依頼も受けるらしかった。

 小さい事務所だが、受ける仕事は国を動かしかねない重要なものだ。


「俺たちも世界樹というのは伝承で伝え聞いたことくらいしかない。効果からも、そう簡単に枝が手に入るとは思えんな」


 道中、体長2mを超える大きな猫、武器を持った直立したトカゲ、蒸気を噴き出す花などと遭遇した。

 これらは全部魔物らしく、見つかったら即座に攻撃されるとジェスタさんが言っていた。

 当然、私たちは戦闘をできるだけ避けて世界樹へと向かっているので、少し遠回りになりそうでも迂回して先へと進んだ。

森の奥も奥、目印に進んできた大木がもう目の前にあった。


(首をいっぱいにして見上げても天辺が見えない!)


「俺が呼ばれている」


 セローさんはよくわからないことを口にして、大木に触って目をつぶっている。

 しばらくしたのち、風もないのに大木の枝がさざめき始める。


「小さめの枝をくれるそうだ」

「え? 今、この木と会話してた感じなんですか?」

「ああ。色々聞かれたから適当に答えていた」


 降ってきた枝をジェスタさんが空中で掴み取った。


「なんだこれ? じんわりあったけぇ気がすんぞ」

「生きているということなんだろう。この木にとっては子供のようなもののはずだ。さて帰るか」


 思っていたより枝はすんなりと手に入った。


「ところで、国はどうして森を作るんですかね?」

「まあ何もない砂漠よりは、資源価値のある森林にしたいのだろう。しかし、水が無くても木が育つというのは妙なものだ・・・・・・」


 たしかにセローさんの言う通り、水が無ければ木が育たないのは誰でも知っている。

 その常識さえも覆すようなとんでもない力が枝には備わっているのだろう。


「俺たちは依頼をこなし、日々をしのぐだけだ、国の偉いやつらの考えることなんて知ったこっちゃねえ」

 

 帰りも道も特に何もなく、街へと帰り、枝を引き渡して仕事を終えたのだった。

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