仕事外
(あ~今日は調子悪いかも・・・・・・)
朝から調子が悪い。
でも仕事が入ってしまったらこなすしかない。どうにかごまかそう。
私はそんなことを考えながら、なんとか事務所へ向かう。
歩いて10分もかからない道が遠く感じる。
「ん? レイチェル、顔色がよくないな?」
「大丈夫です・・・・・・」
「アレだろ? 男には関係ないやつ」
ジェスタさんは意外にも鋭く、私の体調不良の原因を言い当てる。
「ああ。それなら体調が戻るまで休みで構わない。1日か2日だろう?」
あっさりと休ませてもらえることになった。そうはいっても素直には喜べない。
結局、体調不良なことには変わりないから。
「なぁセロー、ギルドに入ってたときはよくあったよなぁ? 仕事中だと抜けられねぇし、気をつかうのもだりぃし」
「そうだな。女性の冒険者が男性と比較して少ない理由でもある」
「普通のギルドなら仕事させられるけどな、セローは優しいから休ませてくれっけどよ」
「もし仕事が入って、俺たちが留守になったら入口に書置きをしておく。だから君は休んでくれ」
ということで、私は2日ほど休みを貰えることになった。
(・・・・・・家でゆっくりしよ)
一応、家を借りてはいるがシャワーと寝るだけの住処になっている。食事はもっぱら外食だ。
本当は趣味を見つけたりしてみたいが、なかなかそんな時間は取れない。
ベッドに寝転がりながら、色々考える。
(そういえばセローさんとジェスタさんの私生活ってどんなんだろ?)
平時は事務所に詰めている時の2人の姿しか私は知らない。
(なんか気になる・・・・・・明日、体調がよかったら後をつけてみようかな)
翌日、私の体調は無事に元通り。
私は仕事終わりのセローさんの後を尾行してみることにした。
(やたら帰るのが早いセローさんだし、意外に遊んでいるとか?)
セローさんは事務所から離れた、少し高級そうな飲み屋に入るようだ。
入口に男の人が立っており、その人に何かカードのようなものを見せて地下に降りていくみたい。
その後ろ姿を、看板の後ろで見ていた。
(へー、こんなところでお酒を飲むんだ。やっぱりお金持ってるとすごいな~)
「なんだ君か。どうして後をつけてきた?」
「うわぁあぁぁ」
私は前の店に入っていたはずのセローさんに後ろから声を掛けられて叫んでしまった。
「なんで!? 今お店に入っていったじゃないですか!?」
「尾行されているのがわかったから、ちょっと仕掛けのある店で撒こうとしただけだ」
「どうしてそんなことを?」
「こういう仕事をしていると、訳の分からん連中に絡まれることがある。自分のところで断ったのにも関わらず、ウチに文句を言ってきたりな。まあその用心だ」
そんな理由があるのなら仕方ないような気がした。
「君こそ、どうして俺を探った?」
「なんとなく、帰ってどんなことしてるのかな~って」
「それだけか?」
「ええ。はい」
「なんだ。じゃあ一緒に夕食でも食べに行くか。そこで聞いてくれれば色々話そう」
ということで、上司であるセローさんと夕ご飯を一緒に食べることになった。
「リンゴジュース、あとエール。食べ物は旬の物を任せる、4品くらい」
「あいよ」
私はセローさんとテーブルをはさんで座っている。
夕食の場は私がよく知らないメニューばかり書いてあるお店。
周りのお店と違って、レンガではなく木を多く取り入れたお店。
「この店はヤプン地方の郷土料理が食える」
聞いたことのない地方の名前だ。
ジュースとエールが運ばれてくる。
乾杯して一口、口をつける。
「ギルド所属のときに、大きい依頼を達成したときはジェスタとよく来ていた」
「ジェスタさんとは昔から?」
「ああ。生まれた町が一緒でな。もう30年近くの腐れ縁だよ」
「えっ? セローさんって何歳なんですか?」
「29歳、ジェスタも同じだ」
(もっと若いと思ってたよ!)




