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叫び ※R15 暴力的 不快なシーンが続きます。苦手な方はお控え下さい。


 


 ああまただ……

 嫌な予感がする——


夢は見ないと思っていたザイラの体が強張る。

 


 またここだ——

 真夜中で、カーテンからは月明かりが漏れているローリーの屋敷——


夢の中だと、ザイラ自身は今自室のベッドで眠っているのに、その時の状況も目を閉じるザイラには見えていた。

 

 だが、なんだか今日は様子がおかしいことにザイラも気づく。目は開いてないのに、意識はしっかりしてる。自分が、横になっている——夏帆が、ザイラとして——

 

 心臓がバクバクと音を立てて、耳が良く聞こえなかった。

 

 

 

 なにこれ……——

 ザイラは舌の上に、トロリと甘い液体を感じた。


 甘い……甘いけれど、どこか……——

不快な食感にザイラは拒否反応を示し、ゴホっと思わず咽せた。

 

 

 

「なんだ……?アレシアじゃない!?妹の方じゃないか!」


 聞き覚えの無い声がする——

 男の声だ。

 誰?一体何が起きてる?——

 

 閉じている目が、暗闇をグルグルと回る。

 強烈な気持ちが悪さは止むことが無かった。

 

 

「クソッ、あの役立たずが」

 声だけが聞こえるが、ザイラは体に力が入らない。

 

 体の上に、何かが体の上に覆い被さるとザイラは恐怖し、ガッチリと閉じて開かない目をなんとかこじ開ける。


 霞む目は、朧げに大きな影を映した。


 まさか、誰かが部屋に入り込んだ?——

 

 今すぐ逃げなければ——

 と動かぬ体を何とか動くよう、ザイラはめちゃくちゃに手足に力を込め、上手く操る事の出来ない手足がベッドの上でバタバタと鈍く音を上げる。

 

 チッと苛立つ舌打ちが聞こえた。

 すると、顔に何者かの吐く息がかかり、ザイラの顔は片手で強く鷲掴みにされる。

 

 月明かりに照らされて、霞みながら揺れる視界でも、その瞳は大きくはっきりと見えた。だが暗がりのせいで瞳の色は分からない。

 

「騒ぐな。騒げば、次はお前の姉だ」

 

 恐怖に涙が溢れ、止まらない。息さえ止まりそうだった。むしろ、止まってくれ、とさえザイラは願った。

 

 もう片方の手がザイラの夜着に手を掛けたかと思うと、胸元から一気にザイラの肌を乱暴に晒す。

 

「……醜いな。やはり双子とは種違いか」

 

 その手を払おうと、ザイラは思い切り力を込めたが、その手は男の手を掠めただけだった。

 

 助けて——

 誰か助けて——

 どうか、助けて!——

 

 まだ反抗するザイラに苛立ったのか、男は両手をザイラの首にかけ、指が食い込むように力を込めた。



 けたたましい金切り声が響き渡る——


 重かった体は徐々に軽くなり、ザイラはすぐさま耳を塞いだ。

 

 解放感を感じ、逃げる様に思い切りザイラは目を開ける。

 

 静かだ——


 誰かの泣きじゃくる声だけが、はっきり聞こえる。 それ以外は、何も聞こえない。

 

 

 見開いた目と鼻の先に、泣きじゃくったザイラが居た。激しい息遣いが風となって、夏帆の顔に触れる。

 

 

 

「……っあぁ……っお姉様を守ってっ!!!」

 

「あいつをっ!あの男をっ……殺してっ!!!」

 

 

 力の限り泣き叫ぶ、ザイラの慟哭が耳の鼓膜を震わせて、傷をつける様にしっかりと鼓膜に刻み込まれた。

 

 

 やっと、あなたの声が聞けた——

 

 ザイラを目の前にして夏帆が思ったのは、そんな単純なことだった。

 

 

 

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