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【完結】古代竜の生贄姫 ~虐待から溺愛に逆転した世界で幸せを知りました~  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
本編

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48.不自然な噂の真相を少しだけ

 しとしと降り始めた雨は、豪雨と呼ぶ勢いはなかった。事情を知らなければ、恵みの雨でしかない。ただ……その雨が数日で降りやめばの話。ギータ様がどうやって天候を操るのか知らないけれど、我が国は天災が少なかった。周辺諸国のように洪水や日照りの話など聞いたことがない。


 我がソシアス公爵家の裏の林が崩れた事件や、セサル達の村が飲み込まれた話は珍しかった。セサル達の村は、きちんと対策がなされていたら無事だったと思うけど。横領した男爵家が予算を予定通りに使っていたら、雨で村の奥にある崖が崩れることはなかったの。


 ギータ様も、そのくらいの加減はしてるって仰ったし。その意味で、ソシアス公爵家に起きた土砂崩れは異常だった。


「何かを埋めた噂は、どうなったんでしょうね」


 神殿から報告を受けたギータ様は「ふーん」と不満そうな顔をした後、私に教えてくれなかった。全部終わったら教えると約束したけれど。今回の雨も関係あるのかしら。


「ん? そんなに知りたいのか」


「ええ。噂が不自然だと指摘したのは、ギータ様でしょう」


 そんな謎を置いて行かれたら、気になってしまう。ただ噂を聞いただけなら気づけなかった点を、ギータ様が指摘したのも要因のひとつだった。わざと流された噂、あり得ない猟師の振る舞いと結果、寝不足になります。


「寝不足は困るな」


 銀髪に金瞳の美青年姿で、私の頬を撫でるギータ様は機嫌がよさそう。もしかしたら教えてくれるかも。期待の眼差しを向ければ、彼は肩を竦めた。


「眠れる術をかけてやるぞ」


「教えてくれないの?」


 むっとして唇を尖らせれば、くすくす笑いながら手招きされた。ランセル公爵領への空の散歩は、雨が降っているから中止。膝にペキを乗せて撫でながら、アデライダと焼き菓子を食べていた私は迷った。お菓子とペキをどうしよう。


 久しぶりに膝に乗ったのに、下ろしたら次のチャンスはいつ来るかしら。猫は追い回す人を嫌うと執事が教えてくれたので、ずっと待っていたのに。迷う私にギータ様が目を細める。


「子猫ごと来ればよいではないか」


「ペキはギータ様が苦手なのよ」


 苦笑いして、ペキをアデライダの膝へ移動させた。持ち上げた時は「ふー!」と怒ったペキだけど、アデライダの膝で丸くなる。私の子猫なのに、と思えばやっぱり切ない。ギータ様が手で叩く膝の上へ素直に座った。


「いい子だ。褒美に少し教えるとしよう」


 猟師の噂はわざと流された。攪乱のためらしい。完全に嘘なので不自然さがあるのだとか。嘘なら上手につけばいいのに、と呟いたら笑われた。その通りだと言いながら、ギータ様は話を続ける。


「あの雨は奇妙だっただろう? 短時間で大量に降った。ランヘル公爵家が祀った神の仕業だろう。お前の助けを呼ぶ声に目覚めた俺は、奇妙な魔力の流れを遮断した。だから雨が止んだんだ」


 無理やり魔法で降らせた雨だから、限界量を越えた林が崩れたのね。人工的に手を入れた林は、森と違い木々の根が少ない。一番弱い部分を狙ったのだろうと付け加えられた。


「では、いまギータ様が降らせている雨も、同じように公爵家を崩してしまうのですか?」


 やり返したのでは? 直球で尋ねる私に、ギータ様は思わせぶりな言い方をした。


「同じやり方は興が乗らぬ。あと数日で分かるさ」


 災害が起こることだけは確定しているみたい。楽しそうに喉を震わせてギータ様が笑えば、子猫のペキが毛を逆立てた。

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