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【完結】古代竜の生贄姫 ~虐待から溺愛に逆転した世界で幸せを知りました~  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
本編

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21.思わぬ効果が出たわ

 アデライダを侍女にする話は、かなりもめた末に決まった。執事のブラスはなぜか感動してるけど、あなたが思うような理由じゃないわ。アデライダを助けてあげるんじゃないの。過去の私を救っただけよ。独りよがりな自己満足、それでも何もしないよりマシね。


 偽善を責める人がいるけど、私は悪いことだと思わないわ。行動しないくせに、口ばっかで反論する人の方が恥ずかしい。前回、私を見殺しにしたみたいにね。


 王家の王子妃教育はほとんどが免除され、前回のように頻繁にお伺いする必要はなかった。アデライダを手招きし、文字の読み方や書き方を教える。自由時間に何しようと私の勝手よね。過去の私がして欲しかったことを、アデライダに施した。


 お風呂に入れてこざっぱりした服を着せ、アデライダに勉強をさせる。執事ブラスの「フランシスカお嬢様は天使のようです」の褒め言葉は、誤解と勘違いの産物だけど肩を竦めて受け取った。どうせ説明しても理解しないし、受け流した方が楽だわ。


 予想外だったのは、公爵夫人だった。先日まで私にべったりで、お茶だドレスだと呼び出したのに……ここ数日は部屋に近づこうとしない。思わぬ効果ね。私に会いたい気持ちと、アデライダを見たくない感情がぶつかった結果のようだわ。


 部屋で暴れて情緒不安定らしいので、後で私から顔を見せることに決めた。侍女達に八つ当たりは見苦しい上、実害が出ている。


「あの……ここは」


 おずおずと尋ねるアデライダに顔を寄せ、文字の書き方を丁寧に指導する。筆順から形について、説明して練習させた。最初が肝心なの。間違えて覚えたものを直すのは大変だから。前回もそれで苦労した私は、石鹸の匂いがするアデライダの髪を撫でた。


「今の……」


 もう一度、でしょう? 微笑んで何度も撫でれば、彼女は猫のように目を細めて笑った。じわりと目の奥が熱くなる。あの頃の私もこうして欲しかったのね。胸が詰まって涙ぐむが、瞬きして消す。


「今日はここまでよ。お部屋を整えたら、帰って休んでいいわ」


 公爵夫人に会いに行くため、勉強の終わりをアデライダに告げる。頷いた彼女が勉強道具を大切そうに箱にしまった。この箱ごと部屋に持ち帰るのよね。バッグにしようとしたら、箱の方がいいみたい。抱えて歩くのに、邪魔じゃないならいいわ。


 廊下に出て、侍女へ公爵夫人への先触れを頼んだ。これからお茶のお誘いに行くと伝えて欲しい。その言葉に、侍女達は目を輝かせた。公爵夫人の機嫌取り、よほど苦労したみたい。


「お母様、フランシスカです。お茶をご一緒しませんか」


 ノックして声をかけた瞬間、開いた扉の中に引きずり込まれた。倒れそうになる勢いにたたらを踏み、ぼすんと大きめの胸に顔を埋める。この香水は公爵夫人ね。


「ああ、私のフラン。顔が見られなかった数日が、数年のようだったわ」


「ごめんなさい。我が侭を言いました。でも……優しいお母様なら、きっと私の身勝手を許してくれると信じています」


 ぎゅっと抱き締める公爵夫人の背中に手を回しながら、私は小さく溜め息を吐く。もう少し、あと数年の辛抱よ。王子の婚約者から逃げ出し、私は必ず自由を手に入れてこの家を出ていくわ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 実家を出ていく場合、アデライダを置いてきぼりにするのは、彼女が危険そう…。
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