第九十四話 エシャール
……魔女の左目を覆うように白い花から生え、瘴気が溢れ出している。
「黒の衝撃!」
「ルークスジャベリン!」
ルーネとハイディの放った淵術と光術を魔女は結界で軽々と防ぐ。
「ダメか……結界が硬くて効いていない」
ハイディは魔法銃に更に魔力を込める。
「……今とっても気分が良いから少しおしゃべりしましょうか」
……深いスリットから覗く魔女の太腿に金色の刻印が刻まれている。
「……不老の為に命を吸ったのか」
ハイディが魔法銃を構えながら魔女に問いかける。
「この娘達……魔女の身体の一部になれて喜んでるみたい……」
魔女は成長した自らの乳房に触れる。
「……この魔女の肉体は命を吸わないと縮んでどんどん幼くなってしまうの……大人の姿を維持するのは魔力が必要なのよ」
魔女エシャールが自身の下腹部を指で優しく撫でる……対峙するレダの槍先が微かに震えている。
「……今日はあなたたちを殺す気はないわ……そうそう、わたくしの新しいお友達が面白いオモチャを見つけたみたいなの……隕鉄の聖槍にいい使い道が出来たようね」
「あんたはなんでこの廃坑にいるんだ?」
アンリが魔女エシャールに尋ねる。
「この奥の遺跡に気脈の祭壇があるの知ってるかしら?気脈を用いて魔道具の増幅を行える祭壇はここ以外にもカストルに幾つかあるのだけれど……ルーベルカイム近くの洞窟にもあったわね……最近誰かがあそこで聖槍の力を解放したみたい……あなた達何か知ってる?」
魔女がアンリに微笑む。
「……我らが主の復活の準備をしようと思ったんだけど……ちょっと面白そうなことがあって予定が変わったの……フフフ……そしたら美味しそうなあなた達が来たから、この娘達で遊んであげようと思って」
魔女が手を振り上げる。
「……うっ、あああっ!」
壁際に倒れていたオークの重戦士が声をあげる。
「貴方いい身体してるわね……」
オークの重戦士が身に着けていた金の指輪が輝く。
「……やめ……ああ……」
オークの男の筋肉が萎み、乳房が膨らんで女の身体へ変化していく。
「女の身体になっても魔力量はさほど伸びないか……身体強化用の霊布として有効活用させてもらうわ……ウルスラへのいい手土産になるわね」
「あああっ!」
豊満な女の身体に変化したオークの重戦士が嬌声をあげながら霊布に変容し、霊布が魔女エシャールの手に引き寄せられる。
「ウルスラならきっと良いものに仕立ててくれるはずだわ……彼女もきっと喜ぶわ」
魔女エシャールは手に取った霊布を魔力で縮小し胸元にしまい込んだ。




