一緒に帰ってやる
あー、ムカつくムカつく
退屈な授業を受けながら、私はペン回しをする。
朝霧は大人しく授業を受けている。なにが面白いんだが。
にしても、今までの男子は体目当てで私と一緒にいた。実さい、体目当てが全員だった。
でも、朝霧はそんな感じがしない。
「島風さん。この単語の意味わかりますか?」
「わかりませーん」
何回もこれをやってるし、先生も何回か怒ったけど私はなにも変わらなかった。
見捨てるならそれで結構。
あんたがその程度ってらくいんなんだよ。らくいんってどんな意味だったけな。
ま、いいや。
*
「なぁ、朝霧」
放課後に朝霧に話しかけた。
「おや。島風さん。どうかなさいましたー?」
「彼氏だろ?一緒に帰ろうぜ」
「おや。いいですねー」
どうせ誰も友達いないから1人で帰るんだろうな。そもそも、コイツじゃ私と並ぶ価値ないけど。
ま、私って優しいから。特別に並ばせてあげよう。かわいそうになっちゃうもんね。
*
「朝霧は昼休み、どこにいるの?」
少し甘えた声で言う。
「そうですねー。お昼を食べてますね」
「それは知ってるよー。どこで食べてるのって」
「 ですねー」
「え?なんて?」
「 ですよー」
「聞こえない」
「 ですー」
「だぁら聞こえねえって」
思わず、素が出てしまう。
「おや。そうですかー」
「やっぱいいわ」
なに……人と話してここまで疲れたの初めてなんですけど。
「そうですかー」
朝霧は悪気なく澄ましている。こう言う奴が大嫌い。付き合って損したかも。
ま、まだまだ1日目だから。しばらくね。
こいつも性欲しかないんだろうな。澄ました無知アピしやがって。化けの皮剥いでやるから。
「なぁ、朝霧。スマホ持ってるか?」
「え?ありますけどー」
「貸せよ」
「はいー……」
そう言ってスマホを差し出す朝霧。どうせ、エロサイトとかエロ動画とか保存してるんだろ。
こう言うのは……
「おりゃ!」
思いっきり地面に叩きつけてバキバキに壊す。
スマホなんて、現代のガキの磁石。それ壊しゃ、誰でもブチギレる。
さぁ、どうするんだ。
キレるか。
それとも、弁償と称して私の体を貪るか。
どっちにしろ、お前は最悪な男ってのが分かるよ。
「おやおや……」
朝霧は表情を崩さず、バッキバッキで動かないスマホを拾う。
「島風さん。発火する恐れがあるので、離れててくださーい」
「は?」
コイツ……全然私に怒った顔を見せない。
このチビ。なんで……まさか、脳みそも小さいのか?
「……問題ないですねー……壊れてるだけですね」
足元に変な不快感が伝う。
でも、下は見なかった。
なんで、優しく私を心配できてるの?
つまんない。喜びも激情も無い。
告る相手間違えたか。
「…………」
見切りをつけないとかな。
「朝霧……」
「はいー?」
なぜか言葉が詰まる。何回も言ってきた「別れよう」。でも、なんで。
言葉が詰まるなんて。
「わ……わか……」
「ゆっくりでいいですよー。焦ることはないですからね」
段々、奇妙な何かが朝霧の背後に現れる感覚がする。
「やっぱいい……」
そう言って、朝霧を素通りして帰った。




