大人になったのだなと感じる瞬間
わたしも歳をとったのだなと思うことがある。それは角がとれてきたというべきか、単に大雑把になったというべきか、はたまた面白味に欠けてきたということか。
いろんなことを赦せるようになってきたのだ。
幼い頃からこだわりが強い方で、確固とした自分のルールがあった。殊に思春期においては、その傾向をより強めたと言える。そして私の思春期は、ひとよりも長かったのである。
20代後半にも差し掛かる今日この頃、漸くその強い自意識の呪縛が解けそうなところまできている。
ラーメンの海苔を赦せるようになったのだ。
ラーメンは中華だ、という固定化した観念があって、中華スープの絡んだ麺を顔の近くまで運んだ時にふわっと香る「和のにおい」が苦手だったのである。
しかし、それは決めつけだったのだ。中華は中華の範囲で、和は和の範囲でという傲慢な食の鎖国だったのだ。
それでは広がりがない。外の世界を知らなければ成長もないのだ。みよ、大リーグで活躍する日本人メジャーリーガーを。彼らは米国でふわっと香る海苔そのものではないか。
こうして私は、島国の日本人だけが上手に体内で消化できるという海苔を、ラーメンの外でも中でも楽しめるようになったのである。




