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忙しい日々
忙しいという字は心を亡くすと書くのだと、かしこで聞く。なるほど確かに日常のあれこれや新しい仕事なんかにせっせと向かっていると、心の置きどころをふと忘れてしまうことに気づかされる。
心の在り処を見失うと、いくつかの不便を被る。
身内のよしなしごとに一々心を砕くことができない。わたしは人一倍おせっかいな質だから、もやもやが募る。
感度が悪くなる。そよぐ風を受けても心地よさを感じない。ともすれば煩わしくさえ思う。
そしてなにより、物忘れが増える。日常のなかの、ほんのシャンプーをしたかどうかくらいのことから、進行中の仕事のことさえも忘れてしまったりする。これは非常に差し支える。
そういえば、忘れるという字も心を亡くすと書くのだった。「忙」と「忘」。どちらもボウと読むそれぞれは、どちらもわたしに必要で不要なものだと思った。ぼう、と口に出しそうになって、やめた。




