流れ星──その後
おかしいな……どうしてだろう。
絶対昨日、僕たちは大きな流れ星を見たのに……
なんでクラスの誰も信じてくれないんだ……
あ! 廊下にいるのは、勇次と芽依だ。
『勇次、芽依、どうだった?』
『いや、だめだな。誰も流れ星を見たやつはいねぇよ』
『私も……女子に聞いても、誰も知らないって』
『えー……おかしいなぁ……』
僕たち3人が落ち込んでいると、後ろから“もう1人”がやって来る。
『いいじゃないか。これは俺達だけの秘密の話……ってことにしよう!』
『──智!』
『そうだな。俺達以外、誰にも言わない約束だ! で、誠人。流れ星には何をお願いしたんだ?』
勇次は僕にそう聞いてきたけど、僕は答えるのが恥ずかしくて仕方がなかった。
『う~ん……じゃあ、先に勇次が答えてくれたら教えるよ』
『言ったな? 約束だぞ? 俺はもう最初から決まってる。俺の願いは……正義のヒーローになることだ!』
それを聞いた智は、くすりと笑う。
バカにされた気分だったのか、勇次は声を荒らげる。
『おい、智! 今笑ったな? 俺の将来の夢の何がおかしいんだよ!』
『いや、そこに笑ったんじゃないさ。流れ星の願い事って……誰かに喋ると、その効果はなくなっちゃうらしいぞ?』
『げっ……マジ!? やりやがったな! 誠人!』
『いや、僕はそういうつもりじゃ……』
『だったら誠人も言えよ! そういう約束だったろ!』
本当は言うのは恥ずかしいけど……
約束を破るのはよくないし、ここは言うしかないよね。
『分かったよ。言うよ。それに、このお願い事は絶対叶うから、教えたって平気なんだ!』
『へぇ~……自信満々だな。どんな願い事なんだ?』
『僕のお願い事は……みんなとずっと友達でいられますように……って』
それを聞いた勇次と芽依は、溜め息をつき、随分と呆れた様子だ。
『なんだ……そんなことか』
『ほんとね。まったく、誠人は夢がないんだから』
勇次はいつものように、芽依を茶化す。
『だったら何だ、芽依はそんな大きな夢でも願ったのか?』
『……言うわけないでしょ』
『どうせあれだろ? 素敵なお嫁さんになれますように……とかだろ!?』
『違うわよ! ピアノが上手に弾けますようにって……あっ!』
『バカでーい! 引っ掛かってやんの!』
『ちょっと! 勇次!』
『やっべ、逃げろーー』
『こらっ、待ちなさい! 勇次!』
勇次は廊下を全速力で走り、芽依から逃げ出した。
芽依は怒りながら、勇次を追いかける。
『あ~ぁ、行っちゃった……ほんとあの2人はおもしろいなぁ』
僕と智がその場に残されると、智は僕に尋ねてきた。
『なぁ、誠人。さっきの願い事だけど……どうしてあんなお願いをしたんだ?』
『だって……僕は背が小さくて、いつもクラスのみんなにいじめられてばかりだから……いつか智たちも僕のこと嫌っちゃうんじゃないかって……』
『なんだ。絶対叶うって言ってなかったか?』
『あっ……うん。叶う! 叶うはずなんだけど……』
どうやら智にはバレちゃってたみたいだ。
絶対叶うと言いつつ……どこか不安に思ってたことを。
さすがは智だ。僕の強がりも見抜いちゃうなんて。
『心配するな。誠人。そんなことで、俺達は誠人を嫌ったりしないから』
『ほんと!?』
『あぁ、本当だ。またいじめられるようなことがあったら、俺に言えよ? 誠人は俺が守ってやるからな!』
『ありがとう! 智は頼りになるな!』
『それに……みんなのお願いのことも、心配しなくていい』
『えっ……? 平気なの?』
『あぁ、大丈夫だ』
そう言って、智は教室へ戻ろうとする。
そろそろ休み時間が、終わってしまいそうだったからだ。
『待ってよ智! ねぇ、智は何のお願いをしたの? 智だけだ。お願い事をバラさなかったのは』
『それは…….内緒だ』
『えーっ、ずるいよ! 智だけ!』
『だって、それを喋ったら……みんなが可哀想だろう?』
『??』
ーーー
「今思い出したよ。今の俺なら、すべて分かるよ……すべて……ありがとう! 智」
今なら分かる……
この写真の裏に書かれたメッセージの、その意味も……
こう書いたんだろ? 智は……
“みんなの願いが叶いますように”──ってさ。
これにて完結となります。
数ヵ月と短い連載でしたが、たくさんの方に読んでいただき、嬉しい限りです。
読者の皆様、本当にありがとうございました。




