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星が墜ちた夜から  作者: Guru
4章 悪循環
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第27話 “足手まとい”

 翌朝、俺は早速昨夜の銀行強盗の悪夢を、勇次と芽依にメッセージで知らせた。

 やはり今回の悪夢は、ランクの高い悪夢と言えるのか、3人とも同じ夢を見ていたようだ。


 ここからは直接話しあった方がいいだろう。

 俺達はいつものバーに集結することにした。




・・・




──その週の金曜の夜。バー・眠れる羊(スリーピングシープ)にて。


 今日こそは勇次より先についてやろうと、俺は集合時間の20分前に来ていた。

 一番乗り間違いなしと、奥の個室に入るも……



「おっ! 今日は早いじゃねぇか誠人」


──結局、勇次が一番乗りだった。


「勇次! もういるのかよ!! 今日こそは一番乗りだと思ったのに……一体、どれくらい前からいるんだよ……」


「ん~……1時間以上前かな?」


「1時間!? 何でそんなに早く!?」


 だったら、集合時間を1時間早くしろよ。

 俺はそう思った。

 しかし、どうやら勇次は、知り合いであるマスターと話をしたいがために早く来てるらしい。


 なんだよ。単に用事があって早く来てるだけか。無駄な争いだったようだな。

 もう勇次より早く来てやろうなんてことは、金輪際やめることにしよう。



 芽依が来るまでの間、勇次と他愛もない会話をして過ごした。

 何でも勇次は、また新たにバイトを始めたらしい。

 どうして以前のバイトを辞めたかというのは……俺の記憶には残っていない。俺は何も知らない。まぁ、そういうことにしといてくれ。



「仲良さそうね。2人とも。早く集まっちゃってさ」


 そう言いながら、約束の5分前に芽依はやって来た。

 みんな律儀に時間を守る、素晴らしいグループだ。


 そして、芽依が到着して早々、今回の悪夢の作戦会議が始まった。

 日時の件はともかく、俺は運良く銀行の場所を知っている。これはきっと有力情報となるはずだ。

 まずは俺が最初に話を切り出した。


「今回の銀行強盗の現場は、俺が利用したことがある銀行だったんだ。場所は埼玉県の……“三橋銀行駅前店”だ!!」


 自信満々に店名まで告げるも、芽依はそっけなく言葉を返す。


「やっぱり。間違いなさそうね」


「──えっ? 場所知ってたの? どうして分かったんだ?」


「だって、店内の至るところに書いてあったもの」


 そ、そうか──もしかしてこれって、たいした情報じゃない!?

 どや顔で言っていた自分が恥ずかしい……


 次に勇次が、俺の知ることのない、時間と日にちの情報を提示する。


「日にちは27日。時間は昼間の2時23分だ。白昼堂々、銀行強盗とは……恐れ入ったものだな」


 勇次に続く形で、芽依は更なる情報を述べる。


「私もほぼ同じ時間だったわ。曜日は“水曜日”。そうなると、来週になるでしょうね」


「今度は曜日まで……どうしてそこまで分かるんだよ?」


 気付くと俺は質問ばかりしていた。

 完全に足手まとい……何の情報提供もしていない……


「それも銀行内にあったのよね。木製のオブジェクトで、日にちと曜日が分かるやつ。日めくりカレンダーのように、曜日とかも自分で合わせていくのよ」


 実物を見たわけでないが、芽依の説明により、それとなく想像することができた。

 芽依の着眼点のよさに、思わず勇次も感心する。


「さすがだな。芽依。細かいとこに気が付く! これで来週の27日の水曜の昼ってのは、間違いなさそうだな。あとは、どうやって強盗を退治するかだ」


 勇次はやる気満々だが、相手は拳銃を持っている。

 さすがに俺は不安に陥っていた。危険すぎる。


「本当に俺達だけで、どうにかするつもりなのか? 今回ばかりは相手が悪い気がするんだけど……」


「それが、そうでもないんだよな!」


 不安な顔をする俺に対し、勇次は笑みを見せていた。

 なぜ強盗相手にまで、そんなに強気に出れるのか……それには理由があったのだ。


「あの拳銃だけどな……あれは単なるオモチャだ」


「オモチャ!?」


 俺は驚いて声をあげるが、芽依は頷いていた。どうやら、勇次と同様の感想を持ち合わせていたみたいだ。


「やっぱりあれ、そうなんだ。私の近くには背の高い強盗がいたんだけど、確かにあの拳銃……チープというか、作り物っぽかったのよね。まぁ本物なんて見たことないんだけど」


 勇次だけなら、記憶違いの恐れがある……

 しかし、芽依もそう言うのならば、あの拳銃は偽物なのだろうか?


 仮にそうだとしたら……俺達が銀行強盗を退治できる可能性は、幾分か高まったかもしれない。

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