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星が墜ちた夜から  作者: Guru
4章 悪循環
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第28話 “少数派”

 まさかあの銀行強盗が手にする拳銃がオモチャだったとは……

 正直俺は恐怖にとらわれ、本物かどうかの確認をすることなど、とてもじゃないができなかった。


「それにしても2人とも、よく拳銃の確認なんか出来たな。俺は恐怖でそこまで近づけなかったよ」


 俺のこの発言で、勇次はあることを悟る。


「もしかして誠人、あれか? おまえが見た夢は“自分視点”で、夢の中に参加してるパターンか?」


 そう言われた俺は、もう一度悪夢のことを思い返していた。

 悪夢がスタートした時点で、すでに俺は4番窓口に腰かけており、俺が動けばそれに対して強盗も反応していた……

 

 それを思うと、勇次が指摘するように、俺の夢は間違いなく“自分視点”の“参加型”だったと言えるのだろう。


「そうだったけど……もしかして2人は違うのか?」


「俺も自分視点ではあるが、夢には参加していない(・・・・・)状態だった。まるで透明人間かのように、俺が何をしようが気付かれない。だから自由に動けた。その分、こちらから相手に触れたりすることもできないようだがな」


「私もそれと同じ状態だったわ。夢を眺めることしかできないって感じ。考えてみれば、悪夢はこのパターンのが多いかも……」


 少し前に、夢には主に2パターンあるなどと語ったが……

 どうやらまた違ったパターンも存在するみたいだ。


 さすがは悪夢の先輩ども。夢には詳しいな。

 芽依の言う通り、確かに俺もそのパターンの夢を何度か見た記憶がある。


 しかし、それを聞いても俺には納得のいかない点があった。

 俺は動いたところを強盗に見つかり、拳銃で撃たれ、そこで目を覚ますことになったわけだが……

 あの映像はどう説明するのか? まさか偽物のオモチャの拳銃でやられたと……?


「でも勇次。俺は夢の中で拳銃に撃たれるという、最悪な結末を迎えたとこで目を覚ましたんだ。それでも、あの拳銃がオモチャだと言い切れるのか?」


「間違いないと思うけどな。俺、昔よくエアガンで遊んでたんだ。一時流行ったろ? あれによく似てる」


 俺らが小学生の頃、男の子の拳銃への憧れからか、エアガンが流行ったことがあった。

 公園に行けば、至るところにBB弾と呼ばれる小さな弾がよく落ちていたものだ。

 俺はあまりハマらず、趣味ではなかったが、そういえば勇次は、どっぷりハマっていたな。


 その時の知識があるからなのか、勇次は俺を捲し立てる。


「じゃあ誠人に聞くけどよ、撃たれた拳銃からはちゃんと弾は出たのか? 撃たれた後、体はどうなった? 本物の拳銃なら悲惨なことになるぞ?」


 確かに……そこまで俺の夢は描かれていない。

 拳銃の引き金を引いたところで、夢は終了していたのだ。


 もしかしたら、俺が“撃たれて死んだ”と、勝手な悪いイメージを作り出し、悪夢がそこで強制終了してしまったのかもしれない……

 俺は勇次に、何も言い返すことができなかった。


「撃たれたとこで夢が終わってて、そこまで詳しくは分からない……かな」


「だろ? とにかく、あれがオモチャなのは間違いない。芽依もそう言ってるしな。第一、本物の拳銃なんて中々手に入らないんだしよ」


「じゃあ、あのオモチャの拳銃は、あくまで脅しの道具だったってわけか」


「だろうな。俺らみたいに夢の中じゃなきゃ、それを間近で確認することもできないはずだ。みんな普通に騙されるはず。さぁて、あとはどうやって犯人を捕まえるか……」


 あまりに楽観的に考えている勇次に、さすがに芽依は警鐘を鳴らす。


「それでも本当に平気なの? 確かに拳銃は偽物の可能性が高い。でも、拳銃以外に刃物なり、何かしらの武器を仕込んでいても不思議ではないわ」


「それはあるかもしれねぇが……一般客の中にはサラリーマンの男性や、背が高くて体格のいい男の人もいたんだ。俺達が捕まえようと動けば、自然と協力してくれるだろ」


「そんな不確かなことで挑むつもり? リスクが高すぎる」


 この辺は性格の差が出てしまうのかもしれない。

 慎重派の芽依に対し、大胆に物事を考える勇次……

 それにしても勇次は無謀すぎる。無茶をしかねない。

 俺も圧倒的に、芽依の考え方に賛成だ。


「芽依の言う通りだよ。勇次。今回は俺達にも命の危険性が大いにある……ここは一度警察にでも相談した方が……」


「警察に連絡したところで、信じてもらえるか? 『水曜の昼間に強盗が入る予定なので、応援お願いします』ってか?」


「それはまずいわね……それだと最悪、私達が共犯とも疑われる恐れがある……」


 先程勇次の否定はしたものの、あくまで芽依は中立な立場で物事を考えられているようだ。


 きっと俺と芽依の考えが多数派だと思うのだが、勇次には成功の青写真しか見えていない。


「それにしてもなんだよ。2人とも。今回は連れねぇな。今まではノリノリだったくせによ!」


「それはそうよ。今回は事件が事件だもの……」


「だったらこのまま放っておくか? それも何だか気分が悪いだろ? 銀行強盗が起きるのを、事前に知ってるって言うのによ!」


 勇次の言い分も分かる。

 危険だということを理由に、見過ごすのもどこか居心地が悪い。

 別にそうしたところで、それは俺達のせいではないはずなのだが……どこか見てみぬフリをしたかのような、後味の悪さが残ってしまう。


 幸い、まだ事件までには時間がある。

 今回はこの辺で話は止めにして、事件の日までどうするか各自考えることにした。 

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