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僕が死んだら、不幸を下さい。  作者: 春夫
『透の物語』
39/41

これはたった数十分の出来事です。

「・・・こっちだ。」


祐作さんについていくか俺たち。

翆さんを先頭に置き、俺は祐作さんの家を見回した。


「こう、縁側ってのはなんかロマン感じるよな。」


横には丁度、鉢植えの置いてある小さい庭があった。


「え?ロマン・・・?」

「あ、まぁ・・・ここは汚い・・・けどさ。」


そこには、ドラマやアニメでよく見る池や木は無く、ただ植木鉢が数個あり・・・行っては悪いが雑草が茫々で綺麗とは言えない。


「汚くて悪かったな。」


おっと、聞かれていたらしい。


「おいおい、愁、駄目だろそんな事言ったら。

俺が正直に言ってしまって逃げ出したくなったろうが。」

「え?僕のせい?」

「俺のせいだよ!祐作様、申し訳ございませんでしたっ!」


だから睨むのやめて。

帰りたくなっちゃうから。


「翆、こいつは結構分かりやすいな。」

「でしょ?たまにポロッと本音が出るから隠し事できないし、全部顔に出るんだよね。

扱いやすい男の子じゃない?」


俺の視線反らしたのを見てそう言う祐作さん。

しかもそれに賛同しちゃう翆さん。


俺はそうなの?と切実な目をし、愁を見たが、愁の返答は頷きだった。

分かってはいたし、何度も翆さんに同じようなことを言われ続けたので自覚していたが、改めて認識されるとちょっと悲しい。


「・・・珍しいな、お前がそんなやつを気に入るなんて。

・・・もしかしてまだなにかあるのか?」

「はっはっは、分かってるじゃないの。

勿論それだけじゃ私のお気に入りにはならない。

・・・彼には他にも魅力的なところがあるんだよ。

ま、それが発揮されるのは彼の性格的に少ないけどね。」


お、翆さんが嬉しいこと言ってくれてる。

さっすが翆さんですね!

僕は嬉しいです!


「ほう・・・俺にもそれは見れるのか?」

「・・・む、難しいな・・・。

私でもその場は予測不能だし、見てないときにやる気出して見てるときにはヘタれるからなぁ〜。」


お、翆さんが本当のこと言ってくれやがった。

さっすが翆さんですね!

僕は悲しいです!


「影で役立つパターンか?」

「そうだね、天峰君は表舞台で活躍してチヤホヤされたいって思ってるけど、裏目にでちゃっていつも馬鹿にされちゃうんだよね。

で、その後も挽回しようとしても邪魔になっちゃう。」

「・・・可哀想なやつだな。」

「から回って涙目になるところとかは可愛らしいんだけどね。」


おい、それだと俺一生活躍できないじゃんか。

いやまぁ、委員会活動とか自分からしたらもう一人に邪魔と言われたことあるから否定はしないけどさ。

ってか、なんでそれ知ってんだよっ!?

まだ翆さんを前にしてそんな恥を書いたことはないぞ!

・・・まさか・・・!


「・・・す、翆さん?も、もしかして俺の黒歴史・・・知ってたり?」

「うん、大和さんから聞いたよ。

例としては・・・剣道の合宿の時にリーダーを珍しく自分からして、集合と練習の時間を勘違いして1・2時間早く来てしまい、子どもたちから批判の嵐を食らったことは聞いた〜。」

「・・・クソ親父め・・・っ!」


俺に関して口緩すぎませんかね?お父様?

後で問い詰めよう。


「しかもね、面白いことにね、その合宿中の晩御飯は子供たちが作ることになってたんだって。

でね、カレーを作ることになって天峰君は挽回をと、やる気を出しました。」

「ん〜、結果がわかるが先を聞こう。」


祐作さん?きかなくていいからね?

面白がらなくていいからね?

というか、翆さんは何を口走ろうとしてるのっ!?

親父はそんなことまで話したのっ!?


「包丁を持ち、野菜を切ろうとするっ!

が!しか〜しっ!切る瞬間天峰君の頭上から一匹のでかい蜘蛛がっ!」


手で蜘蛛の足を表し、ウニョウニョ感を出す翆さん。

あ、この人あのことガチで知ってる。


「天峰君はね〜、十段階の十びっくりだとオーバーリアクションを超えてその場で放心状態になるんだ。

だから蜘蛛が目の前に来た時、彼は体を震わした!」


そうっ!俺は本気の本気でビックリしたら声を出さず、足を動かせず、ただその場で震えるのだっ!

そして今、自分の黒歴史を暴露されて、体を震わしているのだっ!


「凄いよね、5分ぐらい震えててその場から動かなかったんだって。

その上、その震えで野菜切ったらしいし。」


ま、そのおかげで全部の野菜が均一の大きさで切られなかったのは言うまでもない。

人参に関しては小さいやつは小さすぎて、崩れて溶けたまであるからね。


「でね、蜘蛛が顔にペタってくっついてね・・・気絶しちゃったんだって。

そして、近くにいた一年生の子に親御さんたちがいるところまで運ばれたらしい。」

「・・・悲しい男ね。」

「ゲボはっ!?」


小林さんの一言は俺のガラスのハートにヒビを入れた。


「まぁ、そんな事がありながらも無事にカレーができました。

さて、一緒に食べましょうっ!のタイミングっ!

・・・運の悪いことに、天峰君のカレーに蝿の死骸が2つほど天井から落ちてきましたとさ。

あまりの運の無さ天峰君は泣き出して、年下の女の子やお母様方に慰められて、めでたしめでたし。」


うんうん、翆さん、何いい笑顔して何暴露しちゃってくれてんの?

翆さんは楽しそうに笑いながら俺の過去を話した。

その笑顔を見るたびに殺意が湧いてくる。


「な、なんでっ!翆さんがそのこと知ってんですかっ!」


翆さんに詰め寄る。

が、ニヤニヤした笑みを消さずに彼女はこう答えた。


「大和さんからCDもらったよ。」

「あんの糞親父がァァァァァァァ!!」


なんでだよ!あの稽古からなんで俺の過去を知らせるまで二人は仲良くなってんだよ。


「あ、ついでに言うと、大和さんの電話番号持ってるからこれからも色々と聞くつもりだから隠し事はできないと思ってね♪」

「・・・。」


絶句した。

まう俺に平穏の場所はなくなったのだと思い知らされた。

膝から崩れ落ちる。

そんな俺を見て優作さんは・・・


「・・・なんか・・・頑張れよ。」

「うわァァァァァァァんっ!」


慰めが思いつかなかったのか、ぐっと親指を突き出し慰めてきた。

半端な慰めなんていらないよっ!

ただ俺が虚しくなるだけなんだからっ!


「虫程度で情けないわね。」

「なら今度ランドセルの中に百足2匹ぐらい入れといてやるっ!」

「そんなことしたらぶっ飛ばすわよっ!」

「ほら苦手なんじゃんっ!だったら馬鹿にすんなよっ!

これ以上俺を傷つけるならもう暴れてやる!

この場で泣きわめいてやるからなっ!」

「ほら、良くも悪くも正直で分かりやすいでしょう?」


翆さんは涙目の俺を指さして笑いながら言った。


おう、翆さん、そろそろやめてね?

祐作さんも苦笑するなら初めから話題振らないで。

今回俺の秘密が暴露されて俺が傷ついだだけだからね?


「うっさいっ!あんたは俺が傷ついてることにさっさと気づけっ!

そろそろ嫌いになるからなっ!」


多分、いや絶対、俺はこの人にいじめられている。


「あー、怒んないでよぉ〜。謝るからさぁ〜。

でも仕方ないんだよ?

女の子って好きな子ほどいじめたくなるもんなんだからさ。」

「逆だ逆っ!真逆だっつうのっ!男だよ!

いじめたくなるのは男の方だよっ!」


この人の常識、たまにズレてるんだよなぁ〜。


「・・・なるほど、これは一緒にいて飽きないわ。」

「何を見てそう思ったっ!あんたらが飽きなかろうと、俺のライフは減っていってるんだよっ!そこを考慮しろよ!」


裕作さんの言葉に反論する。

が、それは逆に・・・


「でも私がギュッてしたり、膝枕したりしたら、回復するよね。」


もっと恥ずかしいことを暴露することとなった。

そして後ろの小林さんからの強烈な悪質な嫉妬を受けることなもなった。


俺は身の安全を手に入れるために訂正する。


「違うからっ!落ち着くだけだからっ!」


ここで嘘でも否定しなかったことを俺は後々後悔することになる。

理由は簡単・・・隣に小林さんがいるからだ。


「え〜、でも前は癒やされる〜、とか言ってすぐ寝ちゃったじゃん。」

「っ!!?!?!!」

「それも違うからっ!寝ちゃったのは前日徹夜してしまったからであって、癒やされたのは流石に精神的に疲れがあったからであってっ!

・・・べ、別にっ!いい匂いがして柔らかかったからいつもより疲れが取れたわけじゃないからっ!」


あれ・・・?

俺は何を口走って・・・


「っ//////っ!?」


周りを見れば・・・



ニヤニヤして俺を見る愁。

同じように俺を見て笑う裕作さん。

目を血走らせながら『コロスコロスコロス………』とつぶやく小林さん。

嬉しそうに微笑む翆さん。


俺はその場で蹲るしか、逃げる方法はなかった。


本当・・・褪せると全部が裏目に出る俺の運命というか運と無さはデメリットでしかないよな。


俺は膝を抱えながらそう思うのであった。









その後、小林さんから本気で襲いに来たのは言うまでもない。









俺と小林はんが乱闘している最中のこと・・・


「翆、お前天峰のことガチで好きだろ?」


「あ、やっぱりわかる?」


「当たり前だ。普通の気に入ったからと言って本人の過去までなんて調べるやつはいない。」


「この世のどこかにいると思うけどねぇ〜。」


「普通の人はやらねぇよ。それこそヤンデレ属性のあるやつだけだ。」


「ヤンデレとは失礼な。

こう見えて一途で彼氏のことを第一に思う、優しい女の子なんだからね。」


「天峰が浮気したら?」


「監禁して洗脳するかな。」


「・・・生粋のヤンデレだよお前は。」


「てか、天峰もよくお前に付き合うな。

日常的に虐めてんだろ?」


「虐めてないわよっ!

私は!彼が将来困らないように鍛えてあげてるのっ!

それにちゃんと安全には配慮してるし、怪我だって骨折とか熱中症にはさせてないんだからねっ!」


「へぇ〜、ちゃんと安全マージンとって、優しく指導してあげてると・・・

・・・。

・・・・・本当のところは?」


「よ〜く、私の訓練について来れるなぁ〜と感心してる。」


「んなことだろうと思ったよ。

でも、たしかにそうだな。

愁は耐性あるから大丈夫だけど、天峰の場合はすごいな。

普通に過ごしてたやつがお前とともに過ごせるなんて。」


「そこも天峰くんの魅力的なところでもあるっ!」


「いや、どの男もお前と一緒にいたいなんて考えないけどな。

それこそ、恋人とかそういう縛りがないと・・・」


「フフフ・・・。」


「・・・お、おい、まさかっ!?」


「ん?どうしたの?」


「も、もしかしてもうそういう関係なのか?」ボソボソっ


「ふふ、どうでしょうねぇ〜♪」


「おいおいおいおい・・・マジかよ・・・っ!もうお前ら「しっ。」・・・。」


「その先は禁止だよ。感のいい餓鬼は私が始末つけなきゃならなくなるからね。」


「・・・了解、でも時が来たら教えてくれよ。」


「もっちのろんよ!その時にはまる一日かけて教えてあげるわよ!」


「・・・ははは、それもいいな。楽しみにしてるよ。

・・・頑張って捕まえとけよ。翆。」


「勿論!もう絶対手放さないわっ!」



今日も・・・平和である。




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