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僕が死んだら、不幸を下さい。  作者: 春夫
『透の物語』
36/41

とある放課後

「えーっと・・・この集まりは何?」


俺は放課後の誰もいなくなった教室で目の前の俺の彼女である翆さんに質問する。


「それはこれから言うので黙って座ってなさい。」

「あ、はい。」


俺は隣を見る。

隣にはなぜか俺を睨む小林梨絵がいた。

・・・怖い。


「あのぉ〜、僕がここにいる理由も分からないんだけど?」


左隣の愁が恐る恐る手を上げ質問する。


「それも説明するから大人しくしときんしゃいっ!」


それもバッサリと切り捨てる。

そして、ついに翆さんは俺達の前で仁王立ちをし、話を始める。


「え〜、今日集まったのは他でもありません。

今日から、貴方たちには将来に向けての努力をしてもらいます。」


あ、なんか嫌な予感がした。


「まず、私が今日まで何をしていたかを言いましょう。

それは・・・音楽の知識収集と実力向上環境の作成です。」


翆さんは自分のランドセルからある書類を出す。

そして俺たちに渡す。


「・・・バンドの結成?」

「そ、結論から言うと私達でバンドを組むの。」


俺はふ〜んと、相槌をする。

翆さんの今までの行動を垣間見ればこれが目的なのはなんとなく予想できた。

て言うか、俺をギターを引けるようにさせたのはこれが目的だっただろうし。


「ちょっと待ってっ!翆ちゃん!なんでこいつまでっ!」


いきなり横の小林さんが立ち上がり俺を指さしていった。


「ん?あぁ、天峰君には実力があるからね。

ギター担当としては結構戦力になるよ。」


なるよってか、させるだろ。正確に言えば。


「それに私達と同じで、暇を持て余した人間だから丁度いいってのが理由かな。」


あれ?貶したのかな?貶されたのかな?


そうツッコみたかったが事実であるから諦めた。


「と言うか翆ちゃんはいつこいつと知り合ったのよ!」

「いつって・・・もう4ヶ月ぐらい前かな?」

「そうだね、4ヶ月前からあんたと出会い俺は辛い日々を送ってるよ。

もうちょっと優しくしてくれてもいいと思うんだ。」

「同じ男の子の愁君は耐えてるよ?」

「一緒にいる時間が圧倒的に俺のほうが上だろ!

休みは四六時中俺を監視してんじゃんッ!

・・・恥も汗も多分人生で一番多く流してるよっ!」


・・・あれ?俺よく生きてこれたな。

4ヶ月の間、全身が歩くだけで激痛に苛まれ続け、ギターの練習と言い指の皮がどれぐらい向けたことか。

多分考えれば4ヶ月の間で多分2年ぐらいの苦労を味わったと思う。

実際頑張りすぎて熱を出したのは計4回を超える。


・・・まぁ、お陰で得意分野にギターを付け加えられたから嬉しいんだけどさ。


「・・・ま、ってな感じで私の従順な道具だからチームに入れた。」

「私は反対っ!」


雑談を交わし、それで俺達の仲の良さを証明した。

が、小林さんは不服なのか嫌だと言う。

こういう時空気のないやつは・・・


「なんで「やめようか、愁。」むぐぅっ!?」


なんで嫌なんですか、と聞くであろう。

俺はそう聞こうとした愁の口を抑える。


俺はなんとなくだけど小林さんの俺を嫌う理由を分かってる。

この人が俺を適ししだしたのは丁度4ヶ月前の俺が翆さんと仲良くなった日からだ。


多分だが・・・嫉妬かな?


翆さんは俺を役立つように教育するためここ数ヶ月はずっと俺に時間を割いていた。

故に今まで一緒にいた小林さんは翆さんと共にいれなくなる。

そこで俺の存在を邪魔だと思ったのだろう。


だから俺を敵視する。俺を嫌う。

・・・今の学生ってのは本当に子供だよ。


ま、直接手を出さないのは、時間的に短いのも理由にあるだろうが、彼女の性格が大きいだろう。

梨絵さんも翆さんの認めた一人ではある。

翆さんの認めるやつが気に入らないから手を出す、なんて単純やつなわけがない。


ま、俺からしたらありがたい限りだ。


「・・・。」

「・・・ん?・・・あぁ。」


俺がそう思っていると視線をかんじた。

後ろを向くと翆さんが俺に疑いの目を向けていた。

『お前何したの?』と視線が言っている。

お前だよ、お前。と言いたかったが流石に翆さんも気づく余裕はないか。


「・・・翆さん。ちょっと来てもらっても?」

「ん?いいけど・・・その前に手を話してあげたら?」


ん?おっと、危ない危ない。

気づけば愁は青い顔をしていた。

危うく窒息死させてしまうところだったぜ。


手を話すと翆さんが近づいてきて耳を近づけてくれる。

俺は翆さんに聞こえる声で・・・


「ここ最近・・・小林さんにかまってあげなかったでしょう?」

「あぁ、そういうこと・・・「うわっ!?」・・・にひっ♪」


納得したのか、手をぽんっと叩き・・・腕を俺の首に回し俺に抱きついてきた。


「・・・へぇ〜。」

「んなぁっ///!?」


え?あれ?俺何されてるのっ!?

何この左頬に感じる柔らかさはなんなんなだっ!?


いきなりのことで俺は焦っていた。

そんな俺を気にもせず、翆さんは言う。


「梨絵。私は・・・天峰君を気に入ってる。

私の未来には必ず役に立つ存在だと思ってる。」


うんっ!そうだね!それは嬉しいから早く腕離してっ!

感触がっ!男が夢見た感触がっ!


俺は色々と焦り、小林さんは翆さんの言葉を、さっきまでの表情とは違う真面目な顔をして聞く。


「でも梨絵は嫌なんだよね。天峰君を受け入れられないんだね?」

「・・・うん。我侭言ってごめん。

だけど私はこいつを入れたくないっ!」


おう、俺のときと態度違うことはツッコまないでやってやるから、速く俺と翆さんを引き剥がして。

マジでっ!恥ずかしくて死ねるからっ!

多分今の俺顔が真っ赤になっていることだろう。


「相わかったっ!」

「ぷはっ///!」


翆さんは笑いながら窓際へと移動する。


「えっと・・・大丈夫?」

「うん、大丈夫///本当・・・大丈夫じゃないっ///。」


あーっ!と顔を抑え悶える俺に、愁が心配してくれる。

あの柔らかさは反則だ。本当に反則だ。


「梨絵っ!天峰君と勝負しなさいっ!」


俺を抜きにして話は進んでいく。

と言うか頭が混乱して話についていけない。


「勝負?」

「えぇ、内容はそっちが自由に決めていいよ。

ただお互い一人で勝負すること。

誰かに手伝ってもらうことは駄目。」

「・・・勝った方にはどんな利点があるの?」

「ムフフ、勝ったほうが相手に何でも命令できるってどうかな?

盛り上がるよぉ〜♪」


翆さんは悪魔のような笑みを浮かべる。

やっとある程度回復した俺は口を挟む。


「ちょいちょい!俺まだ承諾してないのになぜかやる流れになろうとしてんだっ!

俺はしないぞ!」

「何言ってんの?天峰君は強制だよ。」


あれ?俺には選択権ないのかな?もう人権すら剥奪された?


「なんでだよっ!?正直に言うがここ最近、勝負事全部負けてて勝てる未来が見えないのっ!

女子相手だと負けることがたやすく想像できるまであるからねっ!」

「え?そんなに負けてんの?誰に?」

「あんただよっ!全部あんただよっ!」


振り回され続けて、力で沈められて、逃げられず、罵倒も効かず、俺の力は何一つ通じはしなかった。

プライドなんてへし折られたのは言うまでもない。


「あ、そう。なら大丈夫ね。」


男心気にしない女子って強いよね。


「どこをどう見たらそんな結論出んだよっ!?」

「ハイ、天峰君は梨絵の勝負を受けることけって〜い♪」


あ、俺、もうキレそう。


「・・・。」

「・・・お疲れ様、天峰君。」

「慰めはいらないから俺と変わって。」

「絶対に嫌だ。」


くそっ、一番安全な立ち位置を確保しやがって。


「じゃ、そういうことでいつでもいいから二人で勝負してね。

あ、その時は絶対に私を審判役にすることも条件にするから。」

「うんっ!」

「・・・。」


俺にはもう返事をする気力はなかった。


「さて、話はそれたけどとりあえず今この私を含めての4人でバンドを組むのは理解したかな?」

「うん。」「あぁ。」「はい。」

「おっけー、それに関してなにか質問は?」

「はい。」

「お、愁くん。どうぞ。」


愁が手を上げた。

そして立ち上がり・・・


「なぜ僕がドラムなんですか?僕に音楽の才能はありませんよ?」


愁は書類を指差してそう言った。


「お?愁がドラムなんだ。」 

「書類上では。けど僕にドラムを買う資産の余裕はないですし、触ったこともありません。」

「あれ?前にドラムに関してまとめた書類あげなかったっけ?」

「確かに1年前にもらい、覚え、エアですけど練習もしました。

でも出来る気はしません。」


なんだ、翆さん愁にも同じことしてたんだ。


「ちょっと待った。何で愁は渡しただけでほっといたんだよ。

俺の時の違うじゃん。」

「だって天峰君はほっといたらしないでしょ。」

「・・・あ、はい。理解しました。」


なんか言い返せないって辛いね。

ま!変わる気はねぇけどなっ!


「話は途切れたけど、愁くん。

とりあえず君の不安は実践でできないってことでいいね?」

「はい。それに僕の親が多分あなた達の邪魔をしまし、参加するべきじゃない・・・と思います。」


あ、そっか、愁は親から虐待受けてんだっけ。

そう考えると時間的、精神的余裕と金銭的余裕はないわな。


「・・・愁くん。・・・君の目の前にいる人間は君が知る中でそんなに弱い人間かな?」

「あ・・・。」


思い出したかのような顔をする愁。

こいつこの最近訓練に余裕ができたから忘れてたな?


「ハッハッハ、愁っ!

目の前にいる人は文字通り優秀なお人なんだから心配するだけ無駄無駄無駄。」

「そうだね。私は優秀だから君たちに私を侮らせはいけないね。

明日からの訓練はいっそう厳しくしないと。」

「「あ・・・。」」


独り言のようにだけどわざと俺たちの耳に聞こえるようにつぶやいた。

そしてその言葉に俺たちは青ざめた。

この時、明日は筋肉痛になる運命は確定した。


「・・・なに、床に手をついてるのよ?」


俺に対して辛辣な小林さんがそう尋ねてくる。

それな対して俺と愁は同時に・・・


「「・・・気にしないで(ください)。」」


そう返すことしかできなかった。


「後、愁くん、ドラムと練習場所のことだけど・・・あ、みんなも関係してるから聞いて。」


俺たちは顔を上げ翆さんに注目する。


「安心しなさい、私が君たちに与えてやろう。」


そう言い放つのだった。

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