10話 誘拐された先は雪国。
気を失った私が目を覚ますと、そこには見慣れぬ天井があった。
薄暗い部屋の窓には雪が張り付いていて外には粉雪が舞っていた。
部屋は暖炉があるからか、部屋の中は暖かく薪の焼ける音が自然のBGMとなって誘拐されてざわざわしてた心が落ち着く。
そのおかげで少し冷静になれた。
周りを見渡すと高級感のある家具で揃えられた広い部屋の中心に私が寝ている天蓋付きの大きなベッドがある。
「私はどうなったんだろう……アレク。フランちゃん……」
そう2人の名前が口から出ると、自然と涙が頬を伝う。
だが、泣いている場合じゃない。ここから出て、早くアレク達のところに帰らないといけない。
私は手で涙を拭うと決意に満ちた表情で頷きベッドを出た。
部屋を出て天井のシャンデリアの照らす廊下を歩いて行くと、階段のところに見張りであろう2人の兵士が立っていた。
「攫ってきたあの娘はどこかの王族なのか?」
「どうだろうな。だが、俺達には関係ない事だ。この階にはあの部屋しかないし、この階から出るにはこの階段からしか降りられない。窓にも魔法が掛かっているから自殺もしようがないしな。どこから連れて来られたかは知らないが同情するよ」
私は兵士達の言葉を聞いて、バレないようにそっと部屋に戻って作戦を練った。
兵士達の言葉から分かったのは、この階にはこの部屋しかないという事と、そこから抜け出すにはあの階段を通るしかないという事。
窓を叩いてみたが、魔法が掛かっているのかまるで石の壁でも叩いているかのよいに硬い。
絶望感が込み上げてくると同時にまた目頭が熱くなって視界が涙で歪む。
「だめよ……弱い私は捨てなきゃ……必ずアレクが迎えに来てくれる。婚約破棄を言い渡された時も、屋敷を焼かれた夜もそうだった……だから、私は負けない!」
涙が溢れ出しそうになるのを上を見上げて耐えると、また部屋の中を見渡した。
何か脱出に使えそうなものがないか、もう一度注意深く見た。
すると、部屋の隅に甲冑を着た人形が置かれていた。
もちろん。武器などは取り外されていたものの、甲冑はさっきの兵士達のと同じものだ。
「これは使える!」
私は急いで甲冑に着替えると、それを着て階段の兵士達の元へと向かった。
「姫が逃げたぞ!」
「な、なんだと!? おい! お前! 部屋に確認に行って来い!」
「は、はい!」
一人の兵士が慌てた様子で部屋の方へと走って行く。




