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第26話 土葬屋 8

26話目投稿しました!!


 次の投稿は明日か明後日になると思います!


 ちょっとアレかも。

 森の中を駆ける。


 早く見つけなければ、手遅れになる前に。


「ココカラサキハイカセナイワヨ」


 木の陰から急に鉤爪振り下ろされる。


 大剣で軽く逸らす。


「なるほどな、デイニス達の言った通りだな」


 周囲にはおびただしい数のアラクネイヤが居る。


 だが、今は急いでいる、通してもらおうか。


「邪魔だ、全員叩き切る」


 先程攻撃を逸らしたアラクネイヤに向かって大剣を横に構えて突撃する。


 そしてそのまま蜘蛛の顔に大剣を突き出す。


 グシャっと音が森に響き渡り、蜘蛛の顔をグチャグチャにする。


「グァア!! ドウシテヤイバガトオルノ!?」


「そこいらの冒険者と一緒にされたら困る」


 そのまま剣を上に振り抜き、大剣を大きく横に振るう。


 人間の部分を切断し、土塊へと変える。


「こいよ雑魚共、お前ら全部土に戻してやるよ」


 大剣を腹を肩の上に乗せ脚に力を込め、一番近くにいたアラクネイヤとの距離を詰め大剣を振り下ろす。


 アラクネイヤ達は土魔法だろうか、周囲に土の塊を形成し、槍の形に変化させて飛ばしてくる。


 数は100本以上、なんの問題も無い。


 ひと呼吸し、大剣で打ち落としながら回避する。


「ウソ……ナンデシンデナイ?」


「さぁな、そこいらの冒険者と一緒と考えるのは辞めときな、後悔するぜ。あ、もう遅いか」


 力任せに大剣をアラクネイヤに叩き込む。


 資料には硬い表皮が刃を通さないと書いてあったのだが、普通に斬れる。


 よく考えればコイツらの表皮の色は白だ。


 まだ成虫では無いのだろう。


 もし成虫が出てきたら? その時はぶっ倒すだけだ。


 相手の魔法を回避し、近くのアラクネイヤを両断する。


 強化魔法を使うまでも無くその工程全て行う事が出来る。


 大した相手ではないがしかし、勇者が心配だ。


 倒しても倒しても湧いて出て来る、しかし、体力はまだまだある。後一時間と言われても問題ないだろう。



「貴方ね? 私の子どもたちに酷い事をしている奴は」


 アラクネイヤ達が道を開けると、そこには一匹のアラクネイヤの上に乗りこちらを見下ろす少女がいた。


「なんだ? お前が本物の四天王か?」


「そうよ、私は魔王軍四天王の一人、土葬屋のノームリアよ」


「なら聞きたい事がある。ここに黒髪の子は来なかったか? 俺の仲間なんだが」


「あぁ、あの子の事ね? 勇者でしょ? 貴方その子の仲間だったのね。今は私の、いや、私のママの屋敷で寝ているわ」


「じゃあ案内してくれ。もし案内してくれたらお前の子供達は殺さない。どうだ?」

 

「バカ? 折角あんな良い子を捕まえたんですもの、私の子供を産んだらもっと幸せになると思うの。返すにしても私の子供のママになってからじゃないと忍びないわ」


「あんな怪物を産んで? しかも内臓を食い荒らされて? それで幸せ? 確かに昆虫達の世界ではそうなのかも知れないが、悪いがうち等は人間だ。そもそも価値観が違う。お前の言う幸せは人間にとっちゃただの恐怖だ」


「でも人間は自分で産んだ子を愛すと聞くわ。それなら私の子供達でも愛してくれるでしょ?」


 何を言っているんだ? こいつは、


「なぁ、お前はどっちなんだ? 幸せにしたいのか愛されたいのか」


「は?」


「お前の発言にアラクネイヤの話、このアラクネイヤ、全部自分じゃないのか? 最初に倒したアラクネイヤは自分は四天王の一人だと名乗った。多分ここにいる奴等に聞いても四天王だと答えるだろう。なぁそこのお前、お前は四天王か?」


 近くのアラクネイヤに訊ねる。


「ソウヨ、ワタシモシテンノウヨ」


「謂わば分身なんだろ? お前の過去なんてこれっぽっちも知らねぇよ? お前は愛して欲しいんだ、子供として。でも愛してくれる人はいない、だから色んな奴に自分の子供を産ませて誰か愛してくれる人がいないか探してんじゃねぇのか? まぁ結局産んだやつは体内を喰い破られて死んでるがな」


「……それが? 愛を求めたら悪いわけ!? 愛を知りたいと思うのが悪なの!?」


「いや、悪じゃないだろ。悪なのは勇者を狙ったって事だよ。別に他の奴がどうなったっていいよ。だが勇者は、勇者だけは許さない。あいつに死なれたら俺は一体誰に赦してもらえばいいんだ? この苦しみは一体どこで解放されるんだ? この世界でも沢山人を、魔人を、様々な種族の奴らを殺した。でも、罪の意識なんて沸かなかった。でもあの世界での事は違う、何時になったら解放されるんだ!? どうすればいいんだよ!?」


「……なんの話を……しているの?」


「……すまん、取り乱した。まぁ結論から言うと」

 

 俺は強化魔法を使い一気に相手との距離を詰め大剣を振り下ろす。


「ここで死ねって事だ」


 ノームリアは咄嗟に腕と背中から生えた足で防御しようとしたようだがそのまま両方とも切断する。


 その大剣の勢いのままノームリアが乗っていたアラクネイヤを斬り下ろす。


「あぁぁあ!! 許さないわよ行きなさいアンタたち!!」


 そう言って彼女は腕を押さえながら逃亡を図る。


「逃がすか!」


 腰に下げたナイフを引き抜きそのままノームリアに投げる。


 見事にノームリアの足に突き刺さり地面と縫い合わせる。

 

「ふざけるなぁあ!!」

 

 残された3本の蜘蛛の脚で自らの足を瞬時に斬り落とす。


「森よ!! 私の姿を隠しなさい!!」


 そう叫ぶと一斉に周りに生えた木が蠢き始めノームリアの姿が大量の木によって隠される。


 なんだ? そんな事まで出来るのか。厄介だな。


 周りのアラクネイヤが一斉に襲いかかってくる。

 

 強化魔法を使い大剣を振り回す。


 数体のアラクネイヤは巻き込まれて切断され、残りのアラクネイヤ達はそれを見て少し後退る。


 よく木を見れば血が付着しているのがわかる。


 木を伝って逃げたのか、都合が良い。


 俺はその目印に沿って追い掛ける。


 道中アラクネイヤに阻まれもしたが、お構い無しに薙ぎ倒す。

  

 そして、少し開けた場所に出た。


 そこにはアラクネイヤに殺されかけている地面に伏すユリィと、倒し損ねたノームリアに腹に指を突き刺されたアセビがいた。


 まずは近くのアラクネイヤを縦に真っ二つに斬り裂く。


「なんでここが!?」


「煩いな、早く死んでくれ」


 そして、最後の強化魔法を使用して反応し損ねたノームリアとの距離を一気に詰め、上半身と下半身を別のモノにした。


 ドスッと地面になにかが落ちる音がしたが俺は気にせずアセビに駆け寄る。


「おい!? 大丈夫か!?」


 返事は無い、ボォっと突っ立っているだけ。


 どこを見つめているのか分からない。


「しっかりしろ!!」


 身体を揺さぶるが反応がない。


「うふふっ。残念、間に合いませんでしたァ。アセビちゃんには私の子供のママじゃなくて、私のママになってもらう事にしました!! 楽しみだなぁ産まれるのが! あははは!!」


 地面に倒れるノームリアは狂ったように笑う。


「そうだ!! そんなつもりで飲ませたわけじゃ無いけど好都合ね!! もしかしたら数時間後で産まれて来るかも!! ママ!! 私が産まれたら沢山愛してね?」


 俺は大剣をノームリアに振り下ろす。


 その後、言葉を発する事は無くなった。


 私のママ? どういう事だ? 子供を産ませるだけじゃないのか?

  

「あれ、ここは」


「勇者!? 大丈夫か!」


 意識が戻ったのか頭を押さえながらこちらを見るアセビ。


「……デルシオンさん」


 アセビはこちらへと近付く。


「……どうした?」


 何か、言い表せない不安が湧く。


 ドンッと強い衝撃と共に地面に倒された。


「ゆ、ゆうしゃ?」


 俺の身体の上には勇者、こちらを真っ赤に顔を染めてこちらを見ている。


 荒い息遣い、これは──


「……ごめんなさい……デルシオンさん」


 勇者は俺に謝り、顔を俺の胸に埋めた。


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