表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

ショーペンハウアーより

今回はドイツ哲学者から・・・。

肖像画を見るとわかるけど、すっごく気難しそうで、愛嬌があるようにも見える変な爺さん。

 ショーペンハウアー……または、ショーペンハウエルと呼ばれるドイツ哲学者


 その哲学はドイツ観念哲学に東洋思想:インド哲学と仏教を取り入れたモノ。

 人生や世界がもともと不幸と非合理に満ち,それ以外のあり方はないとする世界観。――厭世主義。あるいは「最悪」を意味するラテン語pessimumに由来するペシミズムという思考。その代表者とされる。


 ショーペンハウアーの父は銀行家。母は小説家。

 小説家である母親の交友関係はとても広く、現在でも有名人な友人と言えばゲーテ。

 みずからカントの後継者と名乗るほどカント好き。20代後半から30代前半にベルリン大学講師になる。だが、主流派のヘーゲルの人気に押される形で大学を引退。隠棲。『余録と補遺』 を出版する63歳まで全くの無名。さらに死去まで様々な著作を残す。


 現代への影響を鑑みると、ショーペンハウアー以上の哲学者はいない。と、私は思っている。

 こんなことを言うと『西洋哲学ではショーペンハウアーの先達、カント、ヘーゲル、ゲーテや後進のニーチェの方が有名だろう』とツッコミが入るかも知れない。

 だが、萩原朔太郎が【ニイチェに就いての雑感】にて――『ニイチェのショーペンハウエルに対する関係は、新約全書の旧約全書に対するやうなものである。』……と、ニーチェもショーペンハウアーの影響を受けている。ならば、源流はショーペンハウアーと言えるのではないだろうか?


 ショーペンハウアー以前と、以後で分けられるのだと思っている。

 ここ四半世紀、仏教が世界で……特にアメリカで広まっているらしい。西洋が仏教を研究する先駆者として、ショーペンハウアーの存在は大きい。


 尤も、ショーペンハウアーの先達。カントは、著作:【永久平和論】あるいは【永遠平和のために】で『中国の租界制度、日本の出島・鎖国制度による西洋人との接触を限定的にしたことは、西洋人の蛮行――植民地政策に対する良い対処方法だ。』

 ……と、いった旨を書き記している事から、西洋人は東洋の研究を何時でもやっている。この貪欲さには、尊敬と恐怖を私は覚える。どれほど貪欲なのか……と。

 少し前に『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という言葉を言われて、外に学ぼうと勉強を止めてしまった日本はこの姿勢を見習わなければ……。


 さておき、ショーペンハウアーの影響を受けた人物は、作曲家:ワーグナー。理論物理学者:シュレーディンガー。同じく理論物理学者のアインシュタイン。心理学者:フロイト。ユング。文筆家:トルストイ……。

 日本では、先に上げた萩原朔太郎、森鴎外などなど……。

 上げればキリがないほど、著名な者の思想に影響を及ぼした哲学者。その言葉を上げてみたい。



・『この世界は考えうるかぎりの最悪の世界』


 うーん、まさにペシミズム。"最悪"って言い切っちゃうんだから・・・。

 仏教にて生苦――この世に生を受けて、生きていくことが苦しみ。という教えがあるけど、それを実感していたのだろうか・・・。

 そう言えば、萩原朔太郎や江戸川乱歩もそんなことを書いているなぁ・・・。



・『人間が幸福になることは難しい。しかし、出来る限り楽しく生きる術はある』


 最悪の世界で幸福は難きこと。けれど、そんな世界の中で楽しみを見出すことは別のこと。

 そんな意味だろうか。つまんなくて、呆れるようで、バカバカしい世の中でも・・・・・同じようなことを感じている誰かに出会ったり、語り合ったりする時間は本当に楽しいからなぁ。

 ただ、『情熱の大半には、自己からの逃避がある。』エリック・ホッファーの言葉の様に、楽しみに逃げているということなのか・・・。

 こんな事を思い浮かべていると、楽しむことというのが無くなってしまうから、やはり楽しければそれに熱中することが良いのかも知れない。



・『孤独を愛さない人間は、自由を愛さない人間になってしまう。

なぜなら、孤独でいるときにのみ、人間は自由になれるのだから。』


 孤独を愛する・・・例えば、博物館を楽しむときとか、もっと身近ならば、食事だろうか。

『モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……』

 などと、ある漫画で言っているように、自分のペースで食べるってのは確かに自由だなぁ。

 自分のペース、在り方でいられるときは孤独だけど・・・確かに自由。



・『私達は、他人と同じようになろうとして、自分の4分の3を失ってしまう。』


 孤独で在れないときは人に合わせないとイケナイから、自分を失う・・・そうだろうけど、75%も失うものかな。そこまで束縛された事が無いからわからない。

 ただ、他人に合わせると、自分が削れていくことはよく分かる。



・『誰もが自分の視野の限界を、世界の限界だと思い込んでいる。』


 テレビゲームとか自動車、モノにおいて、最新作が最高という認識を持っていた時期が10代の頃まで会ったように思うけど、自分の範囲だけ。となると、確かに世界が狭く見ていたと言える。

 だから、本を読んだり、人にであったりするのは楽しいことだろう。・・・コレ、逃避かなぁ。



・『読書は、他人に物を考えてもらうことである。』『多くの学者は多読のために愚かになっている。暇さえあればすぐ本を手に取り、たえず読書していると、精神が麻痺する』


 まぁ、受け取るだけだと、意味が無い。でも、ショーペンハウアーは、おそらくワザと次の言葉を隠しているんじゃないかと思う。『だから、外に出て、書物に書いてある事を確かめてみなさい』・・・と。

 ブッダも言ってる『何かを聞いたからと言って、すぐに信じることはやめなさい。(中略)自分で分析し、あなたが同意した上ですべての人にとって良い影響をもたらすのなら、受け入れて尊敬しなさい。』

 ――と。鵜呑みにしてるだけじゃ、精神が麻痺するのだろう。

 フィールドワーク。自分の体験もしなさい。そういうことだと思う。



・『思ったことをすぐに話したり、人の言うことを鵜呑みにしたりしてはいけない。むしろ、道徳面でも教養面でも、他人の言葉には多くを期待しないほうがいい』


 やっぱり、ショーペンハウアーは、この言葉からだけでも仏教の影響が強いと思う。



・『真理はむきだしのままが最も美しい。表現が簡潔であればあるほど、深い感動を与える。そうすれば、聞き手は雑念に惑わされずに、スッと真理を受け取ることができる』


 先日、記念館に行った中で見つけた萩原朔太郎も似たようなことを言ってた。『真理は平凡』と。



・『平凡な人たちは、すぐに仲間になるが、優れた人はそうはいかない。しかし、優れた人たちも、似たところがある相手を見つけると、嬉しくなるもの』


 周囲に馴染めない気難しい性格と、頑固で意固地な偏屈者だから、それを相手にしてくれるのは嬉しい。本当にそうだな。



・『推理する能力を持っている人はたくさんいるが、判断する能力を持っている人は少ししかいない。』


 そうだなあ・・・新書とか読むけど、そこでは現象を説明することが上手い人。推理に長けてる人は居るけど、『どうするのが良い』と言い切って、実行する人は居ないに等しいからなぁ・・・。



・『富は海水に似ている。飲めば飲むほど、のどが渇くのだ。名声についても同じことが言える。』


 贅沢っていくらやっても、より贅沢したくなるだけで、しかもやらない時のほうが、ずっと我慢出来るからなぁ・・・。名声もそうか・・・パスカルが言ってるし。

 程々にあれば、あとはいらない。そう言えるのがちょうどいいのかも知れない。



・『何ごとも成功までには三段階ある。第一段階、人から笑い者にされる。第二段階、激しい抵抗と反対に遭う。第三段階、それまで笑い者にしたり反対したりした人たちが、いつの間にか「そんなことはわかっている」と同調する。』


 この三段階はわかりやすい。少数である。敵対者が真剣になる。味方が増える。そういうことなのだろう。


 それにしても、ショーペンハウアーの言葉を見返していくと、芥川龍之介にも、萩原朔太郎、江戸川乱歩、坂口安吾、などなど・・・文豪と呼ばれる人たちの言葉に時折入っている様な印象を持つ言葉があるのだから、影響が強いんだろう。

 いや、むしろ、仏教という共通する思想の根底があるから、近く感じるのだろうか・・・。

 そうも考えると、影響を受けた者の思想を読むのは楽しいし、ショーペンハウアーについて調べるのも面白くなるし、仏教を学ぶことは考えさせられる。

 人の思想をさかのぼっていくのは、兎にも角にも飽きることは無いのだろうな・・・。

ウ~ン、読書はバカになるとか言われても、人に触れるってのは面白いし、孤独を慰めてくれるし・・・

こういう考えはダメだって言われても求めちゃうんだなぁ。(;´д`)トホホ…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ