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妖の御節介  作者: 檸檬
プロローグ
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2/2

プロローグ 出会い②

 下を向いているので良くわからないが、先程建物に入ったことはわかった。反響や空気感からかなり広めの部屋に通されたようだ。

 この部屋に入ってからというもの、先程から纏わりついていた重たい空気感が更に重たくなったように感じる。見てはいないが、その空気感からすぐそこに玉藻前がいることが感じ取れる。


「玉藻様。連れて参りました」

「其方がタカナシレンヤか」


 名前を呼ばれたが、名乗ってはいない。


「名前を知っていることに驚いておるな」


 心も読まれているようだ。

 声をかけられてからというもの、体が震えて言うことが効かない。恐怖、というか、畏怖…?尊敬…?初めて相対した妖怪の長という異形の存在に僕は形容し難い感情に襲われていた。


「其方が何故ここに呼ばれたのか。まずは説明致そう」

「まず、其方は神社で掃き掃除をしておった猫又がく(・)っ(・)き(・)り(・)と視ておったな?」


「は、はい…?何か不思議なことなのでしょうか…?」


 僕は俯いたまま訪ねる。神社で彼女を見かけた時は「猫耳の巫女?!コミケ会場か?!」と思ったほどには作り物だと思ったし、コスプレだと信じていた。…すぐにそれが「本物」であると分からされるわけだが。


「不思議も何も、人の子ではまず視ることは叶わん。こちらから見せようと実体化の術を使うか、霊感のような第六感と呼ばれるものが備わっていれば、普通の人くらいには見えるだろうよ」

「ただ、其方は最初からはっきりと視(・)え(・)て(・)おったじゃろう?それは其方に強き霊感、すなわち"界"があると言うこと。これは妖界の言い伝えでな…」


 玉藻前がそこまで話し、少し間をおく。


「人の子"界"が強き者。災禍に苛まれんとする。曰く地が裂け、曰く海が割れ…と、古くから言われておるのじゃよ」


「その"界"…でしたでしょうか…?が、僕に、それも強く存在するということ…?そしてそれが災いの元だと言うことですか?」


「聡いな、レンヤよ。そして肝も座っておる」


 肝に関してはもう麻痺してるだけで、そんな力が在ることも、渦中である事も全然怖いし納得はしていない。兎にも角にも早く帰りたいしか今の感情には無い。


「その災禍を退けるには渦中の主人であるお主、"界"の強い人間の協力が不可欠でな…」


 玉藻前が話す内容の要約はこうだった。

 災禍がどのような現象であるかは不明。ただここ近年で良くない気配を感じてはいた。そんな中、素の猫又を看破するほど"界"の強い人間が現れた。つまり言い伝えの人の子が現れたということだ。

 それの意味するところは災禍の前触れであり、協力者としてまずは邂逅を果たすべきとして呼び出す必要があったということだった。


「…それだけ分かれば今は十分じゃ」

 顔は見えないが、少し満足そうな雰囲気を感じた。


「して、猫又よ。何かお願いがあるんじゃったな」


 俯いたまま頑張って話の内容を噛み砕こうとしている僕を傍に置いて話の主題は猫又の方へ移る。


「はい、玉藻様。私をこのレンヤのお世話がかりに任命して頂きたいのです」


 災いとかの話ですっかり忘れてしまっていたが、そう言えばこの巫女さんは何故か僕のお世話をするという目的があり、その許可のためにここまで連れて来られたんだ。


「しかし、其方に務まるのか?生半可では無いぞ」

「はい。それは承知の上です」


「ですが、私を一目で看破したレンヤを見て、そのレンヤと出会った最初の妖の者が私である事に使命を感じたのです!」


「なるほどのぉ…。なんとも浪漫てぃっくな理由で心躍るのう…ただ」

 玉藻前ら深くため息をつきながら続ける。おそらく呆れたような顔をしているのだろう。

「ただなんでそんなにニヤけとるのかのぉ…。猫又よ本音を言うのじゃ…」


「とにかく面白そうだからです!」

 コイツ、いま面白そうって言ったな。やっぱり面白がってるだけじゃねえか。こちとら結構一大事だぞ。


「やっぱりか。うーむ、まあ良い。後は頼むぞ猫又よ。まずはレンヤを一端の術師にしてやるのじゃ」

「まあいいんですか!?あと術師とは!?」

 あまりの粗暴さと新ワードについツッコミを入れてしまう。


「災禍とかなんとかさっき言ってませんでした!?そんな適当で良いんですか!?」

「なんじゃ急に喧しくなったのぉ」

「当たり前じゃないですか!物騒な話を聞かされて、しかも自分の状況からして信じざるを得ない状態なのに!適当に話を決められてたまる…かっァッ…ゲホッ」

 突然喉から胸辺りにかけて激痛が走り咳き込んでしまった。思わずずっと握っていた猫又の手を離し、口に手を当て咳き込む。

「血…?」

 手が血で真っ赤に濡れているのを確認しながら僕はそのまま倒れてしまい、意識を失ってしまった。



----

「人の子にしては強い"界"を持っておるが、所詮は人。特訓もなしに吾に何度もツッコミを入れるから、あ(・)て(・)ら(・)れ(・)た(・)んじゃな。ちょうど良い。猫又よ。其奴の、レンヤの家まで送り届け、そのままお世話係になってやるがよい」

「承りました。玉藻様。必ずやレンヤを…」

「ああ、頼んだのじゃ」

----


プロローグ完


更新ペースはだいぶマイペースです。

よろしくお願いします

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