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迦具夜姫異聞~紅の鬼狩姫~  作者: あおい彗星(仮)
第5夜 星命学園
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第4話 学級委員

 教壇に戻った大雅が教室を見渡した。


「何か質問はあるか?」

「はい、模擬戦ですが、このクラスは二十二人なので、七組しか組めませんが?」

「弐組と合同で行うから問題ない」


 教室がざわりとした。


 弐組と合同なら、琴音とチームを組むことだって可能かもしれない。思ったよりも、琴音と一緒に学べる機会は多いのかも。楽しみでうきうきと気持ちが明るくなる。それに対し、周りの生徒は渋い顔をしていた。


「弐組と組まなきゃならないの?」

「分家の人間となんてやってらんねぇよ」


 そんな声が聞こえてくる。


 緋鞠は不思議に思い、首を傾げた。

 何故そこまで嫌がるのだろう。クラスは違えども、鬼狩りの仲間なのに──。


 そもそも教室に入った瞬間から感じていたことだが、クラスの雰囲気が悪い。何が原因なのかはわからないが、生徒同士が睨み合っている時だってあった。


(う~ん……)


 緋鞠は額にシワを寄せながら、腕を組んだ。元々みんな顔見知りみたいだし、何か仲が悪くなるような事件があったとか?

それとも……。


(……)


 かくんっと頭が傾き、はっともとに戻す。何だか眠くなってきた。

 昨夜、京奈に教えてもらった蔵書室でおもしろそうな術書を見つけてしまい、ついつい深夜まで読みふけってしまったのだ。


(……ううう、眠いよぉ)


 指先を揉んだり、耳を引っ張ったりしながら、眠気を覚まそうとするも、まったく効果がない。瞼が開けなくなるほど重くなり、ぽかぽかといい感じに体も温かい。


(このまま一眠りしたい……)


 そのとき、頭がぐらっと傾いだ。


「神野!」


ビクッと驚いて、ぱっちり目を開いた。


「いやっ、寝てません寝てませんよ、私は。ちょっと、意識が飛んだくらいですよ!!」


慌てて姿勢を正した。いつも縁側でぐーたらしてる大雅に言われたらたまったものじゃない。寝てませんアピールを必死にしていると、大雅はじーっと緋鞠を見ていた。


「神野、いいよな?」

「いいんじゃない、ですか?」


 反射的に返事をしてしまう。

 すると、大雅はにいっと口の端を吊り上げた。


「それじゃあ、一学期の学級委員は神野緋鞠に決定。はい、拍手」

「……はあ!?」


 しかし、拍手をする者は一人もいなかった。緋鞠は恥ずかしさや驚きやらで顔を真っ赤にして立ち上がると、大雅に詰め寄った。


「ちょっと、どうして私なんですか!?」

「いいって言ったよな」

「眠くて話をこれっぽっちも聞いてませんでした! ごめんなさい!」

「それじゃあ、罰で学級委員な」

「どんな罰よ!」

「──先生」


 二人同時に振り返ると、瑠衣が立っていた。

 また、剱崎も同じ様に立ち上がっている。


「何故、彼女に?」

「そうです。神野さんはこの世界についての知識が少ないんですから、無理を強いることになりますよ」


 二人の発言に、緋鞠もうんうん、と頷く。

 大雅は面倒そうに頭に手をやると、緋鞠に向かって目配せをする。


「?」


 周りにバレないように、ちょいちょいと黒板を指さす。緋鞠はそこに顔を向けると、学級委員の名前が書かれていた。緋鞠が睡魔と戦っている間に、学級委員の候補者を募り、多数決まで行ったらしい。

 

『蓮条・十票、剱崎・十票』


 欠席者一名と緋鞠を除いた票が、きっちり二分されている。なるほど、だからちょうどよく選ばなかった私を……って納得するか! どうせ面倒ごとを押しつけようって魂胆だろう。断ろうと口を開くと──。



「蓮条さまが委員になられたほうが良いと思います!」


 いきなり一人の女生徒が発言した。


「剱崎さまのほうがふさわしいに決まってんだろ!」


 それに対抗するように、男子生徒が猛然と立ち上がる。


 それをきっかけに、他の生徒たちが言い争いを始める。どちらかを選べば選ばれなかった方は暴動を起こすレベルの──。


 瑠衣も来栖も止めようともせず、見守っている。


(もしかして、険悪な理由って……)


パンパンっと軽く手を叩く音が響き、皆一斉に大雅の方へ視線を向ける。珍しくにこやかな笑顔をしていると思えば。


「よし! じゃあ、神野に副委員を任せるから、どちらかが委員長な!」

「えっ、ちょっと待って!?」


 緋鞠に丸投げした。


(選べるわけがないでしょおおおお!!)


 全員が固唾を飲んで緋鞠を見つめている。

 緋鞠は急いで屈みこみ、教卓の陰に隠れた。


(どうしようどうしよう! どっちがいいの!?)


二人ともやる気はあるみたいだし、正直どっちでもいいんだけど……。


 ──でも、どうせ選ぶなら誰もが納得するような、頼りになる人物がいい。言い争いを黙って見ているような無責任な人間に、クラスを任せたくない。


そのとき、ガラッと教室の扉が開いた。


「遅くなった」

「おい、遅刻だぞ」

「文句なら、風吹秘書に言えよ。朝っぱらから長々と説教食らわせやがって……」


 聞き覚えのある声に見慣れた金糸。

 翼の姿を見て緋鞠は心の底からほっとした。と、同時にいい案が浮かぶ。


「決めました!!」


 勢いよく立ち上がった緋鞠は、翼の腕をつかむと挙手させた。


「三國くんを委員長にします!!」

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