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幻想旅団Brave and Pumpkin【UE】  作者: 睦月スバル
決意と試練のアステリズム
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ダンジョンを攻略しよう2

「ここが『サマタグ』か」


モー太君から降りて暗がりを一瞥する。


「正確には『サマタグ』に繋がる比較的マトモなルートの『試練の洞窟』前だねぇ」


「にしても蒸気機関って早いの。値は張ったけど買うた甲斐があるわ。にっしっし」


追随するように一の隼号が停止する。

実際、ハザミは僅かではあるが他大陸と交易をしており蒸気機関も値は張るが手に入れる事は可能だ。

ただ、舗装されていない道が未だ多数を占め悪路を走る為に足回りに更に金が嵩み、挙句パーティーメンバーが俺、アニ、ジャック、一、篝の五人体制になった事でリアカーも必要になりもう御者を雇って馬車で行くのが安定ではないかと考える程度には金が飛んだ。


因みに金は俺が三割、一が七割だ。

万年金欠に思われた俺だが芝居の後に少なくないお捻りを頂いたので自分からも金を出す事が出来た。

お陰でまた金欠だが。

一は…まあ、金持ちだからな。うん。

彼は『鉄打ち』ではあったが、役人に旅に出ると届出を出す際には渋られる事なくすっぱりと旅に出れたそうだ。

世継ぎの居ない彼が抜けた穴を誰が埋めるのだかは知らないが…この寛大さがハザミのお国柄なのだろう。


「にしても案外簡単に着いたねぇ、お陰で僕が縛られる時間が減って万々歳なんだけど」


「悪い悪い」


にしても心なしかジャックが元気だ。

ツルは葉緑体マシマシ、カボチャ頭も艶があって色味も鮮やか。これはパンプキンスープにする他無いだろう。


「いやぁ、でも僕のホームグラウンドだから許しちゃうよ。何たってここは常時ハロウィンみたいな感じだからね!案内人としてのスキルで確認済みだから間違いないよ!」


言われて辺りを見渡す。

蠢くように揺れる木々、見渡す限り一面の墓、漂う浮遊霊に微かに線香の匂いのする風。

ハロウィンと言うよりアメリカ人が考えた和風ホラー系に近い気がするが本人がそう言うのだからそうなのだろう。


「まぁ、確かにそうだな。墓は何方かと言えば西洋風、位置的にはハザミに割りかし近いけど少なくとも純和風では無いなウン。間違いない」


「うんうん!カルクィンジェ・レプリカ達が頑張った証拠だねぇ」


カルクィンジェ・レプリカ達が必死に集めた情報をアウトプットしただけなのにジャックは何処か満足気だった。

その証拠に何時もは鋭角な目の穴も角が取れている。


「清人、この浮遊霊って敵?」


「違うと思うぞ?敵だったらジャックもああは浮かれないだろうし」


「そっか、清人ないす」


一方一達イチャコラカップルだが篝がいつの間にか一に引っ付いていた。


「私…鬼ではあるが幽霊は…少々苦手だ…。物理的に切れないものは正直怖い」


「幽霊?ワリャに任せとき!いざとなったら清人を盾に真っ先に逃げ帰れば良いから気楽気楽」


「幽霊駄目だったのか!?」


「…だって魔獣は兎も角幽霊やろ?ホラ滅茶苦茶怖いやん?」


暫し冷めた目で一連のやり取りを眺めるとアニに向き合って口を開いた。


「多分あの手のカップルって映画だと直ぐ死ぬよな」


「映画は知らないけど死にそうなのは同意」


「君達って辛辣だよねぇ…でもパーティーの構成からすると前衛が清人、一、篝。中衛がアニ、後衛が僕だから真っ先に逃げ帰れるのは実質僕だねぇ」


「……!?」


今のジャックの言でやっと気付いた。

今のパーティーが凄く脳筋だということに。

前衛二人中衛二人後衛一人…ヒーラーとデバッファーが圧倒的に足りていないのだ。


一、篝は言わずと知れた侍ゴリラであり脳筋の権化。回復は望むべくも無い。


アニは第二魔素セカンド・カルマに糸を混ぜたウォーターカッター擬きと短剣を使うオールラウンダー。しかし小柄故にリーチが短く俺と同じ魔素師カルマンのため、燃費が悪くガス欠を起こしやすい。吸血により回復は出来るが対象が俺のみだからどうしようもない。回復やデバフとは縁の無いれっきとしたゴリラだ。


で、俺だがーー。自分に有利なフィールドを作って爆破したりゴキブリ移動する準アタッカー。だが、爆破は味方を巻き込む上に霧や高速移動がキモであるからパーティープレイに極端に向かないピーキーな性能をしている。

燃費はアニの数倍悪く瞬殺かガス欠かの二択しか無い。

回復の術はやはり無く俺もまた準ゴリラの一員だったりする。


そしてジャックは戦闘に於いて俺以上のお荷物だ。

ツルを伸ばしたりは出来たり撹乱や牽制は出来なくも無いが怯ませたり出来る程度でしかない。その間に俺とアニがガス欠になるため瞬殺しないといけない場面で却って邪魔になる事からこのパーティーには致命的に合わない。


「このパーティー…どうなんだ?」


先行きが不安になりつつ先に歩を進めようとしたその時。

背後で何かが動いた。


「待ちなさい蘇った『魔王』よ」


蒸気の街で聞いた声だった。


「まさか大陸を渡るとは思いませんでした」



「『デイブレイク』の名に懸けて私が貴方を殺します」


「五対一でやるつもりかい?流石に無理だと思わないか?」



「あれから発現した『スキルコネクト』を前にまだそう言えるか、試してみましょうか」

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