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幻想旅団Brave and Pumpkin【UE】  作者: 睦月スバル
廻り廻れ、異世界の輪廻
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鼠人の隠れ里トゥチャトゥチャ2

「『カルクィンジェ・レプリカ』だって!?」


ジャックは驚きを露にする。

ジャックの口から何度か聞いた言葉だった。

『レプリカ』とは複製品のことで 本来はオリジナルの製作者自身によって作られた複製品、模造品の事を言うのだがーー何だろうイマイチしっくり来ない。


そういえば名前が『オルクィンジェ』にも似ている気がする、と言うかイルクィンジェもそうだがルクィンジェの部分が完全に同じだ。


真相が気になるところではあるがーー。


しかしーーもう、あいつと話すことはない。

ニャルラトホテプ・サーバーにより接収されあいつは囚われのお姫様と化してしまった。

…男が囚われのお姫様とは少ししっくり来ない感じはするが。


でも、あいつとは一つの『杉原清人』という肉体を確かに共有していた。言うなれば宇宙船地球号にニュアンスが近いか。…前とは違って、入れ替わり中は夢現で現実感が無かったけどこれと言って不便もしなかった。寧ろ『デイブレイク』の襲撃の時と七夕の時、そしてニャルラトホテプの時の三度、命を救われている。

これを無碍にできようか。

少なくとも俺にはそんな恩知らずな真似は出来ない。

それに…なんやかんや、親近感や連帯感が湧いてきているのだ。最後まで付き合ってやりたいと思うくらいには。


「なあ、そう言えば『レプリカ』って何だ?」


ジャックよりも先にカルクィンジェ・レプリカが口を開いた。


「『レプリカ』とは、私達の大本、『セラフィム』の劣化コピーの事だ」


劣化?と口にすると今度は自分がとばかりに食い気味にジャックが口を開いた。


「『セラフィム』自体が神の劣化コピーだからねぇ。更にその『セラフィム』を数揃えようとしてコピーすると必然的に質が落ちるんだ。まあ、道理だよねぇ。ただ『セラフィム』作ってる神が中々仕上がりを気にする…し過ぎるものだから数あれば良い『セラフィム・レプリカ』にすらオリジナルを超える性能を持たせようとして失敗、質の低下を認めたくないから劣化しただけって言い張った結果がこれだよ」


全くやれやれだといった風に芝居掛かった所作でオーバーに肩を竦める。


「当方の創造主に対して酷い言い様だな、風聞だが最近は自棄酒の量も増えたと聞く。創造主のもの心労をこれ以上増やすのは如何なものだろう」


どこか咎めるような口調でカルクィンジェ・レプリカが言う。

にしてもカルクィンジェ・レプリカとは非常に呼びにくいのでなにか呼びやすい名前はないものか。


「なあ、カルクィンジェ・レプリカって言ってて凄く言いにくいし、別名とかないのか?」


「随分と端的な物言いだ。当方は嫌いではないが、しかし創造主に付けられた別名は劣化品、凡骨、モルモット、…創造主は残念ながらネーミングセンスが絶無のようでな。どうにも独創性が過多であるように思われる」


「いや、それ貶されてるだけだから」


自然なノリ突っ込みだった。


「ふむ、つまりーー創造主のネーミングセンスは未だ未知と言う事か。これは喜ばしい事だ」


「まあ、ハールーンのネーミングセンスの無さも中々のものだよねぇ。スーパーカブにモー太君だもんねぇ」


モー太君に苦手意識を持っているからかジャックの口調もどこか刺々しい。


「モー太君のネーミングが駄目だって?」


「ダメとは言わないけれど決定的にダサいよねぇ」


「当方は名が体を表す良い名だと思うが」


こっちにもか!とジャックがくわっと目を見開く。相変わらず目の中はがらりんどうと言った風で今度は義眼でも入れてみようかと、ほんの少しの悪戯心と好奇心が湧いた。


にしてもモー太君の名前はそんなに酷いものだろうか。蒸気機関だからモーターがあるかは不明だが、それなりに良いとは思う。


「大体、キミは物に名前を付けない主義じゃなかったかなぁ」


「相棒には付けるぞ?愛着があったほうがロマンがあるものもまたあるって事だよ」


「当方も大いに同調しよう。名は何と言ったか、良い友人になれそうだ」


「俺はハールーン。そこのカボチャがジャック。ホラ、二人合わせるとハールーン・アッラシードみたいだろう?」


「夜な夜なバグダードを渡り歩いたという五代目のカリフにして偉大なる大帝か。…似ている要素がまるでないと当方は考えるが」


チッチッチッと得意気に指を振る。


「実際、そうなんだけど。ジャックをこうするとだな」


とーージャックの頭をがっちりと掴み口を広げて頭に被る。


「成る程。ターバンかこれは中々に面白い」


中世イスラーム期に於いてターバンは発刊防止や砂除けに使われる。

そして、アッバース朝時代には宗教的な敬遠さを示すためのものとしても扱われたためにハールーン・アッラシードも例に漏れず着用していた。

分かる人にはそこそこ分かるし、分からない人にはとことん分からない微妙な小ネタだ。


「ジャック、お疲れ」


「神を恐れない所業…今回はかなり怒ったよ?」


怒っているジャックの口に鼠人ねずびと御用達の南瓜を突っ込むとモゴモゴと口を動かし、そのまま嚥下した。

…喉無いけど。


「…今のは不問にするよ」


「そう言ってくれると思ったよ」


「…立ち話にしては大分時間が掛かってしまった。是非当方の家に来ると良い。然程の物もないが当方の出来うる限りのもてなしを約束しよう」


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