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武器を装備しよう 2

予想してた人もいたかも知れませんがこの世界の名前が判明します…。

結論から言えば、俺はダガーを購入した。

件の女の子の店員の言うところによるとどうやらグリップの大きさがハールーンにアジャストしていたようでハールーンよりもやや小柄な俺の手には少しだけ大きく、扱い難いのも当然なのだそうだ。


グリップをオーダーメイドするのもありではあったがナイフ自体の本数も手伝い費用がかさんでしまうらしく、ならば新品のものを一本購入した方がコストパフォーマンスが良いという事で選んでいたのだが。


「フォワードグリップエッジアウト…フォワードグリップエッジイン…リバースグリップエッジアウト…リバースグリップエッジイン…」


と、念仏のような物を長々と聞かされてしまい、弱った俺は取り敢えずダガーを購入したのだった。


さて、『何故ダガーか』と言うとだ。

今や小説の異世界モノだと『『チート』で魔法を帯びたナイフ作れるし、と言うか寧ろ副次効果がメインだし取り回しとか考えなくても良くね?』となるのだが、実際小説とかの戦闘描写は武器の能力が前面に出る形で武器の形状に必然性が無い気がする。

さて、どうしてそんな事を考えるのか。

俺のスペックを客観視すれば分かるだろう。


『【杉原 清人 】18歳 男性

特技:第一魔素ファースト・カルマ

武器:ハールーンから奪った杖』


このような感じだろうか。

お分りいただけただろうか?

凄く良調整…もとい素材の味が強調されていて、ただの『実戦経験の浅い癖に若干強めな人』になっているのだ。


つまり…チートが無い分を他の分野で補填しないと確実に死ぬ。


…完全に脱線した。

ダガーを選んだ理由としてはエッジインもアウトもフォワードもリバースも大概はこれで対応出来るからだ。

フォワードは普通の構え方を要求するタイプのナイフ。

リバースは逆手持ちの構え方を要求するタイプのナイフ。

前者は安定性があるが与える傷は浅い。

後者は深く抉れるがリーチが短くブレやすい。


そしてダガーだが、形状的に二つの良いとこ取りが出来る。

逆手も普通もウェルカムって話だ。


刺突、切る、突くをオールマイティにこなしてくれる心強さはこれくらいなものだろう、とは件の店員の少女の弁だ。


「毎度ありがとうございました!」


但し、難点が一つ。


「高かったな」


「高かったねぇ」


結局高いのだ。それでもナイフのグリップを多数オーダーメイドするよりは安いがやはり高い。


「…仕事しないとな」


ブルジョワの時期はとうに去り手持ちは寒々しくなっていた。

まだ大図書館も利用出来ていないのだ。

大図書館の費用を考えると少々心許ない。


「ジャック、今晩はほうれん草のおひたしにほうれん草のソテー、ほうれん草のサラダだ。ギリギリ南瓜は買えない…くそっ、共食いするのか知りたかったのに…ッ!」


ギリギリと奥歯を噛み締めるとジャックはドン引きしていた。


「どこのポ⚫︎イなのかなぁ!?僕は断固として⚫︎パイのような食生活はゴメンだからねぇ!?」


「まぁ、冗談。ギルドに顔出して狩猟対象でも眺めて狩猟出来そうなやつがあったら狩るか」


「キミこっちに来てドンドン野生回帰してるよねぇ!?って、待ってよ!!」



■■■■■■■



ギルドホールは夜とあってか人も疎らだった。


「エンゲルさんだ!」


ジャックは相当エンゲルに懐いたらしく、げっそりしたエンゲルを見るなり目を輝かせた。

ジャック・オ・ランタンは基本的には霊魂だ。もしかしてげっそりしたエンゲルをあの世に案内したいと思っているのだろうか。

ヤバい、おっさん逃げて!超逃げて!


とーー脳内で茶番をかましているとエンゲルが気付いたのか頭を抱えて溜め息を吐いた。

そのままの流れでエンゲルの前に出る。


「…お前さん達こっちは登録用カウンターなの分かってるのか?」


「ああ、分かった上でからかいもとい…様子見に来た」


「お前さん今からかいにって言いかけたな?」


「ってのは冗談でーー金儲けがしたいんだけど、なんか良いの無いか?」


「はぁ…あるのはゴブリンの殲滅とオークの殲滅しかないぞ」


「あ、無理」


「説明省けて助かる。まあ、俺の仕事を増やすのは感心しないけどな…」


■■■■■■


「ハールーン。どうして無理と思ったのかな?実力的には……あっ」


「傷口をピンポイントで抉るなよ…」


先ず、ゴブリンの殲滅が無理な理由。

数が圧倒的に多いイメージがある。

数の暴力で簡単に死ぬ俺がここにいる。よって却下。

次、オーク。

力強そう、無理、死ぬ。

よって却下。


「それに…ゲームの定番シナリオが挟まる気がするんだよ。それも飛び切りブラックなヤツがさ」


多くのゲームの設定ではゴブリン、オークは共に亜人デミ・ヒューマンと呼ばれるモンスター群に属する。要するに知能がある。

しかも、雌の個体が存在せず他種族の雌を使って繁殖する。

と、あらば相当セロレーティング上不味いシーンに出くわす可能性が非常に高い。

度重なる暴行により流れた血で赤く染まる地面。

孕まされながら尊厳の一切を奪われた雌が自由もなく捕まった状況。


非っ常に精神衛生上よろしくない。


「まぁ、あの外道神が改悪した世界だからねぇ。仕方ないか」


「そう言えばこの世界の名前ってあったりするのか?」


「勿論あるよ?」




「僕たちはこの世界をーー」





偏執夢ペイラノイハと、そう呼んでいるかな」

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