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11 火星のお仕事(前)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。


しばらくアスランにお付き合いください。

アスラン、書いてると本当に楽しい。


あきれずに最後までお付き合いいただけるとうれしいです。


 火星は開発されているところが都市部に集中していて、軌道エレベーターの建設が予定されているがその場所をめぐり、計画が度々延期になっている。


 かなり前に建設された宇宙港を利用し、宇宙船は発着できるが、火星へ降下する者だけ車やバイク、または交通機関としてのバスやチューブトレインを利用した宇宙港からのチューブ内降下となる。


 大きな物や資材などは輸送料が高額になるが、郊外に宇宙船が降りることのできるスペースは設けられている。そのため、火星の中で資材や加工を行う事業が発展し、ほとんどのものは火星製で賄うことができるようになっている。


 ネオ・ラスベガスが一大リゾートとして、集客力もあり観光客も多く訪れる。

 そのため、バスやチューブトレインを利用する観光客が多数で、ホテル滞在中は車やバイクをレンタルするものが多い。


 他の居住区は工場街、農地や牧場などが多く、外部の人の出入りはほとんどないのが現状だった。そのため、地球で罪を犯した犯罪者や借金や負債を抱えた人物が逃げ込んで行方をくらますこともあり、リゾート地以外の治安は良くない。

 

 ネオ・ラスベガスのホテル王、キドニー・クルーズがビクトリアの現夫で、マリウスとアレクの父親である。


 キドニー・クルーズがそのまま火星の開発公社の理事でもあり、農業協会の会長であり……という具合にクルーズ家がという構図ではなく、キドニーひとりに火星の権力と富が集中している。それを継ぐのが先妻の息子で長男のマリウスだ。


 しかし、マリウスは地球の大学で経営学を学び卒業。火星に帰り後継者として経営に参加すると思われていたが、自分の意思で地球の大学院に進むことを決めた。義母のビクトリアと折り合いが悪く、火星が好きではないのかもしれないと噂されている。



 母船1とシップ2は宇宙港に預けることになるが、アスランはそれぞれに搭乗員ひとりずつ残して待機させることにした。

 母船1の搭乗員2名がその業務に当たる。


 宇宙港に到着すると、母船1からシップ2の待機担当スタンがやってきた。


「スタン、よろしく頼むわね。部屋はここを使って!」


 礼がマリウスとアレクの部屋だった船室を示した。


 アレクとマリウスはスタンを送ってきた母船1の車でビクトリア、SP2人と合流し、先にチューブ入口の駐車場へ送迎してもらっている。

 コントロール室でヴェスがスタンに引継ぎをすると、アキラとヴェス、礼とアスランはシップ2からバイクと車に分乗して降りた。


 チューブ待機所に入ると駐車場のあたりでアレクを抱くがっしりとした男性とビクトリア、マリウスが何やら話している。

 その周りにSP2人、クルトと5人の搭乗員が所在なさげに突っ立っている。


「キドニー?」


 アスランが訝しげな顔をする。


 クルトたちの車のそばに駐車すると、合流する。


「だから、私はアキラと一緒に行動するわ! 私の息子の婚約者なのよ! 素性も確か、私が保証するわ。なぜひとりだけトレインに乗せないといけないの?」


 怒っているビクトリアの声が聞こえてきた。


「異星人だからだ。この火星の規則でそう決まっている」


 キドニーが冷静にビクトリアに答えている。

 マリウスも悲しそうな表情で父と義母を見ている。


 アレクがヴェスに気が付き、キドニーの腕から降りようとする。


「っと! アレク、危ないぞ!」


 困惑しながらもアレクを下に降ろして駆け寄る先を見て表情を硬くするキドニー。


「キドニー、何か問題でも?」


 アスランが近づきながら話しかける。

 アレクはヴェスに抱きつくと「肩車して!」と無邪気に頼んでくる。

 

 礼がクルトたちの方へ行き、話を聞いている。


 アレクを肩車したヴェスと隣にいるアキラは困惑を隠せない。


「アスラン、無事にビクトリアとマリウス、アレクを連れてきてくれてご苦労だった」

「いや、かなり大変だったよ。ビクトリアもキドニーも敵が多いな! で、アキラが、どうした?」


「火星の規則で異星人は個人の車やバイクで降下できないことになっている。

 そちらのお嬢さんだけはトレインで降下してほしい」


「おかしいな、アキラは確かに異星人の血は引いているが父親は地球人で、地球人として登録されているはずだ。どこからその話を?」

 

 キドニーが初めて表情を歪めた。そしてマリウスを見る。


「すみません、アスラン、アキラ。父に教えたのは私なんだ。

 火星では異星人は地位が低く見られている。

 地球で生活してそれがおかしいことだとはわかっていたんだが、アキラと初めて会った後、つい、父との連絡でアキラが……異星人らしい見かけをしていることを、伝えてしまった。

 本当に申し訳ない! ずっと後悔していたんだ……」


 マリウスはアキラに謝るとキドニーに向かって言った。


「アキラをトレインで降ろすなら、私も一緒にトレインで降下します。

 一緒に旅をしてよくわかった。こんな規則がある火星の方がおかしいんだと!」


「俺もアキラと一緒だよ。婚約者なんだから」とヴェス。

「僕もアキラと一緒にいる!」とアレクがよくわからないながらも言う。


「私もアキラと行くわ。これでもあなた、規則を押し付ける?」


 ビクトリアの言葉にキドニーが苦虫を噛み潰したような顔をする。


「わかった。特別に個人の車での降下を許可しよう。ただし、こちらが指定した宿泊所に入ってもらう」


「それはうちの社員全員泊れる場所なんだろうな!」とアスランが明るく言った。


「……わかった。そうしよう」

「父さん、私もそこに泊まります」

「アレクも!」

「……お前たち! もういい、勝手にしろ! 行くぞビクトリア!」

「私もあなたとは行きません。皆さんと一緒に行きます!」

「……わかった」


 キドニーは自分の車に乗り込むと行ってしまった。


「ごめん、アキラ。父さんがこんな人だとわかっていたのに、つい言ってしまって……」

「いえ、大丈夫です。みなさんに迷惑をかけてしまって、こちらこそ申しわけないです。

 せっかくのリゾートなのに、宿泊場所指定につきあわせちゃって……」


「でも、どこなのかしら? 私たちが一緒ならそんなに悪いホテルじゃないわよ」とビクトリアが言ったが、マリウスは苦しそうな顔をしている。


「わかりません。これで父さんが、アレクやビクトリアを危険に晒すようなことがあれば……。私は、父さんを許さない……」


 アスランのタブレットに通知が入った。


「おっ、ここか。マリウス、ここどんなとこだ?」


 アスランに画面を見せられたマリウスは呻いた。


「一番端のしかも、ひとつだけ離れたところにある小さめのホテルです」

「はーん、なんか誘導されてるね……乗ってやるか。

 ビクトリア、アレク! ふたりはここまでだ!」

「アスラン、今更、なに!」

「ふたりなら、キドニーは喜んで迎えを寄越してくれるよ。SPに頼んで送ってもらうでもいい」

「どういうこと?」

「ごめん、実はアキラが狙われてる」


 アスランがさらっと言うので、聞いていたみんなはびっくりする。

 一番驚いたのはアキラだ。


「私?」


「親父!」とヴェスが焦った声を出す。


「いや、もう隠すのめんどいから大切な事だけ言うね。一度しか言わないよ。

 アキラがカルトに狙われてる。理由は異星人の血を引いてるから。

 その情報をつかんで、色々調べてたんだけど、やっぱりどうも火星が怪しくってね。

 火星なら何があってもキドニーが揉み消すんだろ? マリウス?」

 

 マリウスが苦しそうに頷く


「だから、ビクトリア、ここからは危ない。アレクもいるし、君は家に帰れ」


 アスランがヴェスに肩車してもらっているアレクを抱きあげるとビクトリアに近寄り「お母さんとおうちにおかえり。元気でな!」と降ろした。


「ちょっと待ってくださいよ。じゃあ、この火星行きはビクトリアを守るためじゃなくて?」とアキラがアスランに叫ぶ。


「一度しか言わないといったよ。アキラ。

 今まではユーシップ社のお仕事でした。

 こっからはアキラをおとりにした連合のお仕事です!」

読んで下さりありがとうございます。

もう少しアスランの話が続きます。

次も頑張ります!

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