第五十三話「違うよね?」
「いらっしゃいませ」
「明音ちゃんオーダーお願い」
「あ、は~い」
翌日のクリスマス明音は、駅の近くのレストランでバイトをしていた。クリスマスということでレストランにくる客は、カップルが多い。
カランカランっと店の扉が開く。
「いらっしゃいませ……麗子さん」
レストランに来たのは、麗子だった。右手には、ヘルメットを所持している。
「失礼ですが野々村様は、今日は何時までお仕事ですか?」
「え、今日は、6時までですけど?」
時計を確認する麗子。あと3時間。
「分かりました。それでは、お仕事が終わりましたらお店の前にいてください。迎えに来ますので」
「え、ちょっと。麗子さん」
麗子は、ヘルメットを被って出て行ってしまった。
「な、なんだったんだろう。迎えに来るってどういうこと?」
「明音ちゃん!何してるの?」
「す、すいません!今戻ります」
明音のバイトの時間が終わる6時を回ったころ。
「明音ちゃん。今日は、もう終わりでいいわよ」
「あ、はい」
皿洗いを丁度終えた時だった。
「じゃあお疲れ様でした」
「うん。お疲れ様」
明音は、控え室で私服に着替えたのち時計を見る。鞄を持って裏口から表に回る。すると、後ろから黄色いバイクに乗った麗子が到着した。
「これを」
麗子は、明音にヘルメットを手渡す。
「あの。どこに行くんですか?」
「いいから乗ってください」
明音は、手渡されたヘルメットを被って麗子の後ろに乗る。
「私の腰を掴んで下さい。落ちないように」
言われるがまま麗子の腰を掴むと同時に発進した。
到着したのは、病院だった。二人はヘルメットを外す。
「麗子さん。もしかして剣に何かあったんですか?」
明音が聞くが麗子は、無言のまま病院を見ている。
「もしかして……剣、死んじゃったなんてないですよね?」
明音がそう言うが麗子は、何も言わないままだった。
「嫌……そんなの嫌!」
明音は、バイクから降りて走って病院内へ。エレベーターのボタンを押して扉が開いて7階のボタンを何度も押す。
「嘘!信じない!剣は死んでない!死んでないわよ……私の気持ちを聞いて」
7階に着いて扉が開くと同時に剣病室に急ぐ。しかし、剣の病室が近づくにつれて明音の足がゆっくりになる。
「……でも、もしそうだったら?……私は、どうすればいいの?。ダメ!そんなこと考えちゃ!」
剣の病室がある通路を曲がった時、明音の目の前に剣の病室から医師と看護婦が出て行くのが見えた。その場で立ちつくし足が動かなくなる。
「……嘘でしょ?剣の病室から医者が出て行くの初めて見たんだけど。あれだよね何もないよね?いるよね剣?いないなんてないよね?」
明音の足が再び前にゆっくり動き出す。
剣の病室の前到着して深呼吸してドアを横にスライドさせた。




