第二十三話「土曜日」
次の日の土曜日。
「さて、今日は、どうしようかな……」
起きてからしばらく経ってテレビを見ながら呟く。
「う~ん。買い物でも行こうかな」
立ち上がり靴を履いて出る。階段を上がって三階の麗子の家の前に立ち止まり、インターホンを鳴らす。
「あ、剣様おはようございます」
パジャマ姿の麗子が出て来てお辞儀をする。
「麗子さんってパジャマ着てるんだ。以外」
「あ、こ、これは!」
自分がパジャマ姿なの忘れていたらしく、見られたのが恥ずかしがっていた。
「麗子さん今日買い物行きたいんだけど」
「買い物ですね!すぐに支度をするのでお待ちください」
「分かった。じゃ、家で待ってるね」
「はい」
階段を下りて自分の家に戻ろうとしたが、明音が気になって一階まで降りる。愛の家の前まで来て立ち止まる。
「待てよ、まだ寝てるかな……」
現在の時刻午前8時。少し考えた後にインターホンを押す。中から声が聞こえたおそらく愛。
「あ、剣君おはようございます」
「おはよう。七塚さん」
水色のパジャマ服を着た愛が出て来た。
「ごめんね。朝早く」
「ううん」
「明音は、起きてるの?」
「野々村さんは、まだ寝てますよ。多分もう、大丈夫ですよ。昨日三人であれだけ楽しくご飯食べてたら」
「そう。元気になってくれるといいね」
「そうですね」
二人で明音が元気になってくれることを思う。
「あ、そうだ。七塚さん。今日買い物行くんだけど何か買ってきて欲しいものとかある?」
「そうですね……じゃ卵1パックと牛乳いいですか?」
「卵と牛乳ね。分かった」
「お一人で行くんですか?」
「いや、麗子さんと一緒に」
「……そうですか」
ちょっと残念そうに言う愛。
「ん?どうしたの?」
「なんでもないです。気にしないでください」
顔の前で手を横に振る。
「じゃ行ってくるね」
自分の家に戻った。
「……剣君」
それから、三十分後。インターホンが鳴り、麗子だろうと支度を済ませてドアを開けると私服姿の麗子だった。鍵を閉めて二人で階段を下りる。
「それでは、これを」
渡されたのは、真っ黒なフルフェイスのヘルメットだった。
「もしかして、あのバイクで行くの?」
アパートの隅に置いてある黄色いオートバイを指さして聞く。
「そうです」
真顔で応えた。一つ大きく深呼吸してヘルメットを被る。麗子がオートバイを押して剣の元へ来た。麗子もヘルメットを被り華麗に跨り、キーを差し込んでエンジンを掛ける。二度ほどエンジンを吹かした。五月蝿い。
「さぁ、剣様」
麗子に手を差し出され手噛んで後ろに跨る。
「落ちないように掴んで下さい」
「うん」
麗子の腰を掴むと。
「それでは、ダメです。しがみ付いてください」
「わ、分かった」
一度放して抱き着くようにしがみ付いた。一瞬麗子の体がビクッと動いた。
「ごめん。強かったか?」
「い、いえ。少しくすぐったかっただけです。目的地は、何処ですか?」
「とりあえず、隣町の雑貨屋に」
「かしこまりました」
すると、軽くエンジンを吹かした後。猛スピードで発進した。
「うわぁぁぁぁぁぁ」




